肝機能を見る検査について
肝機能検査とは
肝機能検査とは、肝臓の機能を調べるための検査です。肝臓は、体内の代謝や解毒、消化、免疫などの重要な役割を担っている臓器です。肝機能検査では、肝臓の状態を示す数値を測定することで、肝臓に何らかの異常がないか、あるいはどのような病気が疑われるかを判断します。
肝機能検査は、健康診断や人間ドックなどの定期検査で行われることが一般的です。また、肝炎や肝硬変、肝癌などの肝臓の病気が疑われる場合にも行われます。
肝機能検査の項目
肝機能検査の項目は、大きく分けて以下の4つに分けられます。
肝酵素
肝酵素は、肝臓の細胞で作られる酵素です。肝臓に何らかのダメージが加わると、血液中にこれらの酵素が大量に放出されるため、血中濃度が上昇します。
肝酵素の代表的な項目としては、以下のようなものがあります。
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AST(GOT)
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ALT(GPT)
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AST(GOT)
ASTは、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略称です。ASTは、肝臓、心筋、骨格筋、赤血球など、さまざまな臓器の細胞に含まれています。
ASTの血中濃度は、健康な人では0~40IU/L程度です。肝臓に障害があると、ASTの血中濃度が上昇します。ASTの上昇は、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどの肝臓の病気の可能性を示す指標となります。
- ALT(GPT)
ALTは、アルコール脱水素酵素の略称です。ALTは、主に肝臓に存在します。
ALTの血中濃度は、健康な人では0~35IU/L程度です。肝臓に障害があると、ALTの血中濃度が上昇します。ALTの上昇は、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどの肝臓の病気の可能性を示す指標となります。
γ-GTPは、γ-グルタミルトランスペプチダーゼの略称です。γ-GTPは、肝臓、胆管、膵臓、腎臓など、さまざまな臓器の細胞に含まれています。
γ-GTPの血中濃度は、健康な人では0~50IU/L程度です。肝臓や胆管に障害があると、γ-GTPの血中濃度が上昇します。γ-GTPの上昇は、脂肪肝、アルコール性肝障害、胆石症、胆管炎などの可能性を示す指標となります。
肝機能指数
肝機能指数は、肝機能検査の複数の項目を組み合わせて計算した指標です。肝機能指数は、肝臓の機能を総合的に評価する上で役立ちます。
肝機能指数の代表的な項目としては、以下のようなものがあります。
- ALT/AST比
ALT/AST比は、ALTの値をASTの値で割った比率です。ALT/AST比が1以上になると、肝炎や肝硬変などの可能性を高く示唆します。
総ビリルビン/直接ビリルビン比は、総ビリルビンの値を直接ビリルビンの値で割った比率です。総ビリルビン/直接ビリルビン比が2以上になると、肝硬変や肝臓がんの可能性を高く示唆します。
胆汁酸
胆汁酸は、肝臓で作られる消化液です。胆汁酸は、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たしています。
胆汁酸は、血液中にわずかに存在しますが、肝臓に障害があると、血中濃度が上昇します。胆汁酸の上昇は、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどの可能性を示す指標となります。
血清アルブミン
血清アルブミンは、肝臓で作られるタンパク質です。血清アルブミンは、血液中の水分を保持する役割を担い、血管内に水分を保つことで、血液の流れを安定させ、循環血液量を維持する。
血清アルブミンは、血液中の約60%を占めるタンパク質で、血液の膠質浸透圧の約80%を担っています。膠質浸透圧とは、血液中のタンパク質が血管の壁を引き寄せ、水分を血管内に保持する力です。
血清アルブミンの量が減少すると、血液の膠質浸透圧が低下し、血液中の水分が血管外に漏れ出しやすくなります。この状態を「浮腫」といい、足や顔がむくんだり、腹水がたまったりといった症状が現れます。
また、血清アルブミンは、脂肪酸やビタミン、薬物など、さまざまな物質を運搬する役割も果たしています。血清アルブミンが減少すると、これらの物質の運搬が低下し、体内に蓄積したり、効果が減弱したりする可能性があります。
血清アルブミンの正常値は、4.0~5.0g/dL程度です。血清アルブミンがこの値を下回ると、肝臓の機能が低下している可能性があります。
血清アルブミンは、肝機能検査の重要な項目の一つです。肝機能検査で血清アルブミンの値が低下している場合は、肝炎や肝硬変、肝臓がんなどの可能性を検討する必要があります。
血清アルブミンの低下を招く原因としては、以下のようなものが挙げられます。
血清アルブミンの低下が疑われる場合は、医師の診察を受け、原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。
肝機能の異常はどのような症状が現れますか?
肝機能の異常は、初期には自覚症状がない場合が多く、健康診断などで偶然発見されることもあります。しかし、肝機能がさらに悪化すると、以下のようなものが現れることがあります。
- 全身倦怠感
- 食欲低下
- 吐き気、嘔吐
- 黄疸(皮膚や白目の黄色化)
- 皮膚のかゆみ
- むくみ(足や顔、腹部など)
- 腹水
- 血尿
これらの症状は、肝臓の機能が低下することで、体内に毒素や老廃物が蓄積したり、赤血球の寿命が短くなったり、血液の凝固機能が低下したりしたために起こります。
特に、黄疸やむくみは、肝機能の異常を示す重要な症状です。黄疸は、血液中のビリルビン濃度が上昇することで起こります。ビリルビンは、赤血球が破壊される際に生成される色素で、肝臓で解毒され、胆汁とともに排泄されます。肝機能が低下すると、ビリルビンがうまく解毒されず、血液中に蓄積されて黄疸が現れます。
むくみは、血清アルブミンの低下によって起こります。血清アルブミンは、血液中の水分を保持する役割を果たしています。血清アルブミンが低下すると、血液中の水分が血管外に漏れ出しやすくなり、むくみが現れます。
肝機能の異常が疑われる場合は、早めに医師の診察を受け、原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。
なお、肝機能の異常を引き起こす原因としては、以下のようなものが挙げられます。
これらの原因によって、肝臓の細胞が破壊されたり、炎症を起こしたり、線維化が進んだりして、肝機能が低下します。
人間ドッグの診断結果とかで数値をもう一度見てみましょう。