遺言書が無効になる具体例について
遺言書が無効になる具体例
遺言書は、遺言者の意思を実現するための重要な法律行為です。しかし、遺言書の作成や保管に不備があると、遺言書が無効になる可能性があります。遺言書が無効になると、遺言書の内容が反映されず、法律の規定に従って遺産が相続されることになります。
遺言書が無効になる具体例は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 形式上の要件を満たしていない場合
- 遺言能力がない場合に作成された場合
- 内容が公序良俗に反する場合
形式上の要件を満たしていない場合
遺言書には、以下の形式上の要件が定められています。
- 自筆証書遺言:全文が遺言者の自筆で書かれていること。
- 公正証書遺言:公証人によって作成されること。
- 秘密証書遺言:遺言者が封印した遺言書を2人以上の証人に交付し、封印を解くことなく保管すること。
これらの形式上の要件を満たしていない遺言書は無効となります。
自筆証書遺言が無効になる具体例
- 遺言書の全文が遺言者の自筆で書かれていない場合
- 遺言書に日付が記載されていない場合
- 遺言書に遺言者の氏名が記載されていない場合
- 遺言書に押印が押されていない場合
- 遺言書が複数人で作成されている場合
公正証書遺言が無効になる具体例
- 公証人によって作成されていない場合
- 遺言者が公証人に対して遺言の意思を表示していない場合
秘密証書遺言が無効になる具体例
- 遺言者が封印した遺言書を2人以上の証人に交付していない場合
- 遺言者が封印を解くことなく保管していない場合
遺言能力がない場合に作成された場合
遺言書は、遺言者の意思を実現するための法律行為であるため、遺言者が遺言能力を有していることが必要です。遺言能力とは、遺言の内容を理解し、自らの意思で遺言を作成することができる能力のことです。
遺言能力がない場合に作成された遺言書は無効となります。
遺言能力がない場合に作成された遺言書の具体例
- 認知症や精神疾患などの精神障害により、遺言の内容を理解し、自らの意思で遺言を作成することができない状態にある場合
- 重大な錯誤や詐欺、強迫により、遺言の内容を理解し、自らの意思で遺言を作成することができない状態にある場合
内容が公序良俗に反する場合
遺言書の内容は、公序良俗に反するものであってはなりません。公序良俗とは、社会一般の道義観念や倫理観念のことです。
公序良俗に反する遺言書は無効となります。
公序良俗に反する遺言書の具体例
- 遺産を特定の人に相続させる旨の遺言書が、その人が相続人としての資格を有していない場合
- 遺産を特定の人に相続させる旨の遺言書が、その人が相続人として相続を放棄した場合
- 遺産を特定の人に相続させる旨の遺言書が、その人が遺言者の殺害を犯した場合
遺言書が無効になるとどうなる?
遺言書が無効になると、遺言書の内容が反映されず、法律の規定に従って遺産が相続されることになります。
具体的には、以下の順序で遺産が相続されます。
- 配偶者
- 子
- 直系尊属
- 兄弟姉妹
遺言書が無効になる可能性がある場合は、弁護士などの専門家に相談して、遺言書の有効性を検討してもらうことが大切です。