ウクライナ大統領の中国批判が引き起こす外交的波紋

ウクライナ大統領の中国批判について

 

ウクライナ大統領の中国批判

2024年6月2日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)に急遽出席し、初めて本格的な中国批判を展開しました。彼の批判は以下の3点に焦点を当てています。


もくじ

1. ロシアの兵器部品供給問題

2. 平和サミットへの不参加問題

3. 中国の振る舞いに対する皮肉

4.中国の反応とその後の展開

5.総括

 

1. ロシアの兵器部品供給問題

ゼレンスキー大統領は、ロシアの兵器を構成する部品が中国から供給されているとの認識を示しました。彼は、中国のロシア支援が戦争を長引かせる原因となっていると強く批判しました。この発言は、中国が間接的にロシアの軍事行動を支援していると指摘するもので、国際社会に対して中国の役割を再考するよう訴えるものでした。

2. 平和サミットへの不参加問題

ゼレンスキー大統領は、6月にスイスで開催予定の「平和サミット」について、中国が不参加であることを問題視しました。彼は、不参加の姿勢が戦争支持を意味すると批判し、中国が他国に対しても参加しないように働きかけていると非難しました。これは、中国が建前上は平和を唱えながら、実際には積極的な平和プロセスに参加していないと指摘するものです。

3. 中国の振る舞いに対する皮肉

ゼレンスキー大統領は、「中国は今、プーチンの道具となっている」と皮肉を込めて発言し、中国の振る舞いを嘲笑しました。大国としての中国の行動が、ロシアの侵略を助長するものとして厳しく非難しました。この発言は、中国の国際的な立場と責任に対する強い批判を含んでいます。

4.中国の反応とその後の展開

中国外務省はゼレンスキー大統領の批判に対し、「中国は他国に圧力をかけて平和サミットに参加しないよう働きかけたことはない」と反論しました。従来の強硬姿勢である「戦狼外交」とは異なり、守りの姿勢での弁明に努める様子が見られました。

さらに、6月5日には、中国の孫衛東外務次官がウクライナ外務省高官と会談し、ウクライナとの「交流推進と関係発展」を訴えました。これは、ゼレンスキー大統領の批判に対する直接的な反撃ではなく、関係改善の意図を示すものでした。

5.総括

ゼレンスキー大統領の中国批判は、ウクライナ戦争における中国の立場と行動を明確に批判したものです。彼の発言は、中国がロシアを支援しながら「平和の調停者」としての役割を装っているという矛盾を指摘し、国際社会に対して中国の真の意図を問うものとなりました。この批判により、中国の外交戦略が大きく揺らぎ、欧米諸国との対立が深まる可能性が高まっています。

 

補足

このような国際会議にロシアが出席するのは、戦況が有利になってウクライナが負けを認めた時だけでしょう。