血管性認知症の特徴とはについて
血管性認知症の特徴
血管性認知症は、脳の血管障害によって引き起こされる認知症です。アルツハイマー型認知症に次いで多く、65歳以上の高齢者の約20%が血管性認知症を発症していると推定されています。
血管性認知症の特徴は、以下の3つが挙げられます。
- 脳の血管障害によって発症する
- 記憶障害などの認知機能障害がまだらに生じる
- 行動・心理症状(BPSD)が併発しやすい
脳の血管障害によって発症する
血管性認知症は、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって引き起こされます。脳の血管が詰まると脳梗塞、血管が破れると脳出血を引き起こします。
脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が滞ることで、脳の一部が酸素や栄養を十分に受け取れなくなり、機能が低下する病気です。脳出血は、脳の血管が破れて血液が漏れることで、脳の一部が圧迫されて機能が低下する病気です。
脳梗塞や脳出血は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、喫煙、飲酒、肥満などの要因によって引き起こされます。
記憶障害などの認知機能障害がまだらに生じる
血管性認知症では、脳の血管障害によって脳の一部が損傷を受けるため、その損傷した部位に応じて、さまざまな認知機能障害が生じる可能性があります。
例えば、記憶障害や言語障害、見当識障害、実行機能障害などが生じることがあります。
- 記憶障害
記憶障害は、血管性認知症の最も特徴的な症状です。近年の出来事や会話の内容など、短期記憶が障害されやすくなります。
言語障害は、話すことや聞くことが難しくなる症状です。
- 見当識障害
見当識障害は、日時や場所、人の名前など、自分の置かれた状況を把握するのが難しくなる症状です。
- 実行機能障害
実行機能障害は、計画や実行、判断などの能力が低下する症状です。
血管性認知症では、これらの症状がまだらに生じるのが特徴です。例えば、記憶障害が目立つものの、判断力や専門知識は保たれているなどの状態になることがあります。
行動・心理症状(BPSD)が併発しやすい
血管性認知症では、抑うつ、不安、意欲低下、感情鈍麻、感情失禁、夜間せん妄などの行動・心理症状(BPSD)が併発しやすい傾向があります。
BPSDは、認知機能障害によって生じるものや、脳の血管障害によって生じるものなど、さまざまな要因によって引き起こされます。
血管性認知症の診断は、主に問診や神経学的検査、画像検査などによって行われます。問診では、家族や介護者からの聞き取りも重要な情報となります。
画像検査では、脳の血管障害の有無や程度を把握するために、CT検査やMRI検査が行われます。
血管性認知症の治療は、脳の血管障害の原因となる生活習慣病の治療や、血管拡張剤や抗凝固剤などの薬物療法、リハビリテーションなどが中心となります。
脳の血管障害の原因となる生活習慣病の治療には、高血圧、糖尿病、脂質異常症などのコントロールが重要です。
薬物療法では、血管拡張剤や抗凝固剤などの薬を用いて、脳の血流を改善したり、血栓の形成を抑えたりする効果が期待されます。
リハビリテーションでは、認知機能の維持・改善や、生活動作の維持・向上を図ります。
血管性認知症は、進行が遅い傾向にあるため、早期発見・早期治療によって、認知機能の低下を抑えることができます。また、BPSDの早期発見・早期治療にも努めることが重要です。
早期発見・早期治療の重要性
血管性認知症の早期発見・早期治療は、認知機能の低下を抑え、生活の質を維持するために重要です。
血管性認知症の症状は、徐々に進行するため、本人や家族が気づくのが遅れることがあります。そのため、定期的に健康診断や人間ドックを受け、早期に発見することが大切です。
早期発見・早期治療によって、脳の血管障害の原因となる生活習慣病をコントロールしたり、薬物療法やリハビリテーションによって認知機能の低下を抑えたりする効果が期待できます。
BPSDの早期発見・早期治療
血管性認知症では、BPSDが併発しやすい傾向があります。BPSDは、認知機能障害によって生じるものや、脳の血管障害によって生じるものなど、さまざまな要因によって引き起こされます。
BPSDは、本人や家族にとって大きな負担となるため、早期発見・早期治療が重要です。
BPSDの早期発見には、家族や介護者からの聞き取りも重要な情報となります。また、BPSDの専門医の診察を受けることも検討しましょう。
BPSDの治療には、薬物療法や認知行動療法などが用いられます。薬物療法では、抗精神病薬や抗うつ薬などの薬を用いて、BPSDの症状を改善します。認知行動療法では、BPSDの原因となる認知や行動を改善する方法などを学びます。
血管性認知症の予防
血管性認知症の予防には、脳の血管障害の原因となる生活習慣病の予防が重要です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害のリスクを高めます。そのため、これらの生活習慣病を予防・コントロールすることが、血管性認知症の予防につながります。
具体的には、以下のことに気をつけましょう。
- 適度な運動
- バランスの良い食事
- 禁煙
- 節酒
また、脳の血流を改善するために、適度な運動や、脳トレなどの認知活動をすることも有効です。
血管性認知症は、進行が遅い傾向にあるため、早期発見・早期治療によって、認知機能の低下を抑え、生活の質を維持することができます。また、BPSDの早期発見・早期治療にも努めることが重要です。