非正規公務員とは、国や地方自治体に雇用されているが、正規公務員ではない労働者のことである。臨時職員、非常勤職員、嘱託職員、契約職員など、雇用形態や任用形態はさまざまである。
2022年3月末時点で、非正規公務員の数は約120万人にのぼり、正規公務員の約3割を占めている。そのうち、女性が約6割を占め、女性の非正規雇用率は約40%と、正規雇用率の約2倍に上る。
非正規公務員の特徴として、以下の点が挙げられる。
- 雇用形態が不安定で、雇止めのリスクが高い
- 賃金水準が低く、生活が苦しい
- 労働時間や休日が不安定で、ワークライフバランスが取りにくい
- 労働基本権が制約されている
こうした問題から、非正規公務員は「官製ワーキングプア」と呼ばれることもある。
非正規公務員の問題点
非正規公務員の問題点は、主に以下の3つが挙げられる。
- 雇用形態の不安定性
非正規公務員は、ほとんどが臨時職員や非常勤職員であり、雇用期間が定められている。また、任期満了による雇止めのリスクも高い。そのため、収入や雇用が安定せず、生活が不安定になる。
- 賃金水準の低さ
非正規公務員の賃金水準は、正規公務員と比べて低い。総務省の調査によると、2021年度の非正規公務員の平均月収は約21万円で、正規公務員の約3分の2にとどまっている。そのため、生活が苦しく、家計が圧迫される。
- 労働環境の悪さ
非正規公務員は、労働時間や休日が不安定で、ワークライフバランスが取りにくい。また、労働基本権が制約されているため、団体交渉やストライキなどの権利を行使することができない。
非正規公務員の問題の解決策
非正規公務員の問題を解決するためには、以下の施策が考えられる。
- 雇用形態の安定化
非正規公務員の雇用期間を延長し、雇止めのリスクを減らす。また、正規公務員への転換制度を整備し、雇用の安定性を高める。
- 賃金水準の向上
非正規公務員の賃金水準を正規公務員に近づける。また、最低賃金の引き上げなども検討する。
- 労働環境の改善
非正規公務員の労働時間や休日を安定させ、ワークライフバランスを改善する。また、労働基本権の制約を緩和し、労働者の権利を守る。
非正規公務員問題への取り組み
政府は、非正規公務員の問題を認識し、解決に向けて取り組んでいる。2020年には、非正規公務員の雇用形態の安定化や賃金水準の向上を図るための法改正を行った。また、2023年には、非正規公務員の労働基本権の制約を緩和する法案が提出された。
しかし、これらの施策は、まだ十分なものとは言えない。非正規公務員の雇用形態の安定化や賃金水準の向上については、さらなる努力が必要である。また、労働基本権の制約については、さらに大きな改革が必要である。
結論
非正規公務員は、日本の社会にとって重要な役割を担っている。しかし、雇用形態の不安定性や賃金水準の低さなど、さまざまな問題を抱えている。
政府は、非正規公務員の問題を解決するために、さらなる施策を講じていく必要がある。また、労働者や市民も、非正規公務員の問題に理解を深め、声を上げていく必要がある。
非正規公務員の職種は、国や地方自治体の組織で働く職種のすべてに広がっています。主な職種としては、以下のようなものが挙げられます。
-
事務職
- 一般事務
- 会計
- 人事
- 総務
- 企画
- 広報
- 情報システム
- 図書館
- 文書館
- 公文書館
-
技術職
- 建築
- 土木
- 機械
- 電気
- 情報処理
- 医療
- 保育
- 福祉
- 教育
- 社会福祉
-
介護職
-
その他
- 警備員
- 清掃員
- 運転手
- 農業
- 漁業
- 林業
- 観光
- 文化
- スポーツ
非正規公務員の職種は、国や地方自治体の業務内容によっても異なります。例えば、国では、税務や労務、国土交通などの専門職の非正規公務員も多く働いています。地方自治体では、保育や福祉、教育などの社会福祉分野の非正規公務員が多いのが特徴です。
また、非正規公務員の職種は、近年、さまざまな分野に拡大しています。例えば、民間企業に委託された業務を担う非正規公務員も増えています。
非正規公務員は、日本の社会にとって重要な役割を担っています。しかし、雇用形態の不安定性や賃金水準の低さなど、さまざまな問題を抱えています。