リチウムイオン電池はいつでも充電できるのになぜ劣化するのか?その原因と対策を紹介

リチウムイオン電池はいつでも充電について

 

リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコンなどの携帯機器に広く使われている充電式電池です。リチウムイオン電池の特徴は、高いエネルギー密度と長い寿命を持つことです。しかし、リチウムイオン電池の充電方法には注意が必要です。リチウムイオン電池はいつでも充電できるという誤解がありますが、実際には充電のタイミングや方法によって、電池の性能や寿命に影響を与える可能性があります。この記事では、リチウムイオン電池の充電について、以下の点について解説します。


1. リチウムイオン電池の仕組みと充電の原理
2. リチウムイオン電池の充電における注意点
3. リチウムイオン電池の充電に関するよくある質問と回答

 

1.リチウムイオン電池の仕組みと充電の原理

リチウムイオン電池は、正極と負極の間に液体や固体の電解質が入った構造をしています。正極はリチウム化合物でできており、負極は炭素材料でできています。リチウムイオン電池が放電するときは、正極から負極へリチウムイオンが移動し、同時に外部回路に電子が流れます。これが電気エネルギーとして利用されます。逆に、リチウムイオン電池が充電するときは、負極から正極へリチウムイオンが移動し、同時に外部回路から電子が流れます。これが化学エネルギーとして蓄えられます。

リチウムイオン電池の充電は、一般的に以下の3段階で行われます。

1. 定電流充電:負極から正極へリチウムイオンが移動し始める段階です。この段階では、一定の電流を流し続けます。この時、バッテリーの端子間電圧は徐々に上昇します。
2. 定圧充電:正極にリチウムイオンが満たされ始める段階です。この段階では、一定の電圧を保ち続けます。この時、バッテリーの端子間電圧は最大値に達します。
3. 浮動充電:正極にリチウムイオンがほぼ満たされた段階です。この段階では、微小な電流を流し続けます。この時、バッテリーの端子間電圧は一定値を保ちます。

このように、リチウムイオン電池の充電は、定電流・定圧・浮動の3段階で行われますが、実際には浮動充電まで行う必要はありません。浮動充電は、バッテリーの容量を100%にするために行われますが、リチウムイオン電池は100%に充電すると、正極のリチウム化合物が過剰に反応して劣化する可能性があります。そのため、リチウムイオン電池は80%から90%程度の充電で十分です。また、浮動充電は、バッテリーの温度が上昇することで、内部抵抗が増加し、発熱や発火のリスクが高まる可能性があります。そのため、リチウムイオン電池は定圧充電まで行って、充電器から外すことが望ましいです。

2.リチウムイオン電池の充電における注意点

リチウムイオン電池の充電には、以下のような注意点があります。

- 充電器の選択

リチウムイオン電池には、適切な充電器を使うことが重要です。充電器は、バッテリーの種類や容量に合わせて、適切な電流や電圧を供給する必要があります。適切でない充電器を使うと、バッテリーの劣化や破損を招く可能性があります。特に、安価な非純正品の充電器は、品質や安全性に問題がある場合があります。そのため、できるだけ純正品や信頼できるメーカーの充電器を使うことをおすすめします。
- 充電環境の選択

リチウムイオン電池には、適切な温度や湿度の環境で充電することが重要です。リチウムイオン電池は、高温や低温に弱く、温度変化によって内部構造が変化する可能性があります。高温では、バッテリーの内部抵抗が低下し、過充電や過放電のリスクが高まります。低温では、バッテリーの内部抵抗が上昇し、容量や出力が低下します。また、湿度が高いと、バッテリーの表面に水分が付着し、ショートや腐食の原因となります。そのため、リチウムイオン電池は、一般的に10℃から35℃程度の温度で、乾燥した場所で充電することをおすすめします。
- 充電時間の選択

リチウムイオン電池には、適切な時間で充電することが重要です。リチウムイオン電池は、長時間充電すると劣化する可能性があります。特に、定圧充電や浮動充電の段階では、バッテリーの温度や圧力が上昇することで劣化が進みます。そのため、リチウムイオン電池は定圧充電まで行ってから充電器から外すことをおすすめします。また、定圧充電まで行った後でも、バッテリーは自然放電を起こします。自然放電とは、バッテリー内部の化学反応によって電気エネルギーが失われる現象です。自然放電の速度は、バッテリーの種類や温度によって異なりますが、一般的には高温になるほど速くなります。自然放電によってバッテリーの容量が低下すると、次回の充電時に過充電を引き起こす可能性があります。過充電とは、バッテリーに必要以上の電流を流し続けることで、バッテリー内部の温度や圧力が急激に上昇する現象です。過充電はバッテリーの寿命を短くするだけでなく、発火や爆発の危険性もあります。そのため、リチウムイオン電池は使用しないときは冷暗所に保管し、定期的に放電してから充電することをおすすめします。

リチウムイオン電池の充電に関するよくある質問と回答

リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコンなどの携帯機器に広く使われている充電式電池です。リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度や長い寿命などの特徴を持っていますが、正しく扱わないと劣化したり、発火したりする危険性もあります。そこで、リチウムイオン電池の充電に関するよくある質問と回答をまとめました。

Q: リチウムイオン電池は満充電にする必要がありますか?
A: いいえ、満充電にする必要はありません。実際、満充電にすると、電池の劣化を早める可能性があります。リチウムイオン電池は、20%から80%の範囲で使用するのが最適です。また、長期間放置する場合は、50%程度の充電状態で保管することをおすすめします。

Q: リチウムイオン電池は使い切ってから充電するべきですか?
A: いいえ、使い切ってから充電するべきではありません。リチウムイオン電池は、過放電になると、回復不能なダメージを受ける可能性があります。過放電になると、電圧が低下し、内部抵抗が上昇し、充電能力が低下します。また、過放電によって発生したガスが膨張し、電池が膨らんだり破裂したりする危険性もあります。リチウムイオン電池は、10%以下にならないように定期的に充電することが望ましいです。

Q: リチウムイオン電池は高温や低温に弱いですか?
A: はい、高温や低温に弱いです。高温になると、リチウムイオン電池の内部で化学反応が活発化し、劣化や発火の原因となります。低温になると、リチウムイオン電池の内部抵抗が上昇し、充放電能力が低下します。リチウムイオン電池は、15℃から35℃の範囲で使用するのが理想的です。また、高温や低温の場所で保管することも避けるべきです。

Q: リチウムイオン電池は水に濡れても大丈夫ですか?
A: いいえ、水に濡れても大丈夫ではありません。水に濡れると、リチウムイオン電池の外装が破損したり、ショートしたりする可能性があります。また、水分が内部に侵入すると、化学反応が起こり、発熱や発火の原因となります。リチウムイオン電池は、水や湿気から遠ざけて保管することが重要です。万が一、水に濡れた場合は、すぐに電源を切り、乾いた布で拭いて、専門家に相談してください。