オーストラリア先住民めぐる改憲否決について
2023年10月14日、オーストラリアで先住民の地位を明文化する憲法改正案の国民投票が行われ、否決された。この結果は、オーストラリアにおける先住民問題の解決に向けた大きな後退とみなされている。
改憲案の内容
改憲案は、先住民を「最初のオーストラリア人」であると憲法に明記し、議会や政府に意見具申できる代表機関「声」の創設を定めたものであった。先住民の権利を憲法で保障し、彼らの声を政治に反映させるための重要な一歩となると期待されていた。
否決の理由
改憲案が否決された理由は、大きく分けて2つある。1つは、代表機関「声」の権限が不明確だったことである。代表機関は政府や議会に意見を述べることができるが、その意見が必ずしも尊重される保証はなかった。そのため、一部の国民は、代表機関が先住民に特権を与え、政府の意思決定をゆがめるのではないかと懸念していた。
もう1つの理由は、先住民と非先住民の間の分断が深刻だったことである。先住民の多くは、改憲案の否決を「オーストラリア社会が自分たちを認めていない証拠」と受け止めている。一方、非先住民の一部は、改憲案が先住民に過剰な配慮を与えるものであると主張している。
改憲案否決の意味
改憲案の否決は、オーストラリアにおける先住民問題の解決に向けた大きな困難を示している。先住民は、オーストラリア大陸に4万年以上前から住む原住民であり、その権利は国際法でも認められている。しかし、オーストラリアの歴史の中で、先住民は白人入植者による土地収奪や迫害を受け、現在でも経済的・社会的・文化的に不利な立場に置かれている。
改憲案の否決は、先住民の権利を憲法で保障する道を閉ざした。これにより、先住民が政治や経済の中心から取り残され、社会の分断がさらに深まる恐れがある。
今後の課題
改憲案が否決されたことで、オーストラリア政府は先住民問題の解決に向けた新たな方策を模索する必要がある。具体的には、以下の3つの課題が考えられる。
- 代表機関「声」の権限を明確にする
代表機関「声」の権限が不明確だったことが、改憲案が否決された大きな理由の一つである。政府は、代表機関が政府や議会にどのような意見を述べることができるのかを明確にし、先住民の懸念を払拭する必要がある。
- 先住民と非先住民の間の分断を解消する
先住民と非先住民の間の分断は、オーストラリアにおける先住民問題の解決を阻む大きな要因となっている。政府は、先住民の歴史や文化を理解し、先住民と非先住民が対話する機会を増やすなど、分断を解消するための取り組みを強化する必要がある。
- 先住民の権利を保障する具体的な施策を実施する
先住民の権利を憲法で保障するだけでは、先住民が真に平等な社会で暮らすことは難しい。政府は、先住民の経済的・社会的・文化的な地位向上を図るための具体的な施策を実施していく必要がある。
改憲案の否決は、オーストラリアにおける先住民問題の解決に向けた大きな後退である。しかし、この結果を契機に、政府や国民が先住民問題に真摯に向き合う姿勢を示すことが重要である。先住民と非先住民が共に歩むことができる社会を実現するために、今後も様々な取り組みが求められるだろう。
先住民に関わらずオーストラリア人は白人以外の人間が嫌いなのではないのか
かつて日本人嫌いな首相がいたのを覚えている。
白豪主義は捨てて未来に羽ばたく国になることを希望したいな。