生活保護高齢者について
生活保護高齢者とは、生活保護を受けている65歳以上の人のことです。日本では、高齢化が進み、生活保護高齢者の数も増えています。2019年度末には、生活保護高齢者は約140万人に達し、全生活保護受給者の約4割を占めました。生活保護高齢者の増加には、さまざまな要因がありますが、主なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 年金受給額の低下
年金制度の改正や賃金水準の低下などにより、年金受給額が減少し、生活に困窮する高齢者が増えました。
- 貯蓄や資産の不足
老後に備えて貯蓄や資産を持っていない高齢者や、持っていても使い果たしてしまった高齢者が増えました。
- 家族や社会とのつながりの希薄化
核家族化や離婚率の上昇、地域社会の崩壊などにより、高齢者が孤立し、家族や社会からの支援を受けられなくなりました。
- 健康状態の悪化
長寿化に伴い、認知症や介護が必要な高齢者が増えました。医療費や介護費用がかさみ、自己負担が重くなりました。
生活保護高齢者は、貧困や孤立により、さまざまな問題に直面しています。例えば、以下のような問題です。
- 栄養不足や健康障害
食費を節約するために偏った食事をしたり、食事を抜いたりすることで、栄養不足や健康障害を引き起こします。また、医療費を節約するために病院に行かなかったり、薬を飲まなかったりすることで、病気が悪化したり、死亡率が高くなったりします。
- 住まいや暮らしの不安
家賃や光熱費を払えなくなったり、住宅が老朽化したりすることで、住まいや暮らしに不安を感じます。また、防犯対策が不十分だったり、近隣とのトラブルがあったりすることで、安全に暮らせないと感じます。
- 孤独や孤立
家族や友人との交流が少なかったり、地域社会との関わりが希薄だったりすることで、孤独や孤立を感じます。また、生活保護受給者であることを恥じたり、差別されたりすることで、自己肯定感が低下したり、うつ状態に陥ったりします。
生活保護高齢者の問題は、個人だけでなく、社会全体にも影響を及ぼします。例えば、以下のような影響です。
- 経済的な負担
生活保護高齢者の増加により、生活保護費や医療費などの社会保障費が増大し、国や地方自治体の財政が圧迫されます。また、消費や投資などの経済活動が低下し、経済成長に悪影響を与えます。
- 社会的な分断
生活保護高齢者と非生活保護高齢者との間に、所得や生活水準、健康状態などの格差が拡大し、社会的な分断が深まります。また、生活保護高齢者に対する偏見や差別が増加し、社会的な連帯や共感が減少します。
- 人的な資源の浪費
生活保護高齢者は、自分の能力や経験を発揮できないまま、社会から取り残されます。これは、人的な資源の浪費であり、社会の発展にとって損失です。
以上のように、生活保護高齢者は、個人的にも社会的にも重大な問題です。この問題を解決するためには、以下のような対策が必要です。
- 年金制度の改善
年金受給額を適正化し、高齢者の基本的な生活を保障することが必要です。また、年金制度を柔軟に改革し、多様な働き方や生き方に対応できるようにすることが必要です。
- 貯蓄や資産の形成
老後に備えて貯蓄や資産を形成することが必要です。また、貯蓄や資産の管理や運用に関する教育や相談を充実させることが必要です。
- 家族や社会とのつながりの強化
家族や友人との交流を促進し、高齢者の孤独や孤立を防ぐことが必要です。また、地域社会との関わりを深め、高齢者が参加できる活動やサービスを提供することが必要です。
- 健康状態の改善
健康的な食事や運動を推奨し、高齢者の栄養不足や健康障害を予防することが必要です。また、医療費や介護費用の自己負担を軽減し、高齢者が安心して医療や介護を受けられるようにすることが必要です。
生活保護高齢者は、日本社会における重要な課題です。この課題に対しては、政府だけでなく、市民や企業も協力して取り組む必要があります。高齢者は、社会の一員であり、社会の財産です。高齢者が安心して暮らせる社会は、すべての人にとって望ましい社会です。