検査基準厳格化 車検について
車検とは、自動車の安全性や環境性能を確認するために定期的に行われる検査のことです。日本では、軽自動車は初回登録から3年後、それ以降は2年ごとに、普通自動車は初回登録から2年後、それ以降は1年ごとに車検を受ける必要があります。車検を受けないと、道路運送車両法に違反して罰金や免許停止などの処分を受ける可能性があります。
しかし、近年、自動車の技術革新や社会的要請に応えるために、車検の検査基準が厳格化されています。例えば、2020年4月からは、排ガス規制の強化に伴い、ディーゼル車の煙度測定が厳しくなりました。また、2021年10月からは、自動ブレーキやレーンキープなどの先進安全装置（ADAS）の点検が義務付けられました。これらの変更は、自動車の安全性や環境性能を向上させるために必要なものですが、一方で、車検の費用や時間が増えるというデメリットもあります。
そこで、この記事では、車検の検査基準の厳格化について、その背景や内容、影響などを詳しく解説します。また、車検の費用や時間を節約するためのコツや注意点も紹介します。車検を受ける予定の方や興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
車検の検査基準の厳格化の背景
車検の検査基準は、自動車の技術革新や社会的要請に応じて随時見直されています。特に近年は、以下のような理由で検査基準が厳格化されています。
- 排ガス規制の強化
気候変動対策や大気汚染防止のために、自動車から排出される有害物質（NOxやPMなど）の量を減らすことが求められています。そのために、国際的な排ガス規制（ユーロ規制やWLTP規制など）が導入されており、日本でもそれに準拠した排ガス規制（ポスト新長期規制）が施行されています。これらの規制に対応するために、ディーゼル車やガソリン車の排ガス測定方法や基準値が厳しくなっています。
- 先進安全装置（ADAS）の普及
自動ブレーキやレーンキープなどの先進安全装置（ADAS）は、事故防止や運転支援に役立つ装置です。しかし、これらの装置は故障したり調整がずれたりすると、逆に事故の原因になる可能性があります。そのために、これらの装置の正常な動作を確認するための点検が必要です。日本では、2021年10月から、ADASを搭載した自動車は、車検時にADASの点検を受けることが義務付けられました。
- 自動運転技術の発展
自動運転技術は、人間の介入なしに自動車を運転する技術です。自動運転技術は、事故や渋滞の削減や移動の利便性の向上などのメリットが期待されています。しかし、自動運転技術はまだ発展途上であり、安全性や法的な問題などの課題もあります。そのために、自動運転技術を搭載した自動車は、車検時に自動運転技術の点検を受けることが必要です。日本では、2020年6月から、自動運転レベル3以上の自動車は、車検時に自動運転技術の点検を受けることが義務付けられました。
車検の検査基準の厳格化の内容
車検の検査基準は、以下のような項目について厳格化されています。
- 排ガス測定
ディーゼル車は、2020年4月から、煙度測定方法が変更されました。従来は、アイドリング状態で測定していましたが、新しい方法では、加速状態で測定します。これにより、実際の走行状況に近い状態で排ガスを測定できるようになりました。また、基準値も厳しくなりました。従来は、2.5以下であれば合格でしたが、新しい方法では、1.5以下でなければ合格できません。ガソリン車も、2022年4月から、排ガス測定方法が変更されます。従来は、アイドリング状態で測定していましたが、新しい方法では、加速状態で測定します。これにより、ディーゼル車と同じく、実際の走行状況に近い状態で排ガスを測定できるようになります。また、基準値も厳しくなります。従来は、CO（一酸化炭素）が0.3%以下であれば合格でしたが、新しい方法では、COが0.1%以下でなければ合格できません。
- ADAS点検
ADASを搭載した自動車は、2021年10月から、ADASの点検を受けることが義務付けられました。ADASの点検では、以下のような項目を確認します。
- カメラやレーダーなどのセンサーの位置や角度が正しいか
- カメラやレーダーなどのセンサーが汚れていないか
- カメラやレーダーなどのセンサーが故障していない
- 自動ブレーキやレーンキープなどの機能が正常に作動するか
- 自動ブレーキやレーンキープなどの機能が適切に警告や通知をするか
ADASの点検は、専用の機器や設備を使って行われます。そのため、ADASの点検を受けることができる車検場は限られています。また、ADASの点検には、約30分から1時間ほどかかります。そのため、車検の時間が長くなる可能性があります。
- 自動運転技術点検：自動運転レベル3以上の自動車は、2020年6月から、自動運転技術の点検を受けることが義務付けられました。自動運転技術の点検では、以下のような項目を確認します。
- 自動運転システムのソフトウェアやハードウェアが正常に作動するか
- 自動運転システムが人間に運転操作を要求するときに、明確に警告や通知をするか
- 自動運転システムが人間に運転操作を返すときに、安全に移行できるか
- 自動運転システムが故障したときに、安全に停止できるか
