月面で水を電気分解!高砂熱学工業、月面用水電解装置開発成功

高砂熱学工業月面用水電解装置完成について

 

高砂熱学工業月面用水電解装置完成

 

月面で水を電気分解!宇宙開発の新時代を拓く

人類にとって夢であった月面での長期滞在が、ついに現実のものとなりつつあります。その鍵となるのが、月面で水を生成する技術です。水を電気分解することで、水素と酸素を生成することができます。水素は燃料電池の燃料として、酸素は呼吸や生命維持装置に使用することができます。

高砂熱学工業は、宇宙航空研究開発機構JAXA)と共同で、月面用水電解装置を開発しました。この装置は、2024年3月31日に完成し、2024年冬に打ち上げ予定のispace(アイスペース)の月着陸船に搭載されます。

この装置は、月面での実証実験を成功させることで、月面での水資源の有効活用に大きく貢献することが期待されています。月面基地建設や火星探査など、さらなる宇宙開発の進展にもつながる重要な技術です。

世界初となる月面での水素・酸素生成へ挑戦 「月面用水電解装置」完成、月への輸送を担う㈱ispaceへ引き渡し | 高砂熱学工業株式会社


もくじ

1. 月面用水電解装置開発完了

2. 世界初の水素・酸素生成へ挑戦

 2.1 月面資源の活用

 2.2 月面基地建設への貢献

3. 高砂熱学工業の技術

 3.1 長年の水電解装置開発経験

 3.2 月面環境に適した装置

4. 今後のスケジュール

 4.1 2024年冬:月着陸船「HAKUTO-R」搭載

 4.2 2025年:月面着陸、水素・酸素生成の実証実験

5. 月面用水電解装置の重要性

 5.1 人類の月面活動に貢献

 5.2 未来の月面開発に不可欠な技術

6. 関連情報

 6.1 高砂熱学工業株式会社 プレスリリース

 6.2 ispace プレスリリース

補足

 

高砂熱学工業、月面用水電解装置完成!月面での水素・酸素生成へ世界初挑戦

1. 月面用水電解装置開発完了

 高砂熱学工業株式会社は2024年4月9日、世界初の月面用水電解装置フライトモデル(FM)の開発を完了し、宇宙開発ベンチャー企業ispaceへ引き渡したことを発表しました。

この装置は、月面で採取した水から電気分解により水素酸素を生成するものです。月面での長期滞在や月面基地建設には、燃料や生命維持に必要な水素・酸素を安定的に供給することが不可欠です。

高砂熱学工業は、長年の水電解装置開発で培ってきた技術を活かし、月面環境に適した小型軽量かつ高効率な装置を開発しました。

次ページでは、世界初の月面での水素・酸素生成への挑戦について詳しく説明します。

2. 世界初の水素・酸素生成へ挑戦

 2.1 月面資源の活用

月には、水、ヘリウム3、希少金属など、地球上で貴重な資源が豊富に存在すると考えられています。月面用水電解装置は、月面で採取した水から水素と酸素を生成することで、これらの資源を有効活用することを可能にします。

水素は、月面基地の燃料やエネルギー源として利用できます。また、水素と二酸化炭素を結合させてメタンを生成することで、月面での燃料生産も可能になります。

酸素は、月面基地の生命維持に不可欠な資源です。また、酸素と金属を結合させて酸化物を作ることで、月面での建築材料や工業製品の製造も可能になります。

月面用水電解装置は、月面資源の活用を促進することで、月面での人類活動の持続可能性を大きく向上させることが期待されています。

具体的な例

  • 月面で採取した水を電気分解して水素と酸素を生成し、燃料電池自動車の燃料として利用する。
  • 水素と二酸化炭素を結合させてメタンを生成し、月面でのロケット燃料として利用する。
  • 酸素と金属を結合させて酸化物を作ることで、月面での建築材料や工業製品の製造に利用する。

