2024年4月から相続登記申請の義務化について
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。これまでは、相続登記は任意でしたが、義務化により、相続した不動産の登記名義を相続人に変更しなければならなくなります。
相続登記の義務化の背景
相続登記の義務化の背景には、以下の3つの理由が挙げられます。
- 所有者不明土地の増加
相続登記がされていない不動産は、所有者不明土地として扱われます。2022年時点で、日本の所有者不明土地は約820万筆と推計されており、そのうちの約6割は相続登記がされていない不動産であるとされています。所有者不明土地は、土地の利用や売却、相続などに支障をきたす原因となっています。
- 不動産取引の安全性向上
相続登記がされていない不動産を売却する場合、売主は、相続登記を行う義務を負いません。そのため、購入者は、売主が相続登記をしていないことにリスクを負うことになります。相続登記の義務化により、不動産取引の安全性が向上することが期待されています。
- 国民の権利利益の保護
相続登記がされていない不動産は、相続人全員の共有状態となります。そのため、相続人同士で所有権をめぐってトラブルが発生する可能性があります。相続登記の義務化により、相続人全員の権利利益を保護することが期待されています。
相続登記の義務化の対象
相続登記の義務化の対象となるのは、以下のとおりです。
- 2024年4月1日以降に相続が開始した不動産
- 2024年4月1日以前に相続が開始した不動産で、相続登記がされていないもの
ただし、以下の場合には、相続登記の義務化の対象外となります。
- 相続人が1人だけの場合
- 相続人が全て被相続人と同居している場合
- 相続人が全て成年で、相続人全員が相続登記に同意している場合
相続登記の申請手続き
相続登記の申請手続きは、以下のとおりです。
- 登記申請書、遺産分割協議書、相続関係説明図などの必要書類を準備する。
- 法務局に登記申請書を提出する。
- 法務局の審査を受け、登記が完了する。
相続登記の申請手続きは、司法書士に依頼することも可能です。
相続登記の申請費用
相続登記の申請費用は、不動産の評価額や相続人の人数などによって異なります。概ね、1件あたり数万円から数十万円程度の費用がかかります。
相続登記の義務化の注意点
相続登記の義務化に違反した場合、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。また、相続登記をしていない不動産を売却した場合、売主は、買主に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
相続登記の義務化に向けた準備
相続登記の義務化に向けて、以下のような準備をしておくとよいでしょう。
- 相続が発生する前に、遺言書や遺産分割協議書を作成しておくと、相続登記の申請手続きがスムーズに進みます。
- 相続登記の申請に必要な書類を準備しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
- 相続登記の流れや費用について、事前に確認しておくとよいでしょう。
相続登記の義務化のメリット
相続登記の義務化により、以下のメリットが期待されます。
- 所有者不明土地の減少
相続登記が義務化されることで、相続登記がされていない不動産が減少し、所有者不明土地の減少につながることが期待されます。
- 不動産取引の安全性の向上
相続登記が義務化されることで、不動産取引の安全性が向上し、トラブルの防止につながることが期待されます。
相続登記がされていない不動産を売却する場合、売主は、相続登記を行う義務を負いません。そのため、購入者は、売主が相続登記をしていないことにリスクを負うことになります。相続登記の義務化により、売主は相続登記を行うことが義務づけられることとなり、不動産取引の安全性が向上することが期待されます。
具体的には、以下のようなトラブルの防止につながることが期待されます。
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所有権をめぐるトラブル
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固定資産税の滞納
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抵当権や賃貸借権などの権利関係のトラブル
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国民の権利利益の保護
相続登記が義務化されることで、国民の権利利益が保護されることが期待されます。
相続登記がされていない不動産は、相続人全員の共有状態となります。そのため、相続人同士で所有権をめぐってトラブルが発生する可能性があります。相続登記の義務化により、相続人全員の権利利益が保護されることが期待されます。
具体的には、以下のような権利利益の保護につながることが期待されます。
- 相続財産の売却や利用
- 相続税の納付
相続登記の義務化の課題
相続登記の義務化には、以下の課題が指摘されています。
- 費用や手続きの負担
相続登記の申請には、登記申請書や遺産分割協議書などの必要書類の準備や、法務局への申請手続きが必要となります。そのため、費用や手続きの負担が課題となります。
- 相続人同士の合意形成
相続登記の申請には、相続人全員の合意が必要です。そのため、相続人同士の合意形成が困難な場合、相続登記が進まない可能性があります。
- 所有者不明土地の減少への効果
相続登記の義務化により、所有者不明土地の減少につながることが期待されていますが、その効果は必ずしも保証されているわけではありません。
相続登記の義務化は、2024年4月から施行されます。相続が発生する可能性がある方は、早めに相続登記の準備をしておくことが重要です。