法曹志望者の裁判官離れが進む!その原因と対策とは?

法曹志望者の裁判官離れについて

 

法曹志望者の裁判官離れ

近年、日本では法曹志望者の裁判官離れが問題視されています。

裁判官のなり手不足があり、任官して10年未満の「判事補」は長らく定員から100人以上不足している状況です。法曹志望者数の減少は、職業としての魅力がなくなっていることが原因とされています。

法曹志望者は、法科大学院を法学部と一体化させ、学部時代から専門的な学習ができることや、人のためになる仕事をしたいという理由から志望しています。

法曹志望者の減少に対応するため、法科大学院への進学を前提に大学の法学部を3年で卒業できる「法曹コース」など、法曹養成制度の改革が行われています。また、国会では裁判所職員定員法の改正案について、法曹離れ、裁判官離れの問題が取り上げられています。

 

裁判官離れの背景には、大きく分けて以下の3つの要因が考えられる。

  1. 裁判官の職務内容や働き方に対するイメージの変化

裁判官は、社会正義を実現するために、紛争を公正に解決する役割を担っている。しかし、近年では裁判官の職務内容や働き方に対するイメージの変化が見られ、法曹志望者からの人気が低下している。

具体的には、裁判官の職務が過重であることや、裁判官の裁量権が拡大していることが懸念されている。また、近年では、裁判員制度の導入や、民事訴訟法の改正により、裁判官の裁量権が拡大し、裁判官の責任が増大していることも、裁判官離れの要因となっていると考えられる。

  1. 弁護士職の魅力の向上

近年、弁護士職の魅力が高まっていることにより、法曹志望者の間で弁護士志望者が増加している。弁護士は、裁判官と同様に、社会正義を実現するために、紛争を解決する役割を担っている。しかし、弁護士は、裁判官と比べて、裁量権が小さく、職務内容も多岐にわたるため、裁判官よりも働きやすいというイメージが持たれている。

また、近年では、弁護士の社会的地位や収入も向上しており、弁護士職の魅力が高まっている。

  1. 法科大学院の充実

近年、法科大学院の充実により、法曹志望者にとって、裁判官以外の進路選択の可能性が広がっている。法科大学院では、裁判官のほか、弁護士、検察官、公証人、行政官など、さまざまな法曹職を目指すためのカリキュラムが提供されている。

また、法科大学院の修了後も、司法試験に合格しなくても、公務員採用試験や民間企業の法務職など、さまざまな職業に就くことができる。

裁判官離れが深刻化すると、裁判所の機能が低下する恐れがある。裁判官は、社会正義を実現するために、重要な役割を担っている。裁判官離れを食い止めるためには、裁判官の職務内容や働き方に対するイメージの改善や、裁判官の地位や待遇の向上など、さまざまな対策が必要である。

裁判官離れを食い止めるための対策

裁判官離れを食い止めるためには、以下の対策が必要である。

  • 裁判官の職務内容や働き方に対するイメージの改善

裁判官の職務内容や働き方に対するイメージの改善には、裁判官の業務内容や働き方の実態を広く周知することが重要である。また、裁判官のワークライフバランスを改善するための施策を講じることも必要である。

  • 裁判官の地位や待遇の向上

裁判官の地位や待遇の向上には、裁判官の給与や退職金の引き上げなど、経済的な面からの支援を行うことが重要である。また、裁判官の社会的地位を向上させるための啓発活動も必要である。

  • 法曹教育の充実

法曹教育の充実には、裁判官職を目指す学生に対して、裁判官の職務内容や働き方について、より具体的な情報を提供することが重要である。また、裁判官としての適性を養うための教育プログラムの開発・実施も必要である。

裁判官離れを食い止めるためには、これらの対策を総合的に講じることが重要である。

裁判官自身の審判は機能しているのか

2023年11月27日現在、裁判官自身の審判を選挙時において罷免された裁判官は、日本国憲法施行以降、一人もいない。

裁判官の罷免は、裁判官訴追委員会の訴追を受けた裁判官について、国会が行うことができる。裁判官訴追委員会は、衆議院議員参議院議員の中から選ばれた11名で構成され、裁判官の罷免の訴追を行うかどうかを決定する。

裁判官訴追委員会は、裁判官の罷免の訴追を決定した場合、裁判官弾劾裁判所に訴追する。裁判官弾劾裁判所は、国会議員の中から選ばれた14名で構成され、裁判官の罷免の有無を審判する。

裁判官の罷免の訴追の理由は、以下のとおりである。

  • 職務上の義務に違反し、国民の信頼を失った場合
  • 法令に違反し、裁判の公正を害した場合
  • 犯罪行為により、裁判官としての品位を失った場合

裁判官訴追委員会は、これまでに123人の裁判官について、罷免の訴追を決定している。しかし、そのうち、裁判官弾劾裁判所において罷免の判決を受けた裁判官は、一人もいない。

その理由としては、以下の2つが挙げられる。

  1. 裁判官訴追委員会による慎重な訴追判断

裁判官訴追委員会は、裁判官の罷免という重大な決定を行うため、慎重な判断を行っている。そのため、罷免の訴追を決定する場合には、裁判官の行為が、上記の罷免の理由に該当するかどうかを、厳格に審査している。

  1. 裁判官弾劾裁判所による慎重な審判

裁判官弾劾裁判所は、裁判官の罷免という重大な決定を行うため、慎重な審判を行っている。そのため、罷免の判決を下す場合には、裁判官の行為が、罷免の理由に該当するかどうかを、十分に検討している。

このように、裁判官の罷免は、裁判官訴追委員会裁判官弾劾裁判所の慎重な判断により、これまでに行われていない。

結構安全な職業と思うが裁判官は人気がないのかな。