夫に先立たれ 年金はどうなるについて
夫に先立たれた場合、年金はどうなるのでしょうか。この記事では、夫に先立たれた場合の年金の種類と受給条件、受給額の計算方法、受給手続きの流れなどを詳しく解説します。夫に先立たれた場合の年金は、大きく分けて以下の3種類があります。
- 配偶者遺族年金
- 寡婦年金
- 配偶者特別遺族年金
それぞれの年金の特徴と受給条件を見ていきましょう。
1.配偶者遺族年金
配偶者遺族年金とは、亡くなった配偶者が国民年金や厚生年金に加入していた場合に、その配偶者の遺族に支給される年金のことです。配偶者遺族年金は、亡くなった配偶者の年金額に応じて決まりますが、一定の条件を満たす必要があります。
配偶者遺族年金を受けるための条件は以下のとおりです。
- 亡くなった配偶者が国民年金や厚生年金に加入していたこと
- 亡くなった配偶者が死亡する前の3か月間に、国民年金や厚生年金の保険料を滞納していなかったこと
- 配偶者と死亡した日までに婚姻届を提出していたこと
- 死亡した日から3か月以内に、配偶者遺族年金の申請を行ったこと
- 申請時に65歳未満であったこと
- 申請時に他の遺族年金を受けていなかったこと
- 申請時に再婚していなかったこと
配偶者遺族年金の支給額は、亡くなった配偶者の年金額の50%です。
ただし、受給者が65歳以上の場合は25%に減額されます。また、受給者が働いている場合は、所得に応じて減額される場合があります。
配偶者遺族年金は、死亡した日から最長で10年間支給されます。ただし、以下の場合は支給が打ち切られます。
- 受給者が再婚した場合
- 受給者が他の遺族年金を受けるようになった場合
- 受給者が死亡した場合
配偶者遺族年金は、亡くなった配偶者の収入を補う制度です。しかし、受給するためには様々な条件や手続きが必要です。また、支給額や支給期間も限られています。そのため、配偶者遺族年金だけに頼るのではなく、自分自身で老後の備えを考えることも大切です。
2.寡婦年金
寡婦年金とは、配偶者が死亡した場合に受けられる年金のことです。寡婦年金は、配偶者の死亡時に満たしているべき条件や受給できる期間などが異なる3種類の年金に分かれています。それぞれの年金の特徴や受給方法について、詳しく見ていきましょう。
1. 配偶者遺族基礎年金
配偶者遺族基礎年金は、国民年金に加入していた配偶者が死亡した場合に受けられる年金です。この年金を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 配偶者が死亡した時点で、自分と配偶者の両方が20歳以上であること
- 配偶者が死亡した時点で、自分と配偶者の両方が国民年金に加入していること
- 配偶者が死亡した時点で、自分が未婚であること
- 配偶者が死亡した時点で、自分が障害者であるか、60歳以上であるか、または18歳未満の子どもを養育していること
配偶者遺族基礎年金の受給額は、配偶者の国民年金加入期間に応じて決まります。受給額は毎月支払われますが、毎年4月と10月に調整されることがあります。受給期間は、自分が再婚するか、障害者でなくなるか、60歳以上になってから3年経過するか、または子どもが18歳になるまでです。
2. 配偶者遺族厚生年金
配偶者遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた配偶者が死亡した場合に受けられる年金です。この年金を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 配偶者が死亡した時点で、自分と配偶者の両方が20歳以上であること
- 配偶者が死亡した時点で、自分と配偶者の両方が厚生年金に加入しているか、または国民年金第3号被保険者(専業主婦など)であること
- 配偶者が死亡した時点で、自分が未婚であること
- 配偶者が死亡した時点で、自分が障害者であるか、60歳以上であるか、または18歳未満の子どもを養育していること
配偶者遺族厚生年金の受給額は、配偶者の厚生年金加入期間や平均報酬額に応じて決まります。受給額は毎月支払われますが、毎年4月と10月に調整されることがあります。受給期間は、自分が再婚するか、障害者でなくなるか、60歳以上になってから3年経過するか、または子どもが18歳になるまでです。
3. 寡婦年金
寡婦年金は、配偶者が死亡した場合に受けられる年金のうち、配偶者遺族基礎年金と配偶者遺族厚生年金の両方を受けられない場合に受けられる年金です。この年金を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 配偶者が死亡した時点で、自分と配偶者の両方が20歳以上であること
- 配偶者が死亡した時点で、自分と配偶者の両方が国民年金に加入していないか、または厚生年金に加入していないこと
