私人逮捕系YouTuberに絡まれたらどう対応すべきか
近年、痴漢や盗撮、チケット転売の疑いのある人を私人逮捕する「私人逮捕系YouTuber」が話題となっている。彼らは、現行犯逮捕の条件を満たしていなくても、自らの判断で容疑者を逮捕し、動画を撮影して公開する。
このような行為は、法的に問題があるとして批判の声も上がっている。しかし、実際に私人逮捕系YouTuberに絡まれた場合、どう対応すればよいのだろうか。
ここでは、私人逮捕系YouTuberに絡まれた場合の対応について、弁護士の見解も踏まえて解説する。
私人逮捕の法的根拠
私人逮捕とは、一般人が現行犯人または逃亡の恐れのある人を逮捕することである。刑事訴訟法第213条には、以下のように規定されている。
現行犯人は、誰でも逮捕することができる。
逃亡の恐れのある犯人は、誰でも逮捕することができる。
つまり、私人逮捕は、現行犯人または逃亡の恐れのある人を逮捕する場合に、誰でも行うことができるのである。
しかし、私人逮捕には、以下の要件を満たす必要がある。
- 現行犯人または逃亡の恐れのある人であること
- 逮捕の必要性があること
- 逮捕の手段が適当であること
私人逮捕系YouTuberの行為は合法か
私人逮捕系YouTuberの行為は、上記の要件を満たすものであれば、合法である可能性がある。しかし、実際には、以下のような問題点がある。
- 現行犯の認定が難しい
- 逃亡の恐れの認定が難しい
- 逮捕の必要性の認定が難しい
- 逮捕の手段が適当かどうかが争われる可能性がある
例えば、痴漢の現行犯として私人逮捕された場合、容疑者が痴漢行為を行ったことを立証するのは難しい。また、逃亡の恐れがあるのかについても、客観的に判断するのは難しい。さらに、逮捕の必要性については、容疑者の人権とのバランスを考慮する必要がある。
そのため、私人逮捕系YouTuberの行為が合法であるかどうかは、個々のケースにおいて判断される必要がある。
私人逮捕された場合の対応
私人逮捕された場合、以下のような対応をするのが一般的である。
- 逮捕の理由を尋ねる
- 黙秘権を行使する
- 警察に連絡する
逮捕の理由を尋ねることで、容疑内容を把握し、対応を検討することができる。また、黙秘権を行使することで、不利な供述を避けることができる。そして、警察に連絡することで、公権力の介入を得ることができる。
なお、私人逮捕された場合、警察に身柄を拘束されることはない。ただし、警察が逮捕の必要性を認めた場合は、逮捕される可能性がある。
私人逮捕系YouTuberに絡まれた場合の対応
私人逮捕系YouTuberに絡まれた場合、以下の対応をするのが一般的である。
- 冷静に対応する
- 私人逮捕の要件を満たしているかを確認する
- 警察に連絡する
冷静に対応することで、余計なトラブルを避けることができる。また、私人逮捕の要件を満たしているかを確認することで、不当な逮捕を防ぐことができる。そして、警察に連絡することで、公権力の介入を得ることができる。
具体的には、以下のような対応をするとよいだろう。
- 私人逮捕系YouTuberに「私人逮捕の要件を満たしているか」を確認する。
- 私人逮捕系YouTuberの行為が不当であると判断した場合は、警察に連絡する。
- 警察が到着するまで、その場で待機する。
私人逮捕系YouTuberに絡まれた場合、不安や焦りを感じるのは当然である。しかし、冷静に対応することで、不当な逮捕を防ぐことができる。
私人逮捕系YouTuberの行為を防ぐには
私人逮捕系YouTuberの行為を防ぐためには、以下のような対策が考えられる。
- 私人逮捕の要件を周知する
- 私人逮捕の違法性を訴える
- 私人逮捕系YouTuberの活動を規制する
私人逮捕系YouTuberの行為を防ぐためには、以下のような対策が考えられる。
- 私人逮捕の要件を周知する
私人逮捕の要件を周知することで、私人逮捕を誤解して行う人を減らすことができる。そのためには、学校や地域コミュニティなどで、私人逮捕の要件や違法性を学ぶ機会を設けるなどの対策が考えられる。
- 私人逮捕の違法性を訴える
私人逮捕は、現行犯人または逃亡の恐れのある人を逮捕する場合に、誰でも行うことができるとされている。しかし、実際には、私人逮捕の要件を満たしていない場合や、逮捕の手段が適当でない場合など、違法となるケースが多い。そのため、私人逮捕の違法性を訴えることによって、私人逮捕の抑止につながる可能性がある。
- 私人逮捕系YouTuberの活動を規制する
私人逮捕系YouTuberの活動を規制することで、私人逮捕自体の抑止につながる可能性がある。そのためには、私人逮捕系YouTuberの動画の配信を禁止するなどの規制が考えられるが、表現の自由との兼ね合いで難しい面もある。
私人逮捕系YouTuberの行為を防ぐための具体的な対策
上記の対策を具体的に実施するためには、以下のような取り組みが必要である。
- 私人逮捕の要件を分かりやすく解説したパンフレットや動画を作成・配布する
- 私人逮捕の違法性を訴える講演会やイベントを開催する
- 私人逮捕系YouTuberの動画の配信を禁止する法規制を検討する
これらの取り組みを通じて、私人逮捕系YouTuberの行為を防ぎ、社会の安全を守ることが重要である。
私人逮捕系YouTuberへの批判の声
私人逮捕系YouTuberの行為は、以下のような批判の声が挙がっている。
- 現行犯の認定が難しい
痴漢や盗撮などの犯罪は、被害者が気づかずに犯行が終わってしまうことが多い。そのため、現行犯として私人逮捕することは難しい。
- 逃亡の恐れの認定が難しい
逃亡の恐れがあるかどうかは、客観的に判断するのが難しい。例えば、痴漢の容疑者であれば、被害者に連絡先を教えて謝罪すれば、逃亡の恐れはなくなる可能性がある。
- 逮捕の必要性の認定が難しい
逮捕の必要性は、容疑者の人権とのバランスを考慮して判断される必要がある。例えば、痴漢の容疑者であれば、警察に被害届を提出すれば、逮捕せずに身柄を拘束することも可能である。
- 逮捕の手段が適当かどうかが争われる可能性がある
私人逮捕の手段が適当かどうかは、個々のケースにおいて判断される必要がある。例えば、痴漢の容疑者に対して、暴力を振るったり、人格を侮辱するような発言をしたりする行為は、逮捕の手段として適当ではないと判断される可能性がある。
これらの批判の声は、私人逮捕系YouTuberの行為が、適正な手続きを経ずに行われていることを示している。そのため、私人逮捕系YouTuberの行為を防ぐための対策が必要である。