カスハラ防止条例とはについて
カスハラ防止条例とは
もくじ
カスハラ防止条例とは
1. カスハラ防止条例の概要
1.1 カスハラ防止条例とは何か
1.2 カスハラ防止条例の目的
1.3 カスハラ防止条例の制定状況
2. カスハラ防止条例の内容
2.1 カスハラの定義
2.2 事業者の責務
2.3 東京都の支援
3. カスハラ防止条例の効果と課題
3.1 期待される効果
3.2 懸念される課題
4. 今後に向けて
4.1 東京都の今後の取り組み
4.2 カスハラ防止条例に関する議論
5. 参考情報
カスハラ防止条例とは
1. カスハラ防止条例の概要
1.1 カスハラ防止条例とは何か
カスハラ防止条例は、東京都が制定を目指す、全国初の条例です。正式名称は「顧客等による事業者等に対する迷惑行為の防止に関する条例」といいます。
この条例は、事業者等が顧客等からの迷惑行為（カスハラ）によって、事業運営や従業員の就業環境に支障をきたすことを防止することを目的としています。
具体的には、事業者等に対して、以下のようなことを求めます。
カスハラ防止のための体制整備
従業員への教育
被害を受けた従業員への支援
また、東京都は、事業者等への相談窓口の設置や啓発活動の実施などを行い、カスハラ防止を支援します。
カスハラ防止条例は、2024年2月20日に小池百合子東京都知事が都議会の定例会で制定を表明しました。条例案は同年中に都議会に提出され、成立すれば2025年にも施行される見込みです。
この条例が制定されることで、カスハラ被害の減少や、事業者等におけるカスハラ防止対策の推進、従業員の安心して働ける環境の整備などが期待されています。
1.2 カスハラ防止条例の目的
カスハラ防止条例は、以下の3つの目的を掲げています。
事業者等におけるカスハラ防止対策の推進
近年、小売業やサービス業を中心に、顧客等からの暴言や脅迫、過度な要求などの迷惑行為（カスハラ）が深刻化しています。カスハラは、従業員の心身に悪影響を与えるだけでなく、事業運営にも支障をきたす可能性があります。
カスハラ防止条例は、事業者等に対し、カスハラ防止のための体制整備、従業員への教育、被害を受けた従業員への支援などを義務化することで、カスハラ被害の減少と事業者等におけるカスハラ防止対策の推進を目指します。
従業員の安心して働ける環境の整備
カスハラは、従業員の心身に悪影響を与え、離職や生産性の低下などの問題を引き起こす可能性があります。カスハラ防止条例は、カスハラ被害の減少と事業者等におけるカスハラ防止対策の推進を通じて、従業員の安心して働ける環境を整備することを目的としています。
顧客と事業者等の健全な関係の構築
カスハラは、顧客と事業者等の信頼関係を損ない、健全な関係の構築を阻害する可能性があります。カスハラ防止条例は、カスハラ被害の減少と事業者等におけるカスハラ防止対策の推進を通じて、顧客と事業者等の健全な関係の構築を目指します。
これらの目的を達成することで、カスハラのない社会の実現を目指します。
1.3 カスハラ防止条例の制定状況
2024年5月13日現在
東京都：2024年2月20日、小池百合子東京都知事が都議会の定例会でカスハラ防止条例の制定を表明。条例案は同年中に都議会に提出され、成立すれば2025年にも施行される見込み。
その他: 全国で同様の条例を検討している自治体もあるが、現時点では東京都のみが条例案を具体的に公表している。
参考情報
“カスハラ防止条例” 東京都が全国初の制定目指す - NHKニュース
2. カスハラ防止条例の内容
2.1 カスハラの定義
カスハラとは、顧客等が事業者等に対して行う、以下の行為を指します。
暴行、脅迫などの違法行為
暴言や正当な理由がない過度な要求など、不当な行為
具体的には、以下のような行為がカスハラに該当する可能性があります。
店員に暴力をふるう
商品やサービスに問題があった場合、店員に土下座を要求する
理不尽なクレームを電話やメールで繰り返す
従業員の個人情報を SNS などで拡散する
これらの行為は、従業員の就業環境を悪化させ、離職や健康被害につながる可能性があります。
なお、顧客等の行為が違法行為に該当する場合、刑事罰の対象となる可能性もあります。
ポイント
カスハラは、違法行為だけでなく、不当な行為も含む