- 配偶者が死亡した時点で、自分が未婚であること
- 配偶者が死亡した時点で、自分が障害者であるか、60歳以上であるか、または18歳未満の子どもを養育していること
寡婦年金の受給額は、配偶者の国民年金加入期間や厚生年金加入期間に応じて決まります。受給額は毎月支払われますが、毎年4月と10月に調整されることがあります。受給期間は、自分が再婚するか、障害者でなくなるか、60歳以上になってから3年経過するか、または子どもが18歳になるまでです。
寡婦年金は、配偶者の死亡によって生活に困窮する人に支給される制度です。寡婦年金を受けるためには、必要な書類を準備して市区町村の窓口に申請する必要があります。寡婦年金の詳細や申請方法については、厚生労働省のホームページや市区町村の担当部署に問い合わせてください。
3.配偶者特別遺族年金
配偶者特別遺族年金とは、亡くなった配偶者が国民年金の被保険者であった場合に、生き残った配偶者に支給される年金のことです。この年金は、亡くなった配偶者の死亡時に満たしていなければならない条件や、生き残った配偶者の受給資格や受給額に関する規定があります。この記事では、配偶者特別遺族年金の概要や申請方法、注意点などを解説します。
配偶者特別遺族年金の概要
配偶者特別遺族年金は、国民年金法第58条に基づいて支給される年金です。この年金を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 亡くなった配偶者が国民年金の被保険者であったこと
- 亡くなった配偶者が死亡時に国民年金の基礎年金を受ける資格を有していたこと
- 生き残った配偶者が死亡時に20歳以上であったこと
- 生き残った配偶者が死亡時に未婚であったこと
- 生き残った配偶者が死亡時に障害基礎年金または障害厚生年金を受けていなかったこと
- 生き残った配偶者が死亡時に老齢基礎年金または老齢厚生年金を受けていなかったこと
これらの条件を満たしている場合、生き残った配偶者は、亡くなった配偶者の基礎年金額の50%を受けることができます。ただし、生き残った配偶者が再婚した場合や、自分自身で老齢基礎年金または老齢厚生年金を受けるようになった場合は、配偶者特別遺族年金の受給資格を失います。
配偶者特別遺族年金の申請方法
配偶者特別遺族年金を受けるには、以下の手続きが必要です。
- 死亡届を提出する
- 配偶者特別遺族年金請求書を作成する
- 必要な書類を添付する
- 最寄りの社会保険事務所に提出する
死亡届は、亡くなった配偶者の住所地または死亡地の市区町村役場に提出します。死亡届は、死亡日から7日以内に提出する必要があります。死亡届を提出すると、戸籍謄本や戸籍抄本などの書類が発行されます。これらの書類は、後述する配偶者特別遺族年金請求書の添付書類として必要です。
配偶者特別遺族年金請求書は、社会保険事務所で入手できます。また、インターネットからダウンロードすることもできます。配偶者特別遺族年金請求書には、以下の内容を記入します。
- 申請者の氏名、住所、生年月日、性別、電話番号などの基本情報
- 亡くなった配偶者の氏名、住所、生年月日、性別、死亡日などの基本情報
- 亡くなった配偶者の国民年金番号
- 亡くなった配偶者との続柄
- 亡くなった配偶者の死亡時に受けていた年金や給付金の種類と額
- 生き残った配偶者が受けている年金や給付金の種類と額
- 生き残った配偶者が再婚しているかどうか
- 生き残った配偶者が障害者であるかどうか
- 配偶者特別遺族年金の振込先の口座情報
配偶者特別遺族年金請求書には、以下の書類を添付します。
- 戸籍謄本または戸籍抄本(亡くなった配偶者と生き残った配偶者のもの)
- 配偶者特別遺族年金受給資格証明書(社会保険事務所で発行)
- 銀行口座証明書(振込先の口座が自分名義でない場合)
これらの書類を揃えたら、最寄りの社会保険事務所に提出します。提出期限は、死亡日から2年以内です。社会保険事務所で審査が行われ、受給資格が認められれば、配偶者特別遺族年金が支給されます。支給開始日は、死亡日の翌月からとなります。
配偶者特別遺族年金の注意点
配偶者特別遺族年金を受ける際には、以下の点に注意する必要があります。
- 配偶者特別遺族年金は、所得税や住民税の対象となります。また、国民年金保険料や国民健康保険料などの計算にも影響します。
- 配偶者特別遺族年金は、他の年金や給付金と併せて受けることができますが、一定の上限額を超える場合は減額される場合があります。
- 配偶者特別遺族年金は、再婚や老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始で失効しますが、その後に離婚したり老齢基礎年金・老齢厚生年金を停止したりした場合は再び受給資格を取得することができます。