消費者をだますダークパターンについて
ダークパターンとは
ダークパターンとは、デジタル環境における消費者の意思決定を、消費者にとって不利益になるように操作する手法である。具体的には、消費者の注意を逸らす、誤解を与える、選択肢を制限するなどの方法を用いて、消費者が望まない選択をするように誘導する。
ダークパターンは、消費者の経済的利益やプライバシーを侵害する可能性があるため、世界各国で問題視されている。日本でも、消費者庁が2023年に「ダークパターンに関する消費者意識調査」を実施し、799人の回答者のうち約4割がダークパターンに遭遇したことがあるという結果が明らかになった。
ダークパターンの種類
ダークパターンには、大きく分けて以下の4つの種類がある。
- 選択肢を制限する
消費者が選択できる選択肢を制限することで、消費者が望まない選択をするように誘導する。例えば、メールマガジンの「受信に同意する」のチェックボックスを初期設定でオンにする、サービスの解約方法を電話連絡に限定するなどの手法がある。
- 注意を逸らす
消費者の注意を逸らすことで、消費者が重要な情報を見逃したり、間違った選択をしたりするように誘導する。例えば、重要な情報の表示を小さくしたり、目立たない場所に配置したりする、誤解を招くような表現を使うなどの手法がある。
- 誤解を与える
消費者に誤解を与えることで、消費者が望まない選択をするように誘導する。例えば、わかりにくい表現を使う、事実と異なる情報を提供するなどの手法がある。
- 感情に訴える
消費者の感情に訴えることで、消費者が望まない選択をするように誘導する。例えば、不安や焦りを与える、プレッシャーをかけるような表現を使うなどの手法がある。
ダークパターンの例
ダークパターンは、オンライン上でさまざまな場面で用いられている。以下に、具体的な例をいくつか挙げる。
ECサイトで商品を購入する際、送料や手数料が商品の価格に含まれていないことに気づかず、高額な支払いをしてしまうケースがある。また、商品のレビューや口コミの表示を制限することで、商品の欠点やリスクを隠そうとするケースもある。
- アプリ
アプリの利用規約やプライバシーポリシーをわかりにくくすることで、消費者が重要な情報を見逃したり、同意をせずに個人情報を提供したりするように誘導するケースがある。また、アプリの利用頻度や利用時間を表示することで、消費者に不安や焦りを与え、アプリの利用を継続させようとするケースもある。
ソーシャルメディアの投稿を「いいね!」や「シェア」することで、消費者が特定の製品やサービスを購入したり、特定のサービスを利用するようになったりするのを狙うケースがある。また、ソーシャルメディアの広告を、消費者の趣味や興味に合わせて表示することで、消費者が広告に興味を持ちやすくし、商品やサービスの購入を促すケースもある。
ダークパターンの対策
ダークパターンへの対策としては、以下のようなものが挙げられる。
- 消費者の意識を高める
消費者がダークパターンの存在や手口を知って、被害に遭わないように注意することが重要である。消費者庁や消費者団体などが、ダークパターンに関する情報提供や啓発活動を行っている。
- 法規制を強化する
ダークパターンを禁止する法律や規制を整備することも有効である。欧州連合では、2022年に「デジタルサービス法(DSA)」が施行され、ダークパターンの禁止が盛り込まれている。
- 企業の自主的な取り組み
企業がダークパターンの使用を自粛し、消費者の利益を尊重した製品やサービスを提供することも重要である。企業は、自社の製品やサービスにダークパターンが含まれていないかを定期的にチェックし、必要に応じて改善を行う必要がある。
ダークパターンの使用は違法
一言で答えると、
「違法になる場合がある」です。
ダークパターンとは、ユーザーの意思決定を誤らせたり、意図しない選択をさせたりする意図的なデザインのことです。具体的には、以下のようなパターンがダークパターンに該当します。
- キャンセルボタンを小さくしたり、わかりにくくしたりする
- デフォルト設定をユーザーにとって不利な内容にする
- 同意の意思表示をわかりにくくする
- ユーザーの操作を妨げる
このようなダークパターンは、消費者保護や公正取引、プライバシー保護などの観点から問題視されており、世界各国で規制が進んでいます。
日本でも、2022年6月に「特定商取引法」が改正され、ダークパターンの使用が禁止されました。具体的には、以下の行為が禁止されています。
- 商品の購入や申し込みを容易にするために、利用者の意思に反して、または意図を誤らせて、利用者の同意を得るように設計された表示
- 利用者の個人情報の取得を容易にするために、利用者の意思に反して、または意図を誤らせて、利用者の同意を得るように設計された表示
この改正により、日本でもダークパターンの使用が違法になる可能性が高まりました。ただし、具体的にどのような行為が違法になるかは、今後の司法判断や行政指導によって明らかになっていくと考えられます。
なお、ダークパターンの使用が違法になるかどうかは、その行為の具体的な内容や意図によっても異なります。そのため、ダークパターンを使用する際には、十分な注意が必要です。
まとめ
ダークパターンは、消費者の経済的利益やプライバシーを侵害する可能性があるため、問題視されている。消費者は、ダークパターンの存在や手口を知って、被害に遭わないように注意することが重要である。また、企業もダークパターンの使用を自粛し、消費者の利益を尊重した製品やサービスを提供することが求められている。