従業員の就業環境を悪化させる行為がカスハラに該当する
カスハラは、刑事罰の対象となる可能性がある
参考情報
東京都「顧客等による事業者等に対する迷惑行為の防止に関する条例」概要 [無効な URL を削除しました]
厚生労働省「ハラスメントに関する総合的な情報提供サイト」 [無効な URL を削除しました]
2.2 事業者の責務
カスハラ防止条例において、事業者には以下の責務が課せられます。
1. カスハラ防止体制の整備
カスハラ防止に関する規程を策定し、周知徹底する
カスハラ相談窓口を設置し、相談体制を整備する
従業員に対し、カスハラに関する教育・研修を実施する
2. カスハラ発生時の対応
カスハラ被害を受けた従業員からの相談に迅速かつ丁寧に対応する
カスハラ行為を行った顧客等に対し、注意や改善勧告を行う
必要に応じて、警察への通報や民事上の請求を行う
3. 職場環境の改善
顧客等と従業員の接点機会を減らす
従業員の安全確保のための措置を講じる
従業員のストレスを軽減するための措置を講じる
4. 都の支援の活用
東京都が提供する相談窓口や研修プログラムなどを活用する
カスハラ防止に関する情報収集を行う
これらの責務を履行することで、事業者はカスハラ被害の発生を防止し、従業員の安全と健康を守る責務を果たすことができます。
参考情報
東京都「事業者等による顧客等に対する迷惑行為の防止に関する条例」
策定に向けた検討資料
2.3 東京都の支援
東京都は、カスハラ防止条例に基づき、事業者等及び従業員に対して以下の支援を行います。
1. 相談窓口の設置
電話相談窓口：カスハラに関する相談を受け付け、必要な助言や情報提供を行います。
メール相談窓口：24時間365日、相談を受け付けます。
専門家相談：弁護士や心理士などの専門家が、個別具体的な相談に応じます。
2. 啓発活動の実施
事業者等向けセミナー：カスハラ防止に関する講演会や研修会を開催します。
従業員向け研修：カスハラの被害を受けないための心構えや対処方法を研修します。
広報活動：パンフレットやポスターを作成し、カスハラ防止に関する情報を広く周知します。
3. その他の支援
事業者等向け助成金：カスハラ防止のための体制整備等に要する費用の一部を助成します。
被害者支援：被害を受けた従業員に対して、心理的なケアや就労支援を行います。
参考情報
東京都 カスハラ防止条例 [無効な URL を削除しました]
3. カスハラ防止条例の効果と課題
3.1 期待される効果
カスハラ防止条例が制定されることで、以下の効果が期待されます。
カスハラ被害の減少：カスハラは、事業者側にとっても従業員にとっても大きな負担となります。カスハラ防止条例が制定されることで、カスハラ被害が減少することが期待されます。
事業者等におけるカスハラ防止対策の推進：カスハラ防止条例が制定されることで、事業者等はカスハラ防止対策を推進する必要性が生じます。これにより、事業者等におけるカスハラ防止意識の向上や、具体的な防止対策の導入が促進されることが期待されます。
従業員の安心して働ける環境の整備：カスハラは、従業員のストレスや離職の原因となります。カスハラ防止条例が制定されることで、従業員は安心して働ける環境が整備されることが期待されます。
具体的には、以下のような効果が期待されます。
顧客等からの暴言や脅迫の減少
正当な理由のない過度な要求の減少
従業員へのパワハラやいじめ等の減少
事業継続リスクの低減
従業員満足度の向上
企業イメージの向上
これらの効果は、事業者側にとっても従業員にとっても、大きなメリットとなります。
3.2 懸念される課題
1. カスハラの定義があいまい
カスハラの具体的な行為例が十分に示されていないため、事業者側がどのような行為がカスハラに該当するのか判断しにくい
顧客との間でトラブルが発生した場合、何がカスハラ行為に該当するのか判断が難しく、紛争に発展する可能性がある
2. 事業者側の負担が大きくなる
カスハラ防止のための体制整備や従業員への教育にコストがかかる
カスハラ被害の調査や対応に多くの時間と労力が必要となる
中小企業など、人手や財政に余裕がない事業者にとって負担が大きい
3. 顧客とのトラブルが増える可能性
カスハラ防止条例が制定されることで、顧客が過剰な権利意識を持ち、些細なことで事業者にクレームをつけるようになる可能性がある
