【2023年最新】医薬品供給不足の原因は?解熱鎮痛薬が特に不足している理由を解説

医薬品供給不足の原因について

2021年以降、日本では医薬品の供給不足が深刻化している。厚生労働省の調査によると、2022年7月時点で、1,600品目以上の医薬品で供給不足が発生している。このうち、ジェネリック医薬品が1,300品目以上を占めている。


医薬品供給不足の原因は、大きく分けて以下の3つが挙げられる。

  1. 一部製薬会社の製造上の不正
  2. 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症の流行
  3. 薬価制度

1. 一部製薬会社の製造上の不正

2020年、複数のジェネリックメーカーで製造上の不正が発覚した。不正の内容は、原薬の不適切な取り扱いや品質管理の不備など多岐にわたる。これらの不正により、製造ラインの停止や業務停止命令などの行政処分が相次いだ。

製造上の不正は、医薬品の供給不足の直接的な原因となった。不正が発覚したメーカーは、製造ラインの再開や品質管理の改善に時間を要したため、供給が滞った。

2. 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症の流行

2020年以降、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症の流行により、医薬品の需要が急増した。特に、せき止め薬や解熱鎮痛薬などの需要が高まり、供給が追いつかなくなった。

また、感染症の流行により、医療機関の業務量が増加し、医薬品の調達や供給に支障をきたすケースも見られた。

3. 薬価制度

日本では、医薬品の価格は薬価制度によって定められている。薬価は、薬価基準に収載されている医薬品の価格の平均値を基準に、使用量や効果などの指標に基づいて算定される。

薬価制度は、国民の医療費の抑制を目的としているが、その一方で、医薬品の製造コストを下げることにつながっている。そのため、ジェネリック医薬品の製造コストが低下し、製造競争が激化したことで、製造上の不正が起こりやすくなるという指摘もある。

医薬品供給不足への対策

医薬品供給不足への対策として、以下の取り組みが進められている。

  • 製造上の不正の再発防止

製造上の不正の再発防止のため、厚生労働省は、製造工程の点検や品質管理体制の強化などの対策を行っている。また、製薬業界においても、自主点検や研修の実施などを通じて、製造上の不正の防止に取り組んでいる。

  • 製造体制の強化

医薬品の供給を確保するため、製造体制の強化が進められている。厚生労働省は、製造業の参入規制の緩和や、製造設備の支援などを行っている。また、製薬業界においても、複数の製造拠点の確保や、製造設備の増強などを進めている。

  • 薬価制度の見直し

薬価制度の見直しも検討されている。厚生労働省は、薬価制度の在り方に関する検討会を設置し、薬価制度の見直しに向けた議論を進めている。

結論

医薬品供給不足は、国民の健康に重大な影響を及ぼす問題である。医薬品の供給を確保するためには、製造上の不正の再発防止、製造体制の強化、薬価制度の見直しなど、さまざまな取り組みが求められる。

今後も、医薬品供給不足の状況を注視し、適切な対策を講じることが重要である。

ちなみに現在一番供給不足を起こしている薬品

 

2023年12月9日現在、日本において最も供給不足となっている薬品は、解熱鎮痛薬です。特に、アセトアミノフェンアセトアミノフェン)やイブプロフェンイブプロフェン)などの主成分を含む薬品は、出荷停止や限定出荷となっているものが少なくありません。

厚生労働省が10月に実施した調査によると、解熱鎮痛薬を含む医療用医薬品の出荷停止・限定出荷品目は、全体の32.4%に上ります。そのうち、解熱鎮痛薬は出荷停止・限定出荷品目の20.1%を占めており、最も高い割合となっています。

解熱鎮痛薬の供給不足の背景には、以下の要因が挙げられます。

解熱鎮痛薬は、風邪やインフルエンザなどの発熱症状の緩和に欠かせない薬品です。供給不足が長期化すると、国民の健康に大きな影響を与える可能性があります。

厚生労働省では、医薬品メーカーと連携して、解熱鎮痛薬などの供給不足の解消に取り組んでいます。また、国民に対しては、必要以上に薬を買いだめしないように呼びかけています。