戦う建機イスラエルD9Rの特徴と活躍の歴史

戦う建機イスラエルD9Rについて

 

イスラエルの軍事力は世界でも有数であり、その中でも特に注目されるのが戦う建機と呼ばれる装甲ブルドーザーである。この記事では、その中でも最も強力なD9Rという型式の戦う建機について紹介する。

戦う建機とは、通常の建設用ブルドーザーに装甲や武器を取り付けたもので、主に軍事作戦や警備任務に用いられる。イスラエルでは、1967年の第三次中東戦争以降、敵地での道路開削や障害物除去、掩体壕掘削などに戦う建機を活用してきた。また、パレスチナ自治区での対テロ作戦や住宅破壊などにも頻繁に使用されており、国際的にも物議を醸している。

D9Rは、イスラエルアメリカから購入したキャタピラー社製のD9という大型ブルドーザーをベースに改造したものである。D9は重量約50トン、出力約410馬力、最高速度約11キロメートルという性能を持ち、岩盤やコンクリートなどの硬い物質をも破壊できる。D9Rは、このD9にイスラエルの軍需企業であるラファエル社が開発した装甲キットを取り付けたもので、爆発物や銃弾から乗員を守ることができる。また、機関銃や迫撃砲などの武器も搭載可能である。

 

出典https://www.goodspress.jp/howto/425605/

 

D9Rは2002年からイスラエル国防軍に配備されており、現在では約30台が運用されていると推定される。D9Rは主に工兵部隊に所属し、地雷原や道路封鎖などの障害物除去や掩体壕掘削などの任務に従事している。また、パレスチナ自治区での対テロ作戦では、テロリストの隠れ家や武器庫などを破壊するために使用されている。2004年には、ハマスの指導者であるアフマド・ヤシンやアブドゥルアジズ・ランティシを暗殺する作戦にもD9Rが参加している。

D9Rはその巨大さと破壊力から、「怪物」と呼ばれることもある。パレスチナ側からは強い抗議や非難を受けており、人権団体や国際社会からも批判されている。特に2003年には、アメリカ人の平和活動家であったレイチェル・コリーがガザ地区でD9Rに轢かれて死亡するという事件が起きた。この事件は世界的な注目を集め、イスラエル国防軍は運転手に非がないと主張したが、コリーの家族はイスラエル政府を訴えた。2012年には、イスラエルの裁判所がコリーの死は事故であると判断し、イスラエル政府に責任はないとした。

D9Rはイスラエルの軍事力の象徴とも言える戦う建機である。その強大な力は敵に恐怖を与えるが、同時に多くの犠牲者や問題を生むこともある。D9Rの存在は、イスラエルパレスチナの間の平和を望む人々にとって、どのような意味を持つのだろうか。