還付金ミスを防ぐには?行政機関と納税者の取り組みとは

還付金ミスについて

 

還付金ミスとは、税金の納付額が本来よりも多かった場合に、納税者に過払い分を返還する際に、返還額が正しく算定されていない、または還付金の金額や振り込み先が誤っているなどのミスが発生する事態を指す。

還付金ミスは、税務署や地方自治体などの行政機関の事務処理のミス、納税者の申告のミス、あるいはシステムの不具合など、さまざまな原因で発生する可能性がある。

還付金ミスは、納税者にとっては、本来受け取れるはずの還付金が受け取れない、または過払い分を返還しなければならないなど、大きな不利益をもたらす可能性がある。また、行政機関の信頼を失墜させるなど、社会的な問題にもなりかねない。

還付金ミスを防ぐためには、行政機関や納税者双方の取り組みが必要である。行政機関は、事務処理の精度を向上させるための研修やシステムの改善を進め、納税者は、申告の際には正確な情報を記載するよう心がけることが重要である。

還付金ミスの事例

日本では、近年、還付金ミスの発生が相次いでいる。

2022年には、山梨県北杜市が、個人住民税の還付金額を通知する際に、99件の誤記載があったことを明らかにした。表計算システムからデータを移行した際、還付金額を誤って横並びに重複して記載したため、桁数が倍になって読めるものもあった。

2021年には、大阪府摂津市が、住民税の還付金として、60代の男性に本来より約1500万円多く還付していたことが明らかになった。市によると、担当者が控除額を誤って入力したことが原因だった。男性はすでに還付金を使い込んでおり、市は返還を求めて訴訟を起こした。

2020年には、東京都港区が、個人住民税の還付金として、60代の男性に本来より約500万円多く還付していたことが明らかになった。市によると、担当者が控除額を誤って入力したことが原因だった。男性は返還に応じた。

これらの事例のように、還付金ミスは、多額の金額に及ぶものも少なくない。

還付金ミスの原因

還付金ミスの原因は、大きく分けて以下の3つが挙げられる。

  • 行政機関の事務処理ミス

行政機関の事務処理ミスは、還付金ミスの最も一般的な原因である。担当者の入力ミスや、計算ミス、手続きの不備など、さまざまな要因が考えられるが、近年は、複雑化する税制や、デジタル化の進展による事務処理の負担増加などが、ミスの発生に拍車をかけている。

  • 納税者の申告ミス

納税者の申告ミスも、還付金ミスの原因となる。控除額や所得金額などの申告内容に誤りがあると、還付額が正しく算定されない可能性がある。

  • システムの不具合

システムの不具合による還付金ミスも発生する。税務システムや、納税者の申告を電子化するシステムなど、さまざまなシステムが利用されているが、システムの不具合によって、誤った情報が処理される可能性がある。

還付金ミスの対策

還付金ミスを防ぐためには、行政機関と納税者双方の取り組みが必要である。

行政機関は、事務処理の精度を向上させるための研修やシステムの改善を進めることが重要である。また、納税者への啓発活動も重要である。納税者に正確な情報を提供することで、申告ミスを防止することができる。

還付金ミスの影響

還付金ミスは、納税者にとって、大きな不利益をもたらす可能性がある。

本来受け取れるはずの還付金が受け取れない場合、その分、納税者の負担が増える。また、過払い分を返還しなければならない場合、納税者の資金繰りに影響を与える可能性がある。

また、還付金ミスは、行政機関の信頼を失墜させるなど、社会的な問題にもなりかねない。

還付金ミスを防ぐために、行政機関と納税者双方が、より一層の取り組みが必要である。

ある例

大阪府摂津市が2018年、市内の男性に本来より約1500万円多く住民税を還付した問題で、市は1日、全額の回収を断念したと発表した。約550万円は回収できる見込みとしている。  市によると、18年4月に市の担当者が、男性の住民税の控除額を端末に誤って入力。約166万円のはずが、約1668万円と1ケタ多くしていた。約1年後にミスに気づいて返還を求めたが、男性は「使ってしまい、返還できない」と答えたという。  市は男性を提訴し、大阪地裁は21年10月に過払い分約1500万円の全額を返還するよう命じた。その後も交渉を続けたが、男性は22年に破産を申し立てたという。出典https://news.yahoo.co.jp/articles/c287716aadbca89d5df8ff2ed60d616c7e10661a

大阪府摂津市の男性が、本来より約1500万円多く受け取った住民税を返還しなかった場合、詐欺罪が成立する可能性がある。

詐欺罪とは、人を欺いて財物を交付させた場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる犯罪です。

この場合、男性は、市の過失によって多額の還付金を受け取り、本来は返還しなければならないことを知りながら、返還しなかったと推認されます。

そのため、男性は、市を欺いて財物を交付させたと評価され、詐欺罪が成立する可能性があると考えられます。

ただし、男性が還付金を使い込んでしまい、返還できないと主張しているため、詐欺罪が成立するかどうかは、裁判で判断されることになります。

なお、男性が破産を申し立てた場合、破産法上の免責制度により、民事上の債務を免除される可能性もあります。

しかし、詐欺罪は、刑事罰が科される犯罪であるため、破産手続きにおいて、詐欺罪が免責されるかどうかは、裁判所の判断に委ねられます。

裁判所は、男性の行為が詐欺罪に該当するか否か、さらに、詐欺罪が成立した場合でも、男性に免責を認める正当な理由があるかどうかなどを総合的に判断して、免責の可否を決定することになります。

このように、男性が詐欺罪に問われる可能性はありますが、破産手続きによって、免責される可能性もあります。

難しい問題になっていくんですね。