止まらないインフレと円安 日銀はどうすべきか?専門家の見解

止まらないインフレと円安 日銀について

 

日本の経済は、近年、インフレと円安の二重苦に悩まされています。インフレとは、物価が上昇することで、消費者の買い物が高くなり、生活水準が低下する現象です。


円安とは、日本円の価値が外国通貨に対して下落することで、輸入品が高くなり、国際競争力が低下する現象です。このような状況において、日本経済を安定させるためには、日本銀行(以下、日銀)の役割が重要になります。

日銀は、日本の中央銀行として、金融政策を実施する機関です。金融政策とは、日銀が市場にお金を供給したり引き上げたりすることで、金利や物価を調整することです。金融政策には、主に二つの種類があります。一つは、量的緩和政策と呼ばれるもので、日銀が市場に大量のお金を供給することで、金利を低く抑えることを目指すものです。もう一つは、質的・量的緩和政策と呼ばれるもので、日銀が市場に供給するお金の種類や期間を拡大することで、長期金利や実質金利を低く抑えることを目指すものです。

日銀は、2013年から質的・量的緩和政策を導入し、2020年からは更に拡大しています。この政策の目的は、インフレ率を2%に引き上げることで、デフレから脱却し、経済成長を促すことです。しかし、この政策には多くの問題点があります。まず、インフレ率を2%に引き上げることは、現実的ではありません。日本のインフレ率は、2013年以降も1%以下にとどまっており、コロナ禍の影響でさらに低下しています。日本の経済構造や社会風土は、インフレを望まないものであり、消費者や企業のインフレ期待も低いままです。したがって、日銀がどれだけお金を供給しても、インフレ率は上昇しません。次に、質的・量的緩和政策は、円安を招くことがあります。日銀がお金を供給することで、市場における円の供給量が増えると、円の価値は下落します。また、金利が低くなることで、投資家は高利回りの外国通貨に資金を移す傾向があります。これらの要因により、円安が進みます。

円安は、輸出企業にとって有利な面もありますが、輸入品やエネルギー価格が高くなります。これは、消費者や中小企業にとって不利な影響を及ぼします。さらに、質的・量的緩和政策は、日銀のバランスシートを悪化させます。日銀は、市場にお金を供給するために、国債や株式などの資産を買い入れています。しかし、これらの資産は、将来的に価値が下がる可能性があります。例えば、金利が上昇すると、国債の価値は下落します。また、株式市場が暴落すると、株式の価値も下落します。このようにして、日銀の資産は減損するリスクがあります。これは、日銀の信用力や財政状況に悪影響を与えます。以上のように、日銀の質的・量的緩和政策は、インフレと円安の問題を解決するどころか、逆に悪化させる可能性があります。

日銀は、この政策を見直し、より現実的で効果的な金融政策を採用すべきです。具体的には、インフレ目標を2%から1%に引き下げることや、市場に供給するお金の量や質を縮小することなどが考えられます。これらの措置により、日銀はインフレと円安の圧力を緩和し、日本経済の安定と成長に寄与できると考えられます。

 

日銀の動きはあるのだろうか?