厚生年金破綻 2040年代について
厚生年金は、日本の社会保障制度の中核をなす公的年金の一つです。厚生年金に加入するのは、一定規模以上の事業所に勤める従業員とその家族です。厚生年金は、国民年金と同様に、現役世代が支払う保険料で先輩世代の年金を支える「現役世代扶養方式」を採用しています。しかし、この方式は、少子高齢化によって現役世代の人口が減少し、先輩世代の人口が増加すると、保険料収入と年金支出のバランスが崩れるという問題を抱えています。
厚生年金の財政状況は、すでに深刻な水準にあります。厚生労働省が2021年6月に発表した「平成30年度厚生年金保険運営報告書」によると、厚生年金の収支差額（保険料収入から年金支出を差し引いた額）は、平成30年度（2018年度）に約3兆円の赤字となりました。この赤字は、国庫からの負担金や運用益などで補填されていますが、これらの財源も将来的に枯渇する可能性があります。
では、厚生年金はいつ破綻するのでしょうか。これについては、正確な予測はできませんが、いくつかのシミュレーションが行われています。例えば、日本経済新聞社が2021年7月に発表した「日経厚生年金シミュレーター」では、現在の制度や経済状況を維持した場合、厚生年金は2040年代前半に破綻するという結果が出ています。このシミュレーターでは、保険料率や給付水準などのパラメーターを変更することで、破綻時期を変えることができます。しかし、どのように変更しても、厚生年金を長期的に安定させることは困難であることが分かります。
厚生年金の破綻は、多くの人々に深刻な影響を及ぼすでしょう。特に、現役世代や若い世代は、将来的に受け取るべき年金が大幅に減少する可能性があります。また、国庫からの負担金や運用益などで赤字を埋め合わせることも限界があります。国庫からの負担金は税収から捻出されるため、税負担が増加する可能性があります。運用益は市場の動向に左右されるため、リスクが高いです。
厚生年金の破綻を防ぐためには、どのような対策が必要でしょうか。一般的に言われる対策としては、以下のようなものがあります。
- 保険料率や給付水準の見直し
保険料収入と年金支出のバランスを改善するために、保険料率を引き上げるか、給付水準を引き下げるか、あるいは両方を行うことです。しかし、これらの対策は、現役世代や年金受給者の負担や生活水準に影響を与えるため、社会的な合意を得ることが難しいです。
- 年金制度の抜本的な改革
現役世代扶養方式から積立方式や個人口座方式などに切り替えることで、少子高齢化の影響を緩和することです。しかし、これらの方式にもそれぞれに問題や課題があります。また、制度の移行には多大なコストや時間がかかります。
- 少子高齢化の逆転
出生率の向上や移民の受け入れなどによって、現役世代の人口を増やすことです。しかし、これらの対策は、文化や価値観などの変化に伴う社会的な摩擦や抵抗を考慮する必要があります。また、効果が現れるまでには長い時間がかかります。
以上のように、厚生年金の破綻を防ぐためには、多角的な視点から様々な対策を検討する必要があります。しかし、どの対策も簡単ではなく、利害関係者間の調整や妥協が必要です。厚生年金は、私たち一人一人の将来に関わる重要な制度です。そのため、私たちは、厚生年金の現状や問題点を正しく理解し、自分たちの意見や提案を積極的に発信することが求められます。
厚生年金破綻しないためには出生率の向上や移民の受け入れが必要なのでしょうか？
この質問は、日本の社会保障制度の将来に関心がある方なら誰でも考えることだと思います。厚生年金は、現役世代が働いて納めた保険料で、高齢者の年金を支払う仕組みです。しかし、少子高齢化によって、現役世代の人口が減り、年金受給者の人口が増えると、この仕組みは成り立たなくなります。その結果、厚生年金は破綻する可能性があります。
では、厚生年金破綻を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか？一つの方法は、出生率を向上させることです。出生率が高まれば、将来的に現役世代の人口が増える可能性があります。しかし、出生率を向上させるには、子育て支援や女性の社会進出など、さまざまな政策や社会的な変化が必要です。それには時間も費用もかかります。
もう一つの方法は、移民の受け入れを拡大することです。移民は、現役世代として働いて保険料を納めるだけでなく、文化や技術などの多様性をもたらすことで、日本の社会や経済に貢献できます。しかし、移民の受け入れには、国民の理解や受け入れ体制など、さまざまな課題や反対意見もあります。それには対話や協力も必要です。
厚生年金破綻を防ぐためには、出生率の向上や移民の受け入れが必要なのかもしれません。しかし、それらは簡単に実現できることではありません。それぞれにメリットやデメリットがあります。私たちは、将来の社会保障制度をどうしたいか、どうすべきかを考える必要があります。そして、そのために何をするかを決める必要があります。
