宗教法人 税不正割合について
宗教法人とは、宗教活動を目的として設立された法人のことです。宗教法人には、公益法人として認定されたものと、そうでないものがあります。公益法人として認定された宗教法人は、税制上の優遇措置を受けることができます。例えば、所得税や法人税の免税、寄付金の控除、固定資産税の減免などです。
しかし、このような優遇措置を悪用して、宗教法人を隠れ蓑にした税務上の不正行為を行うケースが少なくありません。宗教法人の税不正割合は、国税庁が毎年発表する「法人税等調査状況」によると、平成30年度には約14.5%に達しました。これは、一般の法人に比べて約2倍高い水準です。宗教法人の税不正行為の内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 宗教活動と無関係な事業所得を隠すために、宗教法人名義で不動産や株式などを取得し、その収入を申告しない。
- 宗教活動と無関係な支出を隠すために、宗教法人名義で高級車やブランド品などを購入し、その経費を計上する。
- 宗教活動と無関係な者に対して、宗教法人名義で給与や報酬を支払い、その源泉徴収票を発行しない。
- 宗教活動と無関係な者から寄付金を受け取り、その領収書を発行することで、寄付者に対して所得税や相続税の控除をさせる。
これらの税不正行為は、国や地方自治体の財政に大きな損失を与えるだけでなく、公正な納税者や信仰心ある宗教団体に対しても不公平であり、社会的な信頼を損ねるものです。そこで、国税庁は近年、宗教法人に対する調査や指導を強化しています。また、平成31年4月からは、「公益目的事業等認定制度」が導入されました。これは、公益性の高い事業を行っている宗教法人に対しては優遇措置を維持し、そうでない宗教法人に対しては優遇措置を見直すという制度です。この制度により、宗教法人の税不正割合は減少することが期待されます。
しかし、これだけでは十分ではありません。宗教法人自身も、自らの責任と使命を自覚し、透明性と公正性の高い経営を行う必要があります。また、信者や寄付者も、自らが支援する宗教団体の活動内容や財務状況を確認し、適切な判断を行う必要があります。宗教法人の税不正割合を減らすためには、宗教法人と納税者の双方が協力して、税制の遵守と公益の増進に努めることが必要です。
またこの情報の確認方法ですが
実は、宗教団体には、一定の規模や条件を満たすものに限り、法律上の義務が課せられています。それは、毎年、活動報告書や財務諸表を公開することです。これらの資料は、宗教団体のウェブサイトや事務所で閲覧できる場合が多いですし、場合によっては、郵送やメールで送ってもらえることもあります。これらの資料を見れば、宗教団体がどんな活動をしているか、どんな収入や支出があるか、どんな財産や借金があるかなどが分かります。もちろん、これらの資料だけでは十分ではない場合もあります。例えば、宗教団体が関与している事件やトラブルがあった場合や、宗教団体の内部に分裂や対立があった場合などです。そういう場合は、他の情報源も参考にする必要があります。例えば、メディアやインターネットで報道されている情報や、宗教団体の元信者や関係者から聞ける情報などです。ただし、これらの情報も必ずしも正確で客観的とは限りませんので、複数の情報源を比較検証することが大切です。
以上のように、宗教団体に寄付するときには、自分で情報を収集し分析し判断することが重要です。それによって、自分の信仰や価値観に沿った宗教団体を見つけることができるだけでなく、悪徳な宗教団体から自分自身を守ることもできるのです。みなさんも、宗教団体に寄付するときには、ぜひこのポイントを参考にしてくださいね。