NTT法の見直しについて
NTT法は、日本電信電話株式会社(NTT)の設立、事業運営、事業分割、その他必要な事項を定めた法律である。1985年に電電公社の民営化に伴い制定され、これまでに数度の改正が行われてきた。
2023年現在、NTT法の見直しが議論されている。主な論点は、以下の3つである。
- NTT東西の地域独占の解消
- NTTのグループ一体化の禁止
- NTTの公平な競争環境の確保
1. NTT東西の地域独占の解消
NTT法では、NTT東西は、地域における固定電話、インターネット接続、IP電話などの事業を独占的に行うことができると定められている。この地域独占は、NTT東西の収益基盤を安定させ、事業の効率化を図るために設けられたものである。
しかし、近年では、通信技術の進展により、インターネットやスマートフォンの普及が進んだ。これにより、NTT東西以外の事業者も、地域において競争力のあるサービスを提供できるようになった。
そこで、NTT東西の地域独占を解消することで、競争環境を整備し、利用者の選択肢を拡大することが検討されている。
2. NTTのグループ一体化の禁止
NTTは、NTT東西のほか、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアなど、さまざまな子会社・関連会社を有している。これらの子会社・関連会社は、NTTのグループ一体化の中で、さまざまな事業を展開している。
しかし、グループ一体化が進むことで、NTTの競争力は高まる一方で、公正な競争環境が阻害されるという懸念がある。
そこで、NTTのグループ一体化を禁止することで、公正な競争環境を整備することが検討されている。
3. NTTの公平な競争環境の確保
NTTは、電電公社時代から培ってきた技術力と資産を有しており、国内の通信業界において、圧倒的な存在感を誇っている。
しかし、NTTの優位性があまりにも大きい場合、競争環境が阻害され、利用者の利益が損なわれるおそれがある。
そこで、NTTの公平な競争環境を確保するための措置を講じることが検討されている。具体的には、以下のような措置が考えられる。
- 設備の開放
- 中立的な役割の担保
- 競争制限行為の禁止
NTT法の見直しに向けた議論
NTT法の見直しに向けた議論は、2023年10月に、政府の「『日本電信電話株式会社等に関する法律』の在り方に関するプロジェクトチーム」が設置されたことで、本格化した。
プロジェクトチームでは、2024年3月までの間、NTT法の見直しに関する議論が行われる予定である。議論の成果は、3月に公表される見通しである。
NTT法の見直しの展望
NTT法の見直しは、日本の通信業界のあり方を大きく変える可能性がある。
NTT東西の地域独占が解消されれば、利用者は、NTT東西以外の事業者からも、より選択肢の広いサービスを利用できるようになる。また、NTTのグループ一体化が禁止されれば、公正な競争環境が整備され、利用者の利益が保護されるようになる。
さらに、NTTの公平な競争環境を確保するための措置が講じられれば、NTTの優位性が抑えられ、競争が活発化することで、利用者の選択肢がさらに広がり、料金の低下やサービス品質の向上が期待できる。
NTT法の見直しは、今後の日本の通信業界の発展に大きな影響を与えるものとなるだろう。