生活保護 高齢者にも適用される医療費の自己負担制度とは

生活保護高齢者について

生活保護とは、国や地方自治体が、生活に困窮した人々に対して、必要な経済的援助や福祉サービスを提供する制度です。生活保護の対象者は、年齢や障害の有無などによって異なりますが、高齢者はその中でも重要なグループです。高齢者の生活保護受給者数は、2019年度末で約140万人に達し、全体の約4割を占めています。高齢者の生活保護受給率は、年々増加しており、2020年度には3.6%に達しました。これは、高齢者の貧困や孤立が深刻化していることを示しています。


高齢者の生活保護受給の背景には、さまざまな要因があります。例えば、以下のようなものが挙げられます。

- 年金収入が不足している場合。

年金制度は、高齢者の基本的な生活を保障するために存在しますが、現在の年金水準では、多くの高齢者が生活困難に陥っています。特に、非正規雇用や無職などで十分な年金を積み立てられなかった人や、配偶者や子どもなどの扶養者がいない人は、年金だけでは暮らせません。
- 医療費や介護費が負担になる場合。

高齢者は、健康状態や身体機能の低下によって、医療や介護を必要とすることが多くなります。しかし、医療保険介護保険の自己負担額は、高齢者の所得水準に比べて高く設定されており、支払い困難に陥ることがあります。また、医療や介護を受けるためには、交通費や食費などの付随的な費用もかかります。
- 家族や社会とのつながりが希薄になる場合。

高齢者は、配偶者や友人などの死別や離別によって、孤独に暮らすことになることがあります。また、退職や引退によって、職場や地域との関わりが減少することもあります。これらのことは、高齢者の精神的な支えや情報源を失わせることにつながります。高齢者が自分の権利や利益を主張することができなかったり、生活支援サービスへのアクセスが困難になったりすることもあります。

以上のように、高齢者は生活保護を必要とする理由が多岐にわたります。しかし、生活保護を受給することは決して恥ずかしいことではありません。生活保護は国民全体で支え合う仕組みであり、高齢者もその一員です。高齢者が生活保護を受給することで、自立した尊厳ある生活を送ることができます。また、生活保護を受給することで、医療や介護などの必要なサービスを受けることができます。これは、高齢者の健康や福祉の向上にも寄与します。

生活保護は、高齢者にとって大切な権利です。しかし、生活保護を受給するには、一定の基準や手続きが必要です。高齢者が生活保護を受給するためには、以下のようなことを行う必要があります。

- 生活保護の申請をする。

生活保護の申請は、住所地の市区町村の社会福祉事務所に行うことができます。申請には、本人確認書類や所得証明書類などが必要です。申請後、社会福祉事務所の職員が、高齢者の生活状況や収入・支出などを調査し、生活保護の対象となるかどうかを判断します。
- 生活保護の種類や金額を決める。

生活保護には、基本的な生活費や住宅費などを補う「生活扶助」と、医療費や介護費などを補う「医療扶助」の2種類があります。高齢者がどちらの種類の生活保護を受給するかは、社会福祉事務所の職員が決めます。また、生活保護の金額は、高齢者の家族構成や所得などによって異なります。生活保護の金額は、毎月末に指定された口座に振り込まれます。
- 生活保護の継続や変更をする。

生活保護は、高齢者の生活状況に応じて継続や変更されます。社会福祉事務所の職員は、定期的に高齢者の家庭訪問や面接を行い、収入や支出などを確認します。高齢者が収入が増えたり、家族が増えたりした場合は、生活保護の金額が減額されたり、停止されたりすることがあります。逆に、収入が減ったり、家族が減ったりした場合は、生活保護の金額が増額されたり、再開されたりすることがあります。

このように、高齢者は生活保護を受給することで、様々なメリットを得ることができます。しかし、生活保護を受給することには、以下のようなデメリットもあります。

- 生活保護受給者への偏見や差別がある場合。

生活保護は国民全体で支え合う仕組みですが、一部の人々からは、「税金の無駄遣いだ」「働けばいいだけだ」「恥ずかしいことだ」といった偏見や差別を受けることがあります。これは、高齢者の自尊心やプライバシーを傷つけることになります。
- 生活保護受給者は、社会的に孤立したり、自分の価値を見失ったりすることもあります。しかし、生活保護は権利であり、恥ずかしいことではありません。生活保護を受けることで、必要な医療や介護などのサービスを受けることができます。また、生活保護は一時的な支援であり、自立に向けての支援もあります。生活保護受給者は、自分の可能性を信じて、社会に貢献できるように努力しています。
- 生活保護受給者への偏見や差別は、人権侵害です。私たちは、生活保護受給者に対して、尊敬や理解を持って接する必要があります。生活保護受給者も私たちと同じ国民であり、同じ人間です。私たちは、生活保護受給者の声を聞き、彼らの困難や希望を共有しましょう。私たちは、生活保護受給者と協力して、より良い社会を作りましょう。