肺炎と風邪の見極めについて
肺炎と風邪は、どちらも呼吸器の感染症であり、症状が似ていることから、見分けがつきにくいことがあります。しかし、両者は感染する部位や症状、重症度などに違いがあるため、正しく見極めて適切な治療を受けることが重要です。
肺炎と風邪の違い
感染する部位の違い
肺炎は、肺胞という肺の中の空気を取り込む部分に炎症が起こる病気です。一方、風邪は、鼻や喉などの上気道に炎症が起こる病気です。
症状の違い
肺炎の症状は、発熱、咳、痰、呼吸困難などです。発熱は38℃以上で、数日間続くこともあります。咳は、乾いた咳から痰が出る咳までさまざまです。痰は、黄色や緑色などの色がついていることもあります。呼吸困難は、息苦しさや息切れを感じることです。
風邪の症状は、発熱、咳、痰、鼻水、咽頭痛、倦怠感などです。発熱は37℃台の微熱程度で、数日間続くこともあります。咳は、乾いた咳から痰が出る咳までさまざまです。痰は、白色や透明のことが多いです。鼻水は、サラサラとした水っぽいものから、粘り気のあるドロッとしたものまでさまざまです。咽頭痛は、喉の痛みです。倦怠感は、全身のだるさです。
重症度の違い
肺炎は、重症化すると、呼吸不全や敗血症などを引き起こし、命に関わることもあります。一方、風邪は、通常は自然に治癒します。
肺炎と風邪の見分け方
肺炎と風邪の見分け方は、以下の点を参考にします。
- 発熱
- 肺炎:38℃以上で、数日間続く
- 風邪:37℃台の微熱程度で、数日間続く
- 咳
- 肺炎:乾いた咳から痰が出る咳までさまざま
- 風邪:乾いた咳から痰が出る咳までさまざま
- 痰
- 肺炎:黄色や緑色などの色がついていることがある
- 風邪:白色や透明のことが多い
- 呼吸困難
- 肺炎:息苦しさや息切れを感じる
- 風邪:息苦しさや息切れを感じることはない
- その他の症状
- 肺炎:悪寒、全身倦怠感、胸痛など
- 風邪:くしゃみ、鼻水、咽頭痛など
これらの症状のうち、複数の症状が重なっている場合や、発熱が38℃以上で数日間続く場合は、肺炎の可能性があります。また、高齢者や基礎疾患がある人は、肺炎になりやすいため、注意が必要です。
肺炎の診断
肺炎の診断は、問診、身体診察、レントゲン検査などによって行われます。問診では、症状や病歴などについて、身体診察では、呼吸音や肺の音などを確認します。レントゲン検査では、肺に異常な影がないかを確認します。
肺炎の治療
肺炎の治療は、原因によって異なります。細菌性肺炎の場合は、抗菌薬による治療が行われます。ウイルス性肺炎の場合は、対症療法(症状を和らげる治療)が行われます。
風邪の治療
風邪の治療は、基本的には対症療法が行われます。解熱薬や鎮咳去痰薬、鼻水止めなどの薬を服用することで、症状を和らげることができます。
肺炎と風邪の予防
肺炎と風邪の予防には、以下のような方法があります。
- 手洗い、うがいをこまめに行う
- マスクを着用する
- 人混みを避ける
- 十分な睡眠と栄養を摂る
- ワクチン接種を受ける
肺炎は、重症化すると命に関わることもあるため、早期発見と早期治療が重要です。もし、風邪の症状が長引いたり、重症化したりした場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
上記のうち肺炎ワクチン接種について
日本で使用される肺炎球菌ワクチンには、以下の種類があります
1. 23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)
- 23種類の血清型に効果があり、成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の64%を占める.
- 初回接種から4〜7年たつと抗体価が大きく下がるため、5年後に2回目の接種が推奨されています.
2. 13価肺炎球菌ワクチン(プレベナー13)
- 65歳以上の人に対して、侵襲性肺炎球菌感染症のリスクを約75%減らし、肺炎球菌肺炎のリスクも約50%減らすことが示されています.
3. バクニュバンス(沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン)
- 15価の肺炎球菌に効果があります.
初回接種から5年で全く効果がなくなるわけではないですが、5年後に再接種することで、より長期に効果を持続させることを期待しています. したがって、効果を持続させるためには、定期的な追加接種が推奨されています。