自動運転技術の点検は、専用の機器や設備を使って行われます。そのため、自動運転技術の点検を受けることができる車検場は限られています。また、自動運転技術の点検には、約1時間から2時間ほどかかります。そのため、車検の時間が長くなる可能性があります。
車検の検査基準の厳格化の影響
車検の検査基準の厳格化は、以下のような影響をもたらします。
- 車検費用の増加
排ガス測定やADAS点検などの新しい項目は、追加料金が発生する場合があります。また、ディーゼル車やガソリン車は、排ガス規制に合格するために、DPF（ディーゼル微粒子捕集フィルター）や触媒などの部品を交換する必要がある場合があります。これらの部品は高価であり、交換費用も高くなります。さらに、ADASや自動運転技術を搭載した自動車は、点検を受けることができる車検場が限られているため、競争力が低くなり、料金が高くなる可能性があります。
- 車検時間の延長
排ガス測定やADAS点検などの新しい項目は、時間がかかる場合があります。特に、ADASや自動運転技術を搭載した自動車は、点検に約1時間から2時間ほどかかります。そのため、車検の時間が長くなる可能性があります。また、車検場の混雑や予約の取りにくさも、車検時間の延長につながる可能性があります。
- 車検の見直しの必要性
車検の検査基準の厳格化は、自動車の安全性や環境性能を向上させるために必要なものですが、一方で、車検費用や時間の増加という負担もあります。そのため、車検制度自体の見直しが必要ではないかという議論もあります。例えば、以下のような提案があります。
- 車検期間の延長
軽自動車は3年から4年に、普通自動車は2年から3年に、車検期間を延長することで、車検費用や時間の負担を軽減することができます。欧米では、車検期間は4年から5年と長い場合が多く、日本と比べても短すぎるという意見もあります。
- 車検項目の見直し
排ガス測定やADAS点検などの新しい項目は、必要なものですが、一方で、従来からある項目については、見直す余地があるという意見もあります。例えば、ヘッドライトやウィンカーなどの照明装置は、自分で点検や交換ができる場合が多く、車検で確認する必要性は低いという意見もあります。
- 車検場の増加
ADASや自動運転技術を搭載した自動車は、点検を受けることができる車検場が限られているため、料金が高くなったり予約が取りにくくなったりする可能性があります。そのため、ADASや自動運転技術を点検できるようにするための設備や技術を整備し、車検場を増やすことで、競争力を高めて料金を下げたり予約を取りやすくしたりすることができます。
車検費用や時間を節約するコツ
車検の検査基準の厳格化によって、車検費用や時間が増える可能性がありますが、以下のようなコツを使うことで、節約することができます。
- 事前点検をする
車検前に自分で簡単な点検をすることで、不具合や故障を発見して修理したり交換したりすることができます。これにより、車検場で追加料金が発生する可能性を減らすことができます。また、排ガス測定に合格するためには、エンジンオイルやエアフィルターなどを清掃したり交換したりすることも効果的です。
- 見積もりを比較する
車検
車検、続きを書いて
車検場を選ぶときには、見積もりを比較することが重要です。車検場によって、料金やサービスが異なる場合があります。インターネットや電話で見積もりを取ることができますが、できれば直接車検場に行って見積もりを取ることがおすすめです。これにより、実際に車検場の設備やスタッフの対応を確認することができます。また、見積もりを比較する際には、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 基本料金と追加料金の区別
車検場によっては、基本料金だけでなく、追加料金が発生する場合があります。例えば、排ガス測定やADAS点検などの新しい項目は、追加料金がかかる場合があります。また、部品交換や修理などの作業も、追加料金がかかる場合があります。そのため、見積もりを比較する際には、基本料金だけでなく、追加料金も含めて比較することが大切です。
- サービス内容と品質の確認
車検場によっては、料金だけでなく、サービス内容や品質も異なる場合があります。例えば、代車や送迎サービスなどの付帯サービスがあるかどうかや、部品交換や修理などの作業の品質や保証期間がどうかなどを確認することが必要です。また、車検場の評判や口コミなども参考にすることができます。
- 交渉する余地の有無の確認
車検場によっては、見積もりの料金やサービス内容について交渉することができる場合があります。例えば、他の車検場の見積もりを提示したり、長期利用者や紹介者などの特典を受けたりすることで、料金やサービス内容を変更してもらえる可能性があります。そのため、見積もりを比較する際には、交渉する余地があるかどうかも確認することが有効です。
まとめ
この記事では、2020年から施行された車検の新しい検査基準について紹介しました。排ガス測定やADAS点検などの新しい項目は、自動車の安全性や環境性能を向上させるために必要なものですが、一方で、車検費用や時間の増加という負担もあります。そのため、事前点検や見積もり比較などのコツを使って節約することが大切です。また、車検制度自体の見直しも必要ではないかという議論もあります。今後も車検制度の動向に注目していきましょう。
今まで車検が通っていたが今後不合格という事がありうる、車検になります。
厳しいものですね。
