自白剤で自白するか

自白剤の成分は、また本当に自白させられるのか?

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自白剤とは、被疑者や証人に対して、真実を話させるために使用されるとされる薬物のことです。自白剤は、映画や小説などのフィクション作品でよく登場しますが、現実にも存在するのでしょうか?そして、自白剤の成分は何なのでしょうか?本当に自白させられるのでしょうか?

自白剤の歴史

自白剤の起源は、1930年代に遡ります。当時、ドイツの精神科医ヴァルター・フロイデンタールは、アヘン誘導体の一種であるスコポラミンを用いて、患者の無意識の記憶を呼び起こすという実験を行っていました。スコポラミンは、眼科手術や麻酔前投与などにも使われる薬物で、眼球運動や唾液分泌を抑制する効果があります。しかし、スコポラミンには、催眠作用や記憶障害などの副作用もあります。フロイデンタールは、スコポラミンを投与した患者が、普段は話さないような秘密や恥ずかしい話をすることに気づきました。彼は、この現象を「ナルコシス」と呼び、スコポラミンを「真実の薬」と称しました。

フロイデンタールの研究は、第二次世界大戦中にナチスによって利用されました。ナチスは、スコポラミンを捕虜やレジスタンスに対して使用し、情報を引き出そうとしました。しかし、スコポラミンは、被験者の精神状態や投与量によって効果が異なります。また、被験者が嘘をつくことも可能です。そのため、スコポラミンによる尋問は、信頼性が低く、効果が不安定でした。

戦後も、自白剤の研究は続けられました。1950年代から1960年代にかけて、アメリカ中央情報局(CIA)は、「MKウルトラ計画」と呼ばれる極秘の人体実験を行いました。この計画では、LSDやメスカリンなどの幻覚剤や向精神薬を用いて、被験者の精神操作や洗脳を試みました。しかし、これらの薬物もまた、被験者によって反応が異なります。また、倫理的な問題や人権侵害などの批判も高まりました。そのため、MKウルトラ計画は1973年に中止されました。


自白剤の現状

現在でも、自白剤として使用されるとされる薬物はいくつかあります。例えば、

- バルビツール酸系バルビツール酸系睡眠薬や鎮静剤として使われる薬物です。バルビツール酸系には、ペントバルビタールチオペンタールなどがあります。これらの薬物は、被験者の抑制や恐怖心を減らし、話しやすくする効果があります。しかし、これらの薬物もまた、被験者の意識や記憶に影響を与えます。また、過剰投与すると死に至る危険もあります。
- ベンゾジアゼピン系:ベンゾジアゼピン系は不安や緊張を和らげる薬物です。ベンゾジアゼピン系には、ジアゼパムロラゼパムなどがあります。これらの薬物は、被験者の心理的な抵抗を弱める効果があります。しかし、これらの薬物もまた、被験者の判断力や記憶力に影響を与えます。また、依存性や離脱症状もあります。
- オキシトシンオキシトシンは、人間の脳内で分泌されるホルモンです。オキシトシンは、母子間の絆や恋愛感情などに関係するとされています。オキシトシンは、被験者の信頼感や親密感を高める効果があります。しかし、オキシトシンもまた、被験者の感情や思考に影響を与えます。また、オキシトシンの効果は、被験者の性格や社会的な状況によって変わります。

以上のように、自白剤として使用されるとされる薬物はいくつかありますが、いずれも完全に真実を話させることができるという証拠はありません。また、これらの薬物は、被験者の精神や身体に様々な影響を及ぼします。さらに、自白剤の使用は、倫理的な問題や人権侵害などの問題を引き起こします。

自白剤の成分は、また本当に自白させられるのか?という問いに対する答えは、「否」ということになります。自白剤は、フィクション作品であっても現実ではありません。真実を話させるためには、自白剤ではなく、正当な法的手続きや科学的な証拠が必要です。