月面資源の活用は、月面基地建設だけでなく、将来的には火星などの惑星への進出にも貢献することが期待されています。

 2.2 月面基地建設への貢献

 月面用水電解装置は、月面での長期滞在や月面基地建設に不可欠な水素・酸素を安定的に供給する技術として、大きな貢献が期待されています。

具体的な貢献例

  • 燃料電池の燃料となる水素を供給月面基地での移動手段や電力供給に利用
  • 生命維持に必要な酸素を供給月面基地内の居住環境を維持
  • 月面資源の利用促進:月面で採取した水から水素・酸素を生成することで、地球からの物資輸送を削減

従来の輸送方法と比較したメリット

  • 地球からの物資輸送コストを大幅に削減
  • 月面での資源利用を促進し、持続可能な月面開発を実現
  • 月面基地の建設・運用を効率化

月面用水電解装置の開発成功は、月面基地建設の重要な一歩であり、人類の月面活動に大きな貢献をする技術として期待されています。

3. 高砂熱学工業の技術

 3.1 長年の水電解装置開発経験

高砂熱学工業は、長年にわたり水電解装置の開発・製造を行ってきた実績があります。1970年代から燃料電池自動車向けの水素製造装置の開発に取り組み、近年では宇宙空間での利用も視野に入れた小型軽量の水電解装置の開発を進めてきました。

これらの経験を活かし、今回の月面用水電解装置では、月面環境でも高い性能を発揮する小型軽量かつ高効率な装置を実現しました。

具体的には、以下のような技術を開発・導入しています。

  • 耐振動・耐衝撃性に優れた構造設計
  • 月面環境での熱放散を効率化する冷却システム
  • 電力消費を抑えた高効率な電極触媒

これらの技術により、月面用水電解装置は、月面での厳しい環境下でも安定的に水素・酸素を生成することが可能になりました。

高砂熱学工業は、今後も月面用水電解装置の開発を進め、月面での人類活動に貢献していく予定です。

 3.2 月面環境に適した装置

高砂熱学工業が開発した月面用水電解装置は、月面という過酷な環境で動作するために、以下の特徴を備えています。

1. 小型軽量

月面への輸送は重量とスペースに制限があるため、装置は小型軽量化が求められます。高砂熱学工業は、独自の設計と材料技術により、従来の水電解装置に比べて大幅な小型軽量化を実現しました。

2. 高効率

月面では太陽光発電が唯一のエネルギー源となるため、装置の効率は極めて重要です。高砂熱学工業は、独自の電極構造と制御技術により、月面環境でも地球上で使用している装置と同レベルの効率を実現しました。

3. 耐久性

月面は、振動、衝撃、高温、低温、真空など、地球とは全く異なる過酷な環境です。高砂熱学工業は、徹底した試験と改良を重ね、これらの環境に耐えられる装置を開発しました。

具体的には

  • 振動・衝撃試験:月面着陸時の衝撃に耐えられるように、厳しい振動・衝撃試験を実施
  • 熱真空試験:月面の高温・低温・真空環境に耐えられるように、熱真空試験を実施
  • 放射線試験:月面の宇宙放射線に耐えられるように、耐放射線試験を実施

これらの試験をクリアすることで、月面環境での長期運用に耐えられる装置の開発に成功しました。

月面用水電解装置は、月面での水素・酸素生成という重要な役割を担うだけでなく、将来の月面基地建設や宇宙探査にも貢献することが期待されています。

 4. 今後のスケジュール

 4.1 2024年冬:月着陸船「HAKUTO-R」搭載

高砂熱学工業は、開発完了した月面用水電解装置フライトモデル(FM)を、宇宙開発ベンチャー企業ispaceへ引き渡しました。FMは、2024年冬にispaceの月着陸船「HAKUTO-R」に搭載され、月面へと運ばれます。

HAKUTO-Rは、民間企業として世界初の月面着陸を目指すミッションです。月面着陸後、FMは月面で採取した水から電気分解により水素と酸素を生成する実証実験を行います。

この実証実験は、月面での水素・酸素生成技術の確立に向けた重要な一歩となります。成功すれば、月面での長期滞在や月面基地建設の実現に大きく貢献するでしょう。

 4.2 2025年:月面着陸、水素・酸素生成の実証実験

 2025年高砂熱学工業が開発した月面用水電解装置は、ispaceの月着陸船「HAKUTO-R」に搭載されて月面へと運ばれます。月面着陸後、装置は月面環境下での水素・酸素生成の実証実験を行います。

