厚生年金 70歳以上加入手続きのメリットと注意点

厚生年金 70歳以上加入手続きについて

厚生年金には、70歳以上の方が加入することができる制度があります。この制度は、高齢者の所得保障を目的として、2017年4月から施行されたものです。この記事では、70歳以上の方が厚生年金に加入するための手続きやメリット、注意点などについて解説します。


70歳以上の方が厚生年金に加入できる条件は?

70歳以上の方が厚生年金に加入できる条件は、以下の3つです。

- 65歳から69歳までの間に厚生年金に加入していたことがあること
- 70歳以上であっても被用者として働いていること
- 働いている事業所が厚生年金に加入していること

これらの条件を満たす場合は、70歳以上でも厚生年金に加入することができます。ただし、以下の場合は加入できません。

- 既に国民年金第一号被保険者(自営業者や無職など)として国民年金に加入している場合
- 既に国民年金第三号被保険者(配偶者等)として国民年金に加入している場合
- 既に公的年金(公務員年金や私学共済など)を受給している場合

70歳以上の方が厚生年金に加入するメリットは?

70歳以上の方が厚生年金に加入するメリットは、主に2つあります。

- 厚生年金基金確定拠出年金などの企業年金を受給できること
- 厚生年金の受給額が増える可能性があること

まず、企業年金についてですが、一般的には65歳で受給開始することになっています。しかし、70歳以上でも働いている場合は、受給開始を延期することができます。この場合、受給開始時の企業年金の額は、延期した期間分だけ増えます。また、企業年金を受給するためには、厚生年金に加入している必要があります。したがって、70歳以上でも厚生年金に加入することで、企業年金を受給できるようになります。

次に、厚生年金の受給額についてですが、一般的には65歳で受給開始することになっています。しかし、70歳以上でも働いている場合は、受給開始を延期することができます。この場合、受給開始時の厚生年金の額は、延期した期間分だけ増えます。また、厚生年金の受給額は、加入期間や平均賃金などによって決まります。したがって、70歳以上でも厚生年金に加入し続けることで、加入期間や平均賃金を増やすことができます。これも、厚生年金の受給額を増やす可能性があります。

70歳以上の方が厚生年金に加入する手続きは?

70歳以上の方が厚生年金に加入する手続きは、以下のようになります。

- 働いている事業所から厚生年金の被保険者資格取得届を受け取る
- その届を持って、最寄りの社会保険事務所に行く
- 社会保険事務所で厚生年金の被保険者証を受け取る

この手続きは、70歳になった月の翌月末までに行う必要があります。また、この手続きを行うことで、自動的に国民年金から厚生年金に切り替わります。国民年金の被保険者証は、返却する必要はありませんが、使用できなくなります。

70歳以上の方が厚生年金に加入する注意点は?

70歳以上の方が厚生年金に加入する注意点は、以下の2つです。

- 厚生年金の保険料は自己負担分が高くなること
- 厚生年金に加入することで、国民年金の受給資格が失われること

まず、保険料についてですが、70歳以上の方が厚生年金に加入する場合は、通常の被用者と同じ割合で保険料を支払う必要があります。しかし、70歳以上の方は、国民年金の基礎年金を受給している場合が多いです。この場合、基礎年金の額から厚生年金の保険料を差し引くことになります。つまり、自己負担分が高くなります。例えば、2023年度の場合、基礎年金の月額は8万4,100円ですが、厚生年金の保険料は月額2万4,000円(平均賃金30万円の場合)です。したがって、自己負担分は2万4,000円となります。これは、国民年金だけに加入している場合の自己負担分(月額1万6,490円)よりも高くなります。

次に、受給資格についてですが、70歳以上の方が厚生年金に加入する場合は、国民年金から厚生年金に切り替わります。これは、国民年金第一号被保険者や第三号被保険者としての受給資格を失うことを意味します。例えば、配偶者等から第三号被保険者として国民年金を受給していた場合は、その受給を停止することになります。また、自営業者や無職などから第一号被保険者として国民年金を受給していた場合は、その受給額が減ることになります。これは、厚生年金と国民年金の重複受給防止措置(老齢厚生年金減額制度)によるものです。

 

まとめ

この記事では、70歳以上の方が厚生年金に加入するための手続きやメリット、注意点などについて解説しました。70歳以上でも働いている方は、厚生年金に加入することで企業年金や厚生年金の受給額を増やす可能性があります。しかし、同時に国民年金から厚生年金に切り替わることで受給資格や受給額が変わる場合もあります。そのため、厚生年金に加入するかどうかは、自分の収入や家族構成、将来の年金受給計画などを考慮して決める必要があります。厚生年金に加入することで得られるメリットやデメリットをしっかり理解して、自分にとって最適な選択をしましょう。