建設業の時間外労働、2024年4月から上限規制、違反すると罰則も?

時間外労働の上限規制2024年罰則について

2024年4月1日より、建設業における時間外労働の上限規制が適用されます。この規制に違反した場合、罰則が科せられることになります。

罰則の概要

時間外労働の上限規制に違反した場合、労働基準法第119条第1項第5号の規定により、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。


規制の対象

時間外労働の上限規制の対象となるのは、建設業に従事する労働者です。ただし、災害時における復旧・復興の事業を除きます。

規制の内容

時間外労働の上限規制の内容は、以下のとおりです。

  • 月100時間未満
  • 2~6ヶ月平均80時間以内

罰則の適用要件

時間外労働の上限規制に違反した場合、罰則が適用されるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 36協定を締結している場合
  • 36協定で定めた時間外労働の上限を超えて労働させた場合

罰則の適用手続き

時間外労働の上限規制に違反した場合、まず労働基準監督官による調査が行われます。調査の結果、違反が認められた場合、労働基準監督官は事業主に対し、是正勧告を行います。

事業主が是正勧告に従わなかった場合、労働基準監督官は処罰の検討に入ります。処罰の対象となるのは、時間外労働をさせた事業主の役員や使用人となります。

罰則の効力

時間外労働の上限規制の罰則は、労働基準法の規定に基づくものであるため、強行法規として適用されます。したがって、労働者の同意があったとしても、罰則を免れることはできません。

罰則の抑止効果

時間外労働の上限規制の罰則は、事業主に時間外労働の抑制を促すためのものです。罰則が科せられることになれば、事業主は社会的信用を失うだけでなく、経営にも重大な影響を与える可能性があります。

罰則の課題

時間外労働の上限規制の罰則には、以下の課題が指摘されています。

  • 違反の立証が難しい
  • 罰則が軽い

違反の立証については、労働基準監督官が労働者からの申告や事業主への調査などにより、違反の事実を立証する必要があります。しかし、労働時間の管理が不十分な場合や、労働者が違反を申告しない場合などには、違反の立証が難しいという問題があります。

また、罰則が軽いことも課題として指摘されています。6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金は、事業主にとっては軽微な罰則である可能性があります。そのため、罰則の効果が十分に発揮されていないという指摘もあります。

今後の課題

時間外労働の上限規制の罰則については、今後も以下の課題が検討されることになると考えられます。

  • 違反の立証を容易にする仕組みの導入
  • 罰則の引き上げ

違反の立証を容易にする仕組みの導入としては、労働者からの申告を容易にする制度の整備や、労働時間の自動記録・管理の義務化などが考えられます。

罰則の引き上げについては、1年以下の懲役または50万円以下の罰金などの引き上げが検討されています。

時間外労働の上限規制は、働き方改革の重要な取り組みのひとつです。罰則の強化などにより、罰則の効果を高めることで、労働者の健康確保と働きやすい環境の整備につなげることが期待されています。