日銀の金融緩和について

日銀の金融緩和について

日銀の金融緩和とは、日本経済の回復を目指して、日本銀行が行っている金融政策のことです。

金融緩和とは、一般的には、金利を低くすることで、お金の供給量を増やし、経済活動を活発にすることを意味します。

日銀の金融緩和は、2013年から始まった「異次元の金融緩和」と呼ばれる政策が中心で、以下の3つの柱からなっています。

 

1. 量的・質的金融緩和

日銀が市場から国債や株式などの資産を買い取ることで、お金の供給量を増やし、物価上昇率を2%に達成することを目指す政策です。

現在は、年間80兆円の国債と6兆円の株式などを買い取っています。


2. マイナス金利政策

日銀が預金準備制度における一部の当座預金に対してマイナス0.1%の金利を適用することで、金融機関にお金を貸し出すインセンティブを高める政策です。

現在は、約40兆円の当座預金がマイナス金利の対象となっています。
3. イールドカーブ・コントロール

日銀が長期国債の利回り(イールド)を約0%に誘導することで、長期金利を低く抑える政策です。

これにより、住宅ローンや企業借入などの資金調達コストを下げることができます。

日銀の金融緩和の効果と課題は、以下のように考えられます。

1. 効果

日銀の金融緩和により、お金の供給量が増えて市場に流動性が高まりました。これにより、株価や不動産価格などの資産価格が上昇し、景気や企業収益にプラスの影響を与えました。また、マイナス金利イールドカーブ・コントロールにより、長期金利が低下しました。これにより、個人や企業の資金調達コストが低減し、消費や投資にプラスの影響を与えました。
2. 課題

一方で、日銀の金融緩和には限界や副作用もあります。まず、物価上昇率は依然として2%に遠く及んでおらず、デフレからの脱却は遅れています。これは、消費者や企業のインフレ期待が低いことや、コロナ禍などの外的要因が影響していると考えられます。

 

日銀のマイナス金利イールドカーブ・コントロールについて

日銀のマイナス金利とは、日銀が金融機関に対して預ける超過準備金に適用する金利のことです。

2016年1月に導入されたこの政策は、金融機関が預金を増やすのではなく、貸し出しや投資を促すことで、経済活動や物価上昇を支援することを目的としています。

しかし、マイナス金利は金融機関の収益を圧迫し、長期金利の低下によって年金や保険などの資産運用にも影響を与えるという問題もあります。

そこで、日銀は2016年9月にイールドカーブ・コントロールという政策を発表しました。

これは、短期金利をマイナス0.1%に据え置きながら、長期金利を10年物国債の利回りをおおむね0%に誘導することで、イールドカーブ金利と満期の関係)を適切な形にコントロールすることを目指すものです。

イールドカーブ・コントロールは、長期金利の低すぎる水準からの引き上げや、高すぎる水準からの引き下げなど、柔軟な運用が可能です。

日銀は、イールドカーブ・コントロールによって、マイナス金利の副作用を緩和しつつ、金融緩和の効果を高めることができると考えています。