暖冬 エルニーニョ 今年も続く現象を理解するために知っておきたい基礎知識

暖冬 エルニーニョ 今年も続くについて

暖冬の原因となっているエルニーニョ現象についてお話ししたいと思います。エルニーニョとは、太平洋赤道域の海水温が平年より高くなる現象のことで、気候に大きな影響を与えます。エルニーニョは約2~7年に一度発生し、数ヶ月から1年以上続くことがあります。エルニーニョが発生すると、日本は冬に暖かくなりますが、夏には冷夏や豪雨になる可能性が高まります。また、世界各地でも異常気象が起こりやすくなります。例えば、南米のペルーやエクアドルでは洪水や干ばつが発生し、オーストラリアでは森林火災やサイクロンが増えます。


では、なぜエルニーニョは発生するのでしょうか?エルニーニョの発生メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、一般的には以下のような説明がされています。

通常、太平洋赤道域では東から西へと貿易風が吹きます。この風によって、赤道付近の海水は西へ流れ、インドネシアやオーストラリアの方にたまります。その結果、西太平洋では海水温が高くなり、東太平洋では海水温が低くなります。また、海水温の差によって大気の対流が起こり、西太平洋では雨雲が発生しやすくなります。このようにして、東西で気圧差が生じるのです。

しかし、時々貿易風が弱まったり逆向きに吹いたりすることがあります。このとき、赤道付近の海水は東へ流れ戻り、東太平洋の海水温が上昇します。これがエルニーニョ現象です。

エルニーニョ現象が起こると、大気の対流も東太平洋に移動し、西太平洋では雨雲が減ります。このようにして、気圧差も逆転します。この気圧差の逆転を南方振動(SOI)と呼びます。SOIはエルニーニョの強さを表す指標の一つです。

さて、今年もエルニーニョ現象が発生しています。実は、昨年から続いているのです。昨年は強いエルニーニョ現象でしたが、今年は弱いエルニーニョ現象です。しかし、それでも日本は暖冬になっています。これはどうしてでしょうか?実は、エルニーニョだけでなく、他の要因も影響しています。

例えば、北極振動(AO)や北大西洋振動(NAO)という現象もあります。これらは北半球の高緯度地域で起こる気圧差の変動です。AOやNAOが正相(プラス)のときは、寒気が北極付近に閉じ込められ、日本は暖かくなります。逆に、AOやNAOが負相(マイナス)のときは、寒気が南下しやすくなり、日本は寒くなります。今年は、AOやNAOが正相であることも暖冬の原因の一つです。

また、地球温暖化も無視できません。地球温暖化とは、人間の活動によって大気中の二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが増え、地球の平均気温が上昇する現象です。地球温暖化によって、極地の氷が溶けたり、海面が上昇したり、生態系が変化したりすることが懸念されています。地球温暖化によって、エルニーニョの発生頻度や強度が変わる可能性もあります。地球温暖化は長期的な傾向であり、エルニーニョは短期的な変動ですが、両者は相互に影響しあうと考えられています。

以上のように、暖冬の原因はエルニーニョだけではなく、複雑に絡み合っています。気象は非常に複雑なシステムであり、予測や解明は容易ではありません。しかし、私たちは気象に大きく影響される生き物です。気象の変化に対応するためには、科学的な知識や理解が必要です。

今年の冬は日本は暖冬になる予報が出ています。

雪不足とかになっていくのでしょうか。