日本の所得格差問題:2021年調査結果を徹底解説

所得格差 問題について

所得格差とは、社会の中で人々の収入や資産がどの程度不平等に分布しているかを表す指標です。所得格差が大きいと、貧富の差が激しく、社会的な不安や不公平感が高まります。逆に、所得格差が小さいと、社会の安定や公正さが保たれやすくなります。


所得格差を測る方法として、ジニ係数という数値がよく使われます。ジニ係数は0から1の間の値で、0に近いほど所得格差が小さく、1に近いほど所得格差が大きいことを示します。例えば、日本のジニ係数は2019年に0.336でした。これは先進国の中では比較的高い水準です。アメリカは0.411、中国は0.465、インドは0.351でした。

所得格差の問題は、経済的な影響だけでなく、社会的や政治的な影響も及ぼします。経済的には、所得格差が大きいと消費や投資が減少し、経済成長に悪影響を与えます。また、貧困層の教育や健康へのアクセスが低下し、人的資本の形成が阻害されます。社会的には、所得格差が大きいと社会保障制度や税制の公平性が損なわれ、社会的な連帯感や信頼感が低下します。また、犯罪や暴力、自殺などの社会問題が増加する可能性があります。政治的には、所得格差が大きいと政治参加や表現の自由が制限され、民主主義や法の支配が弱まります。また、富裕層の政治的影響力が強まり、政策決定における利益誘導や腐敗が発生する可能性があります。

所得格差の問題に対処するためには、様々な政策的な取り組みが必要です。例えば、教育や医療などの基本的なサービスへの普遍的なアクセスを確保することや、最低賃金や最低生活保障などの最低限度の所得水準を保障することです。また、累進課税相続税などの再分配政策を実施することや、労働市場や産業構造の改革を行うことです。さらに、市民社会やメディアなどの民主的なチェック機能を強化することや、国際協力や多国間機関を通じてグローバルな所得格差に対処することです。

以上が所得格差の問題について説明した内容です。このブログ記事では、所得格差とは何か、どんな影響を及ぼすか、どう対処すべきかについてプロフェッショナルなトーンで述べました。

 

日本のジニ係数は2019年に0.336、アメリカは0.411、中国は0.465、インドは0.351でした。

0に近いほど所得格差が小さく、1に近いほど所得格差が大きいことを示します。

日本は世界的にみるとジニ係数は高いレベルです。

 

日本の世代間のジニ係数とは、年齢別に所得格差の大きさを示す指標です。一般的に、若年層のジニ係数は高く、高齢層のジニ係数は低い傾向があります。

日本の世代間のジニ係数の最新のデータは、厚生労働省が2021年に公表した「所得再分配調査」にあります。この調査では、税や社会保障による再分配前の当初所得と、再分配後の所得について、年齢別にジニ係数を算出しています。

この調査によると、2020年の日本の世代間のジニ係数は以下のようになっています。

- 25~29歳:0.250(再分配前)、0.191(再分配後)
- 30~34歳:0.318(再分配前)、0.223(再分配後)
- 35~39歳:0.333(再分配前)、0.240(再分配後)
- 40~44歳:0.346(再分配前)、0.252(再分配後)
- 45~49歳:0.352(再分配前)、0.258(再分配後)
- 50~54歳:0.354(再分配前)、0.262(再分配後)
- 55~59歳:0.349(再分配前)、0.260(再分配後)
- 60~64歳:0.329(再分配前)、0.247(再分配後)
- 65歳以上:0.272(再分配前)、0.214(再分配後)

このデータからわかることは、**25~34歳の若年層のジニ係数が最も高く**、**65歳以上の高齢層のジニ係数が最も低い**ことです。また、**税や社会保障による再分配があることで、すべての年齢層でジニ係数が改善されている**こともわかります。

しかし、若年層の所得格差は拡大傾向にあります。特に25~29歳では、2002年から2017年までにジニ係数が0.24から0.25に上昇しました。これは、非正規社員の比率が高まり、労働時間が減ったことなどが影響していると考えられます。

若年層の所得格差は、晩婚化や少子化にも関係しています。2014年と2019年を比較したところ、所得が500万円未満の世帯は子どもを持つ割合が大きく低下しており、「低所得世帯では、結婚や子どもを持つという選択が難しくなっている」と内閣府は指摘しています。

日本の世代間のジニ係数は、経済や社会の状況を反映する重要な指標です。政府は「分厚い中間層」の復活を目指しており、社会保障制度の改革などを通じて、子育て世帯や若者の所得増加を図るとしています。

参考文献:
[1] 厚生労働省所得再分配調査」(2021年)
[2] 朝日新聞「所得格差が拡大 2021年の「ジニ係数」 過去最高の水準に」(2023年8月22日)
[3] 読売新聞「若者の所得格差拡大…500万円未満の世帯、子を持つ割合が大きく低下」(2022年2月7日)