運動と認知機能 若返りについて
近年、運動が認知機能に良い影響を与えることが多くの研究で示されています。運動は、脳の血流を改善し、神経細胞の成長を促進することで、記憶力、注意力、学習能力などの認知機能を向上させることができます。また、運動は、脳の炎症を抑制し、認知症のリスクを低下させる効果も期待されています。
運動による認知機能の改善
運動による認知機能の改善は、さまざまな研究で報告されています。例えば、米国で行われた研究では、中高齢者の男女を対象に、12週間にわたって週3回、30分間の有酸素運動を実施したところ、運動をしていないグループに比べて、記憶力、注意力、学習能力が向上したことが報告されています。また、米国の別の研究では、軽度認知障害(MCI)の患者を対象に、6ヶ月間にわたって週2回、1回90分間の運動を実施したところ、認知機能が改善したことが報告されています。
運動による脳の変化
運動が認知機能に良い影響を与える理由は、脳の変化によってと考えられています。運動をすると、脳の血流が改善し、神経細胞に酸素や栄養素が行き渡りやすくなります。また、運動は、脳の神経細胞の成長を促進するBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質の分泌を促します。BDNFは、記憶や学習に関与する神経細胞の成長や分化を促す働きがあります。
運動による認知症の予防
運動は、認知症のリスクを低下させる効果も期待されています。米国で行われた研究では、中高齢者の男女を対象に、12年間にわたって追跡調査を行った結果、運動を習慣的に行っている人は、運動をしていない人に比べて、アルツハイマー型認知症の発症リスクが30%低下したことが報告されています。
運動による認知機能の若返り
運動は、認知機能の若返りにも効果的であると考えられています。米国で行われた研究では、65歳以上の高齢者を対象に、6ヶ月間にわたって週2回、1回90分間の運動を実施したところ、脳の海馬の体積が増加したことが報告されています。海馬は、記憶や学習に関与する脳の領域です。
運動による認知機能の向上のためのポイント
運動による認知機能の向上には、以下のポイントが重要です。
- 継続的に行う
運動による認知機能の向上効果を得るには、継続的に行うことが重要です。週に3回以上、30分以上の運動を目標にしましょう。
- さまざまな運動を行う
ウォーキングや水泳などの有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングやバランストレーニングなどの運動も取り入れましょう。
- 楽しむ
運動を継続するためには、楽しむことも大切です。自分に合った運動を見つけて、無理なく続けていきましょう。
まとめ
運動は、認知機能の向上や認知症の予防に効果的な手段です。適度な運動を継続して、健康的な脳を保ちましょう。
ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、週に3回以上、20から30分の運動を目標にしましょう。
筋力トレーニングは、週に2回以上、20分以上の運動を目標にしましょう。
バランストレーニングは、週に1回以上、10分以上の運動を目標にし
ましょう。
具体的には、以下のような運動がおすすめです。
ウォーキング
・1週間で20分、早歩き ・坂道を上り下りする ・階段を使う
水泳
・25mを20往復する ・自由泳や背泳ぎをする ・水中ウォーキングをする
筋力トレーニング
・スクワット ・腕立て伏せ ・腹筋 ・懸垂
バランストレーニング
・つま先立ち ・片足立ち ・ヨガ
また、運動の強度も重要です。有酸素運動は、息が上がり、少しきつい程度の強度で行うのが効果的です。筋力トレーニングは、自分の体重やダンベルなどの負荷を使い、8〜12回を目安に行うのが効果的です。バランストレーニングは、少しぐらつく程度の強度で行うのが効果的です。
運動は、無理のない範囲で楽しく行うことが大切です。自分に合った運動を見つけて、継続しましょう。
以下に、運動の強度の目安をまとめます。
- 会話が難しい程度の強度
- 息が上がり、少しきつい程度の強度
筋力トレーニング
- 自分の体重やダンベルなどの負荷を使い、8〜12回を目安に行う
- 重い負荷で行う場合は、回数を減らす
バランストレーニング
- 少しぐらつく程度の強度
- 目を閉じて行うと効果的
運動を始める際は、医師に相談することをおすすめします。
以上が一般的です。自分で工夫するのもいいかもしれません。