意外な事実:生活保護増加による経済効果とは? データで見る消費と雇用への影響

生活保護増加による経済効果とはについて

 

生活保護増加による経済効果とは」

生活保護制度は日本の社会保障制度の最後のセーフティネットとして重要な役割を果たしています。近年、生活保護受給者数が増加傾向にあり、2014年2月には約216.6万人に達しました[1]。この増加は、高齢者世帯の増加や厳しい社会経済情勢の影響によるものと考えられています。

生活保護の増加は、しばしば社会的な課題として捉えられがちですが、経済的な側面からも検討する価値があります。本稿では、生活保護増加が経済に与える影響について、様々な角度から分析します。

グラフ:生活保護受給世帯と人数の推移(1951年〜2020年)

被保護世帯は1951年は約70万世帯、ジワジワ下がり、1957年には約58万世帯に。その後、右肩上がりに伸び続け、1984年には約79万世帯。以降、右肩下がりで1993年には約58万世帯へ。1993年から2020年まで一気に右肩上がりに伸び続け、2020年に約163万世帯になっている。

被保護人員は1951年には約204万人、上下しつつも下がっていき1985年には143万人に。そこから、急激に右下がりになり、1992年には約89万人に。以後、1997年まで同じような人数だったが、1998年以降、被保護者が増え続け、2015年に約261万人とピークを迎える。以降、少しづつ減っていき、2020年には約205万人となった。

不正受給は0.29パーセント。誤解の多い生活保護制度の正しい知識を識者に聞いた| 日本財団ジャーナル

 もくじ

1. 生活保護制度の概要
   - 制度の目的と仕組み
   - 最近の受給者数の推移

2. 生活保護増加の背景
   - 高齢化社会の影響
   - 経済情勢の変化

3. 経済への直接的影響
   - 消費の下支え効果
   - 財政支出の増加

4. 間接的な経済効果
   - 貧困の連鎖防止
   - 社会的安定性の確保

5. 生活保護労働市場
   - 就労支援の重要性
   - 労働意欲への影響

6. 将来の展望
   - 制度の持続可能性
   - 経済成長との関係

7. 結論

 

 1. 生活保護制度の概要

 制度の目的と仕組み

生活保護制度は、日本国憲法第25条に基づき、生活に困窮する国民に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助長することを目的としています[1]。この制度は、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行います[1]。

保護は世帯単位で行われ、最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます[1]。保護の種類には、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助などがあり、生活を営む上で必要な各種費用に対応しています[1]。

 最近の受給者数の推移

生活保護受給者数は近年増加傾向にあり、2014年2月には約216.6万人に達しました。その後、緩やかな減少傾向に転じましたが、依然として高水準を維持しています。特に、高齢者世帯の受給者数が増加しており、全体の約半数を占めています。

 2. 生活保護増加の背景

 高齢化社会の影響

日本の急速な高齢化は生活保護受給者数増加の主要因の一つです。高齢者の単身世帯や夫婦のみ世帯が増加し、年金だけでは生活が困難な世帯が増えています。また、高齢者の医療費増加も生活保護費の上昇につながっています。

 経済情勢の変化

長引く経済の低迷や雇用環境の変化も生活保護増加の要因となっています。非正規雇用の増加や賃金の伸び悩みにより、働いていても生活が困難な世帯が増加しています。また、リーマンショック新型コロナウイルス感染症の影響による失業や収入減少も、生活保護申請の増加につながっています。

 3. 経済への直接的影響

 消費の下支え効果

生活保護の増加は、低所得者層の消費を下支えする効果があります。保護費の支給により、受給者の基本的な生活需要が満たされ、食料品や日用品などの消費が維持されます。これは、特に地域経済において重要な役割を果たし、小売業やサービス業の売上を支える効果があります。

 財政支出の増加

一方で、生活保護費の増加は国や地方自治体の財政負担を増大させます。生活保護費は国が4分の3、地方自治体が4分の1を負担しており、受給者数の増加に伴い、財政支出も増加しています。この増加は、他の政策への予算配分に影響を与える可能性があり、財政の健全性に課題を投げかけています。

 4. 間接的な経済効果

 貧困の連鎖防止

生活保護制度は、貧困の連鎖を防止する重要な役割を果たしています。特に、子どもがいる世帯への支援は、教育の機会を確保し、将来の貧困リスクを軽減する効果があります。これは長期的に見て、社会全体の生産性向上や経済成長につながる可能性があります。

 社会的安定性の確保

生活保護制度は、社会のセーフティネットとして機能し、社会的な安定性を確保する役割を果たしています。極度の貧困を防ぐことで、犯罪率の低下や社会不安の軽減につながり、経済活動を行う上での安定した環境を提供しています。

 5. 生活保護労働市場

 就労支援の重要性

生活保護制度では、就労可能な受給者に対する就労支援が重要視されています。福祉事務所のケースワーカーが就労に向けた助言や指導を行い、自立を促進しています[1]。就労支援プログラムや職業訓練の提供により、受給者の就労能力を向上させ、労働市場への再参入を促進することが目指されています。

 労働意欲への影響

生活保護制度が労働意欲に与える影響については議論があります。一部では、保護費の支給が就労意欲を低下させる可能性が指摘されています。一方で、適切な就労支援と組み合わせることで、むしろ労働市場への参加を促進する効果があるとの見方もあります。

 6. 将来の展望

 制度の持続可能性

生活保護制度の持続可能性は重要な課題です。高齢化の進行や経済情勢の変化に伴い、受給者数や保護費の増加が予想される中、制度の効率化や適正化が求められています。就労支援の強化や医療扶助の適正化など、様々な取り組みが検討されています。

 経済成長との関係

生活保護制度と経済成長の関係は複雑です。適切に機能する生活保護制度は、社会の安定性を確保し、人的資本の形成を支援することで、長期的な経済成長に寄与する可能性があります。一方で、財政負担の増加が経済成長の足かせとなる懸念もあり、バランスの取れた制度設計が求められています。

 7. 結論

生活保護増加による経済効果は多面的であり、消費の下支えや社会的安定性の確保といったプラスの面と、財政負担の増加というマイナスの面があります。制度の持続可能性を確保しつつ、貧困の連鎖を防止し、就労支援を通じた自立促進を図ることが重要です。今後は、社会保障制度全体の中での生活保護の位置づけを再考し、経済成長と社会的公正のバランスを取りながら、制度の最適化を進めていく必要があります。

 

Citations:
[1] https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
[2] https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/soshiki/seikatsufukushika/2/2436.html
[3] https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/hogo/seiho.html
[4] https://www.city.koganei.lg.jp/smph/kenkofukuhsi/444/H21seikatuhogogaiyo.html
[5] https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/dl/2-04.pdf
[6] https://www.pref.osaka.lg.jp/o090030/shakaiengo/seikatuhogotoha/index.html
[7] https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/shien/book/seikatsuhogo.html
[8] https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/94964/poverty

 

「労働者が生活保護になると労働者不足で求人が増えます。求人が増えると失業者は職を得て、低時給の人の給与は増えます。生活保護増加は良い事だらけ」ひろゆき

 

確かに老後に備えてお金をタンス預金して裏バイトの押し込み強盗で財が無くなるよりかは、加齢病気で低賃金であたふた高齢バイトしているなら、潔く生活保護の恩恵に預かるべきと作ずく思う。