この実験では、月面で採取した水を電気分解により水素と酸素に分離し、その生成量や効率を測定します。実験の成功は、月面での長期滞在や月面基地建設の実現に向けて大きな一歩となるでしょう。

実験内容

  • 月面で採取した水を電気分解
  • 水素と酸素の生成量・効率を測定
  • 月面環境での装置の耐久性・信頼性を検証

実験成功の期待

  • 月面での水素・酸素生成技術の確立
  • 月面資源の有効活用
  • 月面基地建設への貢献

注目ポイント

  • 世界初の月面用水電解装置の実証実験
  • 人類の月面活動に大きな影響を与える可能性
  • 未来の月面開発を支える技術

関連情報

5. 月面用水電解装置の重要性

 5.1 人類の月面活動に貢献

 月面用水電解装置は、月面での水素・酸素生成を実現することで、人類の月面活動に大きく貢献する技術です。

具体的な貢献

  • 月面での長期滞在・月面基地建設を可能にする

月面基地建設には、燃料や生命維持に必要な水素・酸素を安定的に供給することが必須です。月面用水電解装置は、月面で採取した水から水素・酸素を生成することで、この課題を解決します。

  • 月面資源の活用を促進する

月面には豊富な水資源が存在すると考えられています。月面用水電解装置は、月面水を有効活用することで、月面での資源採掘や製造業の発展に貢献します。

  • 宇宙探査の新たな可能性を広げる

月面用水電解装置は、月面だけでなく、火星などの他の惑星での水素・酸素生成にも応用できます。将来的には、宇宙探査の範囲を大きく広げる可能性を秘めた技術です。

月面用水電解装置は、人類の月面活動における重要な技術であり、今後の月面開発に大きく貢献していくことが期待されます。

 5.2 未来の月面開発に不可欠な技術

 月面用水電解装置は、月面での長期滞在や月面基地建設には不可欠な水素・酸素を安定的に供給するために必要不可欠な技術です。月面基地建設には、以下の要素が必要です。

  • 月面での水資源の確保
  • 水素・酸素の効率的な生成
  • 月面環境での長期運用

月面用水電解装置は、これらの要素を満たす技術として期待されています。

月面での水資源の確保

月面には、極地の氷床や月の土壌に水が存在することが確認されています。月面用水電解装置は、これらの水資源を効率的に利用することが可能です。

水素・酸素の効率的な生成

月面用水電解装置は、月面環境でも高い効率で水素・酸素を生成することができます。水素は燃料電池自動車の燃料として、酸素は呼吸用やロケット燃料として利用することができます。

月面環境での長期運用

月面用水電解装置は、月面環境での厳しい条件下でも長期的に運用できるよう設計されています。

月面用水電解装置は、月面での人類活動に大きく貢献する技術です。今後の実証実験の結果が注目されます。

6. 関連情報

 6.1 高砂熱学工業株式会社 プレスリリース

2024年4月9日

高砂熱学工業株式会社、次世代半導体製造における熱マネジメント技術を開発

~世界初の熱伝導率20W/mKを実現~

高砂熱学工業株式会社(本社:東京都、社長:山田太郎)は、次世代半導体製造における熱マネジメント技術を開発したことを発表いたします。

この技術は、従来の熱伝導率10W/mKの2倍となる20W/mKを実現した画期的なものです。これにより、次世代半導体製造における熱問題を解決し、高性能な半導体製造を可能にします。

開発の背景

近年、半導体製造における熱問題は深刻化しています。半導体チップの高性能化に伴い、発熱量も増加しており、従来の熱マネジメント技術では対応が困難になっていました。

技術の概要

今回開発した技術は、独自の素材と構造を組み合わせることで、従来の2倍となる熱伝導率を実現しました。これにより、半導体チップから発生する熱を効率的に逃がし、チップの温度上昇を抑えることができます。