顧客と事業者間のトラブルが増え、双方にとって不利益が生じる可能性がある
4. 条例の運用が難しい
カスハラ被害の立証が困難な場合がある
事業者側が適切な対応を取らなかったとして、行政機関から指導や勧告を受ける可能性がある
条例の運用状況を監視する体制が十分に整備されていない
5. 十分な議論が尽くされていない
カスハラ防止条例について、事業者や顧客団体からの意見が十分に反映されていない
条例の施行後の影響について、十分な検討が行われていない
これらの課題を解決するためには、条例の内容をより具体的に定め、事業者側に対する支援を充実させることが重要です。また、顧客との間で相互理解を深め、トラブルを未然に防ぐための取り組みも必要です。
4. 今後に向けて
4.1 東京都の今後の取り組み
東京都は、カスハラ防止条例を制定後も、以下の取り組みを進めていく予定です。
条例の周知徹底：事業者等や都民への条例の周知徹底を図るため、パンフレットの配布やホームページでの情報公開、各種イベントの開催などを行います。
相談体制の整備：カスハラ被害を受けた事業者等や従業員からの相談窓口を充実させ、迅速かつ丁寧な対応を行います。
啓発活動の推進：学校や企業等を対象とした講演会や研修会を開催し、カスハラに関する理解を深めるための啓発活動を行います。
モデル事業の実施：事業者等を対象としたモデル事業を実施し、効果的なカスハラ防止対策の普及を図ります。
条例の検証：条例の施行状況を定期的に検証し、必要に応じて改正を行います。
これらの取り組みを通して、東京都はカスハラ被害をなくし、事業者等と従業員が安心して働ける環境づくりを目指していきます。
参考情報
「カスハラ防止条例」 東京都が全国初の制定目指す - NHKニュース
「カスハラ」 定義づけへ 東京都 全国初の防止条例制定に向け 具体的行為も例示の案 | NHK
【主張】後絶たないカスハラ 自治体でも防止条例制定の動き | ニュース - 公明党
4.2 カスハラ防止条例に関する議論
1. カスハラの定義の難しさ
カスハラ防止条例において、カスハラの定義は重要なポイントとなります。しかし、具体的な行為を列挙することで、かえってカスハラの範囲が限定されてしまうという懸念もあります。
2. 事業者側の負担と効果
カスハラ防止条例が制定されることで、事業者側には、相談窓口の設置や従業員への教育など、新たな負担が生じる可能性があります。また、効果的な対策を講じるためには、専門知識や人材が必要となる場合もあり、中小企業などでは対応が難しいという課題も指摘されています。
3. 顧客とのトラブル
カスハラ防止条例が厳格に施行された場合、顧客との間でトラブルが発生する可能性も懸念されています。例えば、正当な要求がカスハラとみなされてしまうケースや、顧客がサービスを受けられなくなるケースなどが考えられます。
4. 条例の有効性
カスハラ防止条例が実際にカスハラ被害を減少させることができるのか、その有効性については議論が分かれています。条例制定だけでは十分ではなく、企業や個人の意識改革や、社会全体での取り組みが必要だという声もあります。
5. 今後の課題
カスハラ防止条例は、制定されたばかりであり、今後は運用面での課題や、条例の改正・見直しなどの議論も必要となります。また、カスハラ以外にも、職場におけるハラスメント全般への対策も重要です。
6. 議論の必要性
カスハラ防止条例は、社会全体で取り組むべき課題です。条例の制定だけでなく、様々な議論を通じて、より良い職場環境の実現を目指していくことが重要です。
5. 参考情報
東京都
「カスハラ防止条例」 創設へ 東京都が2024年度条例案策定 [無効な URL を削除しました]
東京都、全国初「カスハラ防止条例」制定へ 25年にも施行目指す [無効な URL を削除しました]
厚生労働省
顧客等による事業者等に対する迷惑行為の防止に関するガイドライン [無効な URL を削除しました]
法務省
民法改正Q&A - 法務省
上記以外にも、カスハラ防止条例に関する情報は多数存在します。
インターネットで検索を行う際には、以下のキーワードなどを活用すると良いでしょう。
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