大麻から作られた医薬品の使用解禁に向けてどう動くべきか?~法制度や社会的認知の変化に対応するためのポイント~

大麻から作られた医薬品の使用解禁について

大麻は、世界中で広く栽培されている植物であり、その茎や種子からは繊維や油などの工業用原料が得られます。しかし、大麻には別の側面もあります。それは、その花や葉に含まれる成分が、人間の神経系に作用して、精神を変容させるということです。この成分の代表的なものが、テトラヒドロカンナビノール(THC)と呼ばれる物質です。THCは、大麻を喫煙したり、食べたりすることで体内に吸収され、脳内のカンナビノイド受容体と結合して、さまざまな効果をもたらします。THCの効果には、気分の高揚や幻覚、リラクゼーションなどがありますが、同時に、記憶力や判断力の低下、心拍数や血圧の上昇、不安や恐怖感などの副作用もあります。また、大麻は依存性があるとされており、長期的な使用によっては、精神障害や肺がんなどの健康被害を引き起こす可能性もあります。


このように、大麻は人間にとって有害な薬物として認識されており、多くの国ではその所持や使用が違法とされています。日本でも、1948年に制定された大麻取締法によって、大麻の栽培や所持や使用は厳しく禁止されています。しかし、近年では、大麻に含まれる別の成分であるカンナビジオール(CBD)に注目が集まっています。CBDはTHCと違って精神作用を持たず、むしろ抗炎症や抗不安などの効果があるとされています。CBDは医療用として利用されることが増えており、世界では約30カ国で大麻から作られた医薬品が承認されています。例えば、アメリカでは2018年にエピディオレックスというCBDを主成分とする医薬品が承認されました。この医薬品は難治性の小児てんかんに効果があるとされており、多くの患者に希望を与えています。また、欧州ではサティベックスというTHCとCBDを含む医薬品が承認されており、多発性硬化症やがんなどの患者に処方されています。

日本では現在、大麻から作られた医薬品の使用は認められていません。しかし、CBDを含む健康食品や化粧品などは合法的に販売されており、その需要は高まっています。また、日本でも大麻から作られた医薬品の治験が進められており、将来的には承認される可能性もあります。しかし、その一方で、大麻から作られた医薬品の使用解禁には、さまざまな課題や反対意見もあります。例えば、大麻から作られた医薬品の安全性や有効性については、まだ十分な科学的根拠がないという指摘があります。また、大麻から作られた医薬品の使用解禁が、大麻の乱用や悪用を助長するという懸念もあります。さらに、大麻から作られた医薬品の使用解禁が、日本の伝統的な価値観や法秩序に反するという意見もあります。

このように、大麻から作られた医薬品の使用解禁には、賛成派と反対派が対立しており、議論は難航しています。しかし、大麻から作られた医薬品が、多くの患者にとって有効な治療法である可能性も否定できません。そのため、大麻から作られた医薬品の使用解禁については、感情的な偏見や先入観にとらわれず、客観的な事実や科学的な知識に基づいて、冷静に議論する必要があると思います。

「今回、医療用大麻がターゲットとしているのは、難治性てんかんの治療薬です。この病気は患者数が少ないため、治療薬の開発が進んでいません。製薬業界では構造的に、患者数が少ない疾患には医薬品開発が進まない傾向にある。いわゆる難病と言われる方の症状を緩和させる薬を開発できるのであれば、大麻を活用するのはとてもいいことだと思う。そういう視点で今回の医療用大麻の報道を見ることが大事だと思います」

出典

https://news.yahoo.co.jp/articles/38cc4ca54fd09c136d9d8444e96323f9b020aff7