食糧安全保障と持続可能性:日本の食糧自給の重要性

食料自給率とは、国内の食料供給に対する食料の国内生産の割合を示す指標です。日本の食料自給率は、長期的に低下傾向にあり、令和4年度にはカロリーベースで38%、生産額ベースで58%となりました。これは、米の消費が減少する一方で、畜産物や油脂類の消費が増大する等の食生活の変化や、国際的な穀物価格や飼料・肥料・燃油等の生産資材価格の上昇、物流費の高騰、円安等が影響しています。


日本の食料自給率は、世界的に見ても低い水準にあります。OECD加盟国の中では最も低く、平均(2018年)は120%です。食料自給率が低いということは、食料の安定供給に対する外部依存度が高いということです。つまり、国際市場での需給バランスや価格変動、天候や災害などによる生産量の変動、政治的な紛争や制裁などによる輸出入規制など、さまざまなリスクにさらされる可能性が高まります。

食料自給率を向上させるためには、国内農業の生産力向上や消費者ニーズへの対応、農地や労働力の確保などが必要です。また、飼料自給率や食料国産率といった指標も重要です。飼料自給率とは、畜産物の生産に必要な飼料のうち国内で生産されたものが占める割合を示す指標であり、令和4年度には26%となっています。食料国産率とは、カロリーベース食料自給率から飼料自給率を反映した指標であり、令和4年度には47%となっています。これらの指標は、畜産物や加工食品等の国内生産力を示すものであり、飼料自給率と食料国産率の双方を向上させることで、食料自給率も高めることができます。

農林水産省は、「食料・農業・農村基本計画」で、令和12年度までにカロリーベース総合食料自給率を45%、生産額ベース総合食料自給率を75%に高める目標を掲げています。また、「数字で学ぶ『日本の食料』」では、日本の食料事情に関するさまざまなデータを公開しています。日本の食料自給率について知りたい方は、ぜひご覧ください。

もし

中国から食料輸入が止まったら

中国から食料輸入が止まったらどうなるかという問題は、日本の食糧安全保障にとって重要な課題です。中国は日本の食料輸入の約20%を占めており、米や小麦、野菜、果物など多くの品目を供給しています。しかし、中国との関係が悪化したり、自然災害や疫病が発生したりした場合、中国からの食料輸入が途絶える可能性もあります。そのような事態に備えて、日本はどのような対策をとるべきでしょうか?

一つの対策は、国内での食料生産を増やすことです。日本の自給率は約40%であり、世界的に見ても低い水準です。中国からの食料輸入が止まった場合、国内で不足する分を補うことは困難です。そのため、農業の振興や技術革新を通じて、国内での食料生産を増やす必要があります。

もう一つの対策は、多様な国からの食料輸入を確保することです。中国だけに頼らずに、他の国からも食料を輸入することで、リスクを分散することができます。例えば、米や小麦はアメリカやオーストラリアから、野菜や果物は東南アジアや南米からも輸入することが可能です。また、食料輸入に関する国際協定や規制を遵守し、貿易摩擦を避けることも重要です。

中国からの食料輸入が止まったらどうなるかという問題は、単に仮定の話ではありません。近年では、新型コロナウイルスの影響で中国からの食料輸入が減少したり、品質問題が発覚したりする事例がありました。日本はこの問題に真剣に取り組み、食糧安全保障を確保するために必要な対策を講じるべきです。