賃上げ値上げで対応について
賃上げ・値上げで対応
近年、急速な物価上昇と人手不足を背景に、企業にとって賃上げと値上げは喫緊の課題となっています。しかし、賃上げと値上げは、企業の収益や顧客満足度に直接影響を与えるため、適切な対応が求められます。
目次
1. 賃上げ・値上げの現状
1.1 賃上げ
1.2 値上げ
2. 賃上げ・値上げへの対応
2.1 賃上げ
2.2 値上げ
3. 賃上げ・値上げの課題
3.1 経営への影響
3.2 顧客への影響
3.3 人材確保への影響
4. まとめ
賃上げ・値上げで対応:企業の現状と課題
1. 賃上げ・値上げの現状
1.1 賃上げ
2023年春季労使交渉における平均賃上げ率は3.0%、30年ぶりの高水準
厚生労働省の調査によると、2023年春季労使交渉における平均賃上げ率は3.0%となり、1993年春以来30年ぶりの高水準となりました。これは、人手不足や物価上昇の影響によるものです。
大企業を中心に、積極的な賃上げを実施する動きが広まっています。背景としては、人材確保・定着、従業員モチベーション向上、業績向上などが挙げられます。
大企業と中小企業で賃上げ率に差
大企業と中小企業では、賃上げ率に差が出ています。2023年春季労使交渉における大企業の平均賃上げ率は3.6%なのに対し、中小企業の平均賃上げ率は2.5%となっています。これは、大企業の方が財務状況が良好で、賃上げを実施する余裕があるためと考えられます。
1.2 値上げ
企業の7割が値上げを実施、今後も価格転嫁が進むと予想
調査会社帝国データバンクの調査によると、2023年5月時点で、企業の7割が値上げを実施しています。これは、原材料価格の高騰や人件費上昇の影響によるものです。
今後も、原材料価格の高騰や人件費上昇が続くと予想されるため、値上げを実施する企業が増加していくと見込まれます。
値上げ幅は、商品・サービスや企業によって様々
値上げ幅は、商品・サービスや企業によって様々です。例えば、食品やエネルギーなどの生活必需品は、値上げ幅が大きい傾向があります。
企業の中には、値上げ幅を抑えるために、コスト削減努力を行ったり、代替商品やサービスを開発したりしているところもあります。
2. 賃上げ・値上げへの対応
2.1 賃上げ
業績状況や財務状況を踏まえ、適切な賃上げ率を設定する
賃上げを実施する際には、業績状況や財務状況を踏まえ、適切な賃上げ率を設定することが重要です。賃上げ率が高すぎると、企業の収益を圧迫してしまう可能性があります。
一方、賃上げ率が低すぎると、人材確保・定着が難しくなる可能性があります。
従業員の貢献度や職種、地域などを考慮した、個別具体的な賃金体系を構築する
一律にすべての従業員に同じ賃上げ率を適用するのではなく、従業員の貢献度や職種、地域などを考慮した、個別具体的な賃金体系を構築することが重要です。
貢献度の高い従業員や、人材不足が深刻な職種、人件費が高い地域の従業員には、より高い賃上げ率を適用することで、モチベーション向上や人材確保につなげることができます。
賃上げとあわせて、福利厚生制度の充実や働き方改革なども検討する
賃上げとあわせて、福利厚生制度の充実や働き方改革なども検討することで、従業員の満足度を高めることができます。
例えば、育児・介護休暇制度の拡充や、在宅勤務制度の導入、フレックスタイム制の導入などが考えられます。
2.2 値上げ
原材料価格や人件費上昇などの根拠を明確にし、顧客に丁寧に説明する
値上げを実施する際には、原材料価格や人件費上昇などの根拠を明確にし、顧客に丁寧に説明することが重要です。
値上げの理由を説明することで、顧客の理解を得やすくなり、値上げへの抵抗感を減らすことができます。
値上げ幅を抑えるためのコスト削減努力を行う
値上げ幅を抑えるためには、コスト削減努力を行うことが重要です。
例えば、仕入先の見直しや、業務効率化、無駄な経費の削減などが考えられます。
代替商品やサービスの開発、顧客への値上げオプションの提示なども検討する
値上げ幅を抑える以外にも、代替商品やサービスの開発、顧客への値上げオプションの提示なども検討することができます。
例えば、廉価版の商品やサービスを開発したり、顧客に対して値上げ幅を選択できるオプションを提示したりすることで、顧客のニーズに合わせた対応をすることができます。
3. 賃上げ・値上げの課題
3.1 経営への影響
賃上げ・値上げは、企業の収益に直接影響を与える
賃上げは、人件費増加という形で企業の収益を圧迫します。値上げは、顧客の購買意欲を低下させ、売上減少につながる可能性があります。
企業は、賃上げと値上げのバランスをいかに取るかが重要です。
中小企業は、賃上げ・値上げの影響を受けやすい
中小企業は、大企業に比べて財務基盤が脆弱なため、賃上げ・値上げの影響を受けやすい傾向があります。
賃上げを実施しても、十分な人材確保につながらない可能性や、値上げを実施しても顧客を失ってしまう可能性があります。
3.2 顧客への影響
値上げは、顧客の購買意欲に影響を与える可能性がある
値上げは、顧客の生活費を圧迫し、購買意欲を低下させる可能性があります。特に、生活必需品や高単価な商品・サービスの値上げは、顧客の反発を招きやすいです。
企業は、値上げ前に顧客に丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。
顧客満足度を維持するための施策が必要
値上げを実施しても、顧客満足度を維持するためには、質の高い商品・サービスを提供したり、顧客サービスを向上させたりするなどの施策が必要となります。
顧客とのコミュニケーションを密にすることで、顧客のニーズを把握し、適切な対応をすることが重要です。
3.3 人材確保への影響
賃上げは、人材確保に効果的な施策の一つとなる
賃上げは、優秀な人材を引きつけ、定着させる効果的な施策の一つとなります。
競合企業よりも高い賃金を提示することで、優秀な人材を獲得することができます。
また、賃上げを実施することで、従業員のモチベーションを高め、離職率を低減することができます。
人材確保には、賃上げ以外にも様々な施策が必要
人材確保には、賃上げ以外にも、働き方改革や福利厚生制度の充実など、様々な施策が必要です。
従業員が働きやすい環境を整えることで、優秀な人材を確保し、定着させることができます。
4. まとめ
賃上げと値上げは、企業にとって様々な課題を伴いますが、人材確保、業績向上、顧客満足度維持など、多くのメリットも期待できます。企業は、それぞれの状況を踏まえ、適切な対応を検討していくことが重要です。
参考情報
厚生労働省: https://jsite.mhlw.go.jp/saga-roudoukyoku/content/contents/41_mw2021_A4_japan_saga.pdf
中小企業庁: https://www.chusho.meti.go.jp/
公正取引委員会: https://www.jftc.go.jp/