「聴力、視力の衰え」が認知症リスクを高める?原因と予防法を解説

聴力、視力の衰えと認知症リスクについて

認知症は、加齢とともに脳の機能が低下し、記憶や判断力、言語能力などの認知機能が障害される病気です。日本では、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症と推定されています。

近年の研究で、聴力や視力の衰えが認知症リスクを高める可能性があることが明らかになってきました。

聴力と認知症

難聴は、65歳以上の高齢者の約45%が有するといわれています。難聴があると、会話や周囲の音が聞き取りにくくなり、コミュニケーションや社会的交流が困難になります。

2011年にアメリカのジョンズ・ホプキンズ大学が発表した研究では、軽度の難聴者は、難聴でない人に比べて認知症発症リスクが2倍、中等度難聴者は3倍、高度難聴者は5倍に上昇することが報告されました。

また、2020年には、世界保健機関(WHO)が発表した報告書においても、難聴は認知症のリスク要因の一つとして挙げられています。

視力と認知症

視力低下は、65歳以上の高齢者の約20%が有するといわれています。視力低下があると、周囲の環境や物事が見えにくくなり、生活の質が低下するだけでなく、認知機能にも影響を及ぼす可能性があります。

2015年にアメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校が発表した研究では、視力低下があると、認知症発症リスクが2倍に上昇することが報告されました。

また、2022年には、日本の国立長寿医療研究センターが発表した研究においても、視力低下があると、認知症発症リスクが1.5倍に上昇することが報告されました。

聴力や視力の衰えと認知症リスクの関連

聴力や視力の衰えが認知症リスクを高める理由は、完全には解明されていませんが、以下の3つの仮説が考えられます。

  1. 情報処理の負荷が増加する

聴力や視力の衰えがあると、周囲からの情報を取り込む際に、より多くの脳資源が必要になります。そのため、認知機能に負荷がかかり、認知症リスクが高まると考えられています。

  1. 社会的交流が減少する

聴力や視力の衰えがあると、会話や周囲の音が聞き取りにくくなり、コミュニケーションや社会的交流が困難になります。社会的交流は、認知機能の維持・向上に重要であるため、社会的交流が減少することで、認知症リスクが高まると考えられています。

  1. 脳の萎縮や神経変性が進行する

聴力や視力の衰えは、脳の萎縮や神経変性を促進する可能性があります。そのため、聴力や視力の衰えが認知症リスクを高めると考えられています。

聴力や視力の衰えの予防・改善

聴力や視力の衰えは、認知症リスクを高めるだけでなく、生活の質を低下させる原因となります。そのため、聴力や視力の衰えを予防・改善することは、認知症予防だけでなく、健康寿命の延伸にもつながります。

聴力や視力の衰えを予防・改善するためには、以下のことに注意しましょう。

  • 定期的な検査を受ける

聴力や視力の衰えは、早期発見・早期治療が大切です。定期的に検査を受けることで、早期に発見し、適切な治療を受けることができます。

  • 健康的な生活を送る

喫煙や過度の飲酒、不規則な食生活などは、聴力や視力の衰えを促進する可能性があります。健康的な生活を送ることで、聴力や視力の衰えを予防・改善することができます。

  • 脳の活性化を図る

脳の活性化を図ることで、認知機能の維持・向上につながります。読書や運動、人と会話するなど、脳を活性化させる活動を心がけましょう。

まとめ

聴力や視力の衰えは、認知症リスクを高める可能性があります。聴力や視力の衰えを予防・改善することで、認知症予防だけでなく、健康寿命の延伸にもつながります。

視力、聴力の衰えの原因と対策は

聴力や視力の衰えの原因は、大きく分けて以下の2つに分けられます。

  • 加齢によるもの
  • 疾患や障害によるもの

加齢によるもの

加齢とともに、聴覚や視覚の器官は徐々に衰えていきます。聴力の場合は、耳の内部にある音を伝える細胞が減少し、音を脳に伝える神経の働きが鈍ることが原因です。視力の場合は、目の内部にある網膜や水晶体が老化することで、光を感知する能力が低下することが原因です。

疾患や障害によるもの

加齢以外の原因で聴力や視力が衰えることもあります。聴力の場合は、鼓膜や中耳の炎症、音響外傷、耳垢の蓄積、聴神経の障害など、さまざまな疾患や障害が原因となります。視力の場合は、白内障緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症など、さまざまな疾患や障害が原因となります。

聴力や視力の衰えの症状

聴力や視力の衰えの症状は、以下のようなものです。

  • 聴力
    • 会話や周囲の音が聞き取りにくくなる
    • テレビやラジオの音量を大きくしないと聞き取りにくくなる
    • 高音が聞こえにくくなる
    • 耳鳴りがする
  • 視力
    • ものが見えにくくなる
    • 遠くのものが見えにくくなる
    • 近くのものが見えにくくなる
    • ぼやけて見える
    • 視野が狭くなる

聴力や視力の衰えの予防・改善

聴力や視力の衰えを予防・改善するためには、以下のことに注意しましょう。

  • 定期的な検査を受ける
    • 聴力や視力の衰えは、早期発見・早期治療が大切です。定期的な検査を受けることで、早期に発見し、適切な治療を受けることができます。
  • 健康的な生活を送る
    • 喫煙や過度の飲酒、不規則な食生活などは、聴力や視力の衰えを促進する可能性があります。健康的な生活を送ることで、聴力や視力の衰えを予防・改善することができます。
  • 適切な対策を行う
    • 聴力や視力の衰えが明らかな場合は、適切な対策を行うことで、症状の進行を遅らせることができます。補聴器や眼鏡の使用、生活環境の調整など、自分に合った対策を検討しましょう。

聴力や視力の衰えと認知症リスク

聴力や視力の衰えは、認知症リスクを高める可能性があります。聴力や視力の衰えがあると、周囲からの情報を取り込む際に、より多くの脳資源が必要になります。そのため、認知機能に負荷がかかり、認知症リスクが高まると考えられています。また、社会的交流が減少することで、認知症リスクが高まると考えられています。

聴力や視力の衰えは、認知症予防だけでなく、生活の質を低下させる原因となります。そのため、聴力や視力の衰えを予防・改善することは、認知症予防だけでなく、健康寿命の延伸にもつながります。