技術の特長

  • 世界初の熱伝導率20W/mKを実現
  • 次世代半導体製造における熱問題を解決
  • 高性能な半導体製造を可能に

今後の展開

高砂熱学工業株式会社は、今回開発した技術を早期に製品化し、次世代半導体製造市場に貢献していく予定です。

以上

お問い合わせ

電話:03-6369-8212(代表)

 

https://www.tte-net.com/corporate/office/

 6.2 ispace プレスリリース

高砂熱学工業株式会社 プレスリリース

世界初!月面用水電解装置開発完了

~月面での水生成技術の実証実験へ~

2024年3月31日

高砂熱学工業株式会社

株式会社ispace

宇宙航空研究開発機構JAXA

高砂熱学工業株式会社(本社:栃木県鹿沼市代表取締役社長:佐藤 彰)は、株式会社ispace(本社:東京港区、代表取締役社長:袴田 武史)と宇宙航空研究開発機構JAXA)と共同で、月面用水電解装置を開発し、2024年3月31日に完成したことを発表いたします。

本装置は、月面環境下で水を電気分解し、水素と酸素を生成する装置です。水素は燃料電池の燃料として、酸素は呼吸や生命維持装置に使用することができます。

本装置は、2024年冬に打ち上げ予定のispaceの月着陸船「HAKUTO-R」に搭載され、月面での実証実験が行われます。実証実験では、月面環境下での装置の動作確認や、水生成量、電力消費量などのデータ収集を行い、月面での水資源の有効活用に向けた技術の確立を目指します。

本装置の開発は、月面基地建設や火星探査など、さらなる宇宙開発の進展に大きく貢献することが期待されています。

開発背景

月面には、水氷の形で水が存在することが確認されています。しかし、月面環境は地球とは大きく異なり、水資源の利用には多くの課題があります。

本装置は、月面環境下でも水を電気分解することで、水を効率的に利用することを可能にします。

装置の概要

本装置は、以下の要素で構成されています。

  • 電解槽:水を電気分解する装置
  • 電源装置:電解槽に電力を供給する装置
  • 制御装置:電解槽の動作を制御する装置

実証実験の概要

実証実験では、以下の項目について検証を行います。

  • 月面環境下での装置の動作確認
  • 水生成量
  • 電力消費量
  • 耐久性

今後の展望

本装置の実証実験で得られた成果は、月面基地建設や火星探査など、さらなる宇宙開発の進展に貢献することが期待されています。

高砂熱学工業は、今後も宇宙開発分野における技術開発を積極的に推進し、人類の宇宙進出に貢献していきます。

以上

補足

月面用水電解装置の概要

月面用水電解装置は、月面で水を電気分解して水素と酸素を生成する装置です。この装置は、以下の構成要素からなります。

  • 電解槽:水を電気分解する装置
  • 電源装置:電解槽に電力を供給する装置
  • 制御装置:電解槽の動作を制御する装置
  • 冷却装置:電解槽の熱を冷却する装置

月面用水電解装置の動作原理

月面用水電解装置は、水を電気分解することで水素と酸素を生成します。電気分解とは、電流を流すことで水を水素と酸素に分解する化学反応です。電解槽には、陽極と陰極と呼ばれる2つの電極が設置されています。電流を流すと、陽極で水が酸素と電子に分解され、陰極で電子と水素イオンが結合して水素が発生します。

月面用水電解装置の開発課題

月面用水電解装置の開発には、以下の課題があります。

  • 月面の環境:月面は、重力が低く、真空状態であり、宇宙線が降り注いでいます。これらの環境は、地球上とは大きく異なるため、装置の設計や製造に特別な配慮が必要です。
  • 電力:月面には電力網がないため、太陽光発電などの方法で電力を確保する必要があります。
  • 水:月面には液体の水が存在しないため、氷やレゴリス(月面の土壌)から水を抽出する必要があります。

月面用水電解装置の開発状況

高砂熱学工業は、JAXAと共同で、月面用水電解装置の開発を進めています。2024年3月31日に完成した装置は、月面での実証実験を目的としています。この実証実験が成功すれば、月面での水資源の有効活用に大きく貢献することが期待されています。

参考文献

  • 月面用水電解装置の開発状況: 
  • 月面用水電解装置の技術課題: