寝ても体力が回復しない病気とは?原因と症状、治療法を解説

寝ても体力が回復しない病気とはについて

 

寝ても体力が回復しない病気とは

睡眠は私たちの心身の回復に不可欠な要素ですが、十分な睡眠を取っても体力が回復しないと感じる方がいます。この現象は単なる疲労ではなく、潜在的な健康問題を示唆している可能性があります。本記事では、睡眠しても体力が回復しない原因となる可能性のある病気について解説します。

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 目次

1. 慢性疲労症候群
2. 睡眠時無呼吸症候群
3. 甲状腺機能障害
4. うつ病
5. 線維筋痛症
6. 貧血
7. 自己免疫疾患
8. ビタミンD欠乏症
9. 慢性疼痛症候群
10. 診断と治療へのアプローチ

 

 1. 慢性疲労症候群

慢性疲労症候群は、6ヶ月以上続く原因不明の極度の疲労感を特徴とする病気です。十分な睡眠を取っても疲労感が改善せず、日常生活に支障をきたします。症状には、筋肉痛、関節痛、頭痛、集中力低下、短期記憶障害などが含まれます。原因は不明ですが、ウイルス感染や免疫系の異常が関与していると考えられています。

2. 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気です。この症状により、質の高い睡眠が得られず、日中の眠気や疲労感が持続します。主な症状には、大きないびき、睡眠中の呼吸停止、起床時の頭痛、集中力低下などがあります。肥満や首周りの太さが危険因子となることが多く、適切な治療を行わないと心臓病や高血圧のリスクが高まります。

 3. 甲状腺機能障害

甲状腺機能障害は、甲状腺ホルモンの分泌異常によって引き起こされる病気です。甲状腺機能低下症では、疲労感、倦怠感、寒がり、体重増加などの症状が現れます。一方、甲状腺機能亢進症では、動悸、発汗、体重減少、不安感などが生じます。どちらの場合も、適切な睡眠を取っても体力が回復しにくくなります。

 4. うつ病

うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなどの精神的な症状のほか、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることのある病気です[1]。脳のエネルギーが欠乏した状態であり、それによって憂うつな気分やさまざまな意欲(食欲、睡眠欲、性欲など)の低下といった心理的症状が続くだけでなく、さまざまな身体的な自覚症状を伴うことも珍しくありません[2]。

 5. 線維筋痛症

線維筋痛症は、全身の慢性的な痛みと疲労感を特徴とする病気です。痛みは特定の部位に限らず、全身に広がります。睡眠障害、朝のこわばり、集中力低下、記憶力の低下なども伴います。原因は完全には解明されていませんが、中枢神経系の感作が関与していると考えられています。

 6. 貧血

貧血は、体内の赤血球や血色素(ヘモグロビン)が減少する病気です。酸素を十分に運搬できないため、疲労感、息切れ、めまい、集中力低下などの症状が現れます。鉄欠乏性貧血が最も一般的ですが、ビタミンB12欠乏や慢性疾患による貧血もあります。十分な睡眠を取っても体力が回復しにくくなります。

 7. 自己免疫疾患

自己免疫疾患は、免疫系が誤って自分の体の組織を攻撃する病気です。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症などが含まれます。慢性的な炎症や痛み、疲労感が特徴で、十分な睡眠を取っても症状が改善しにくいことがあります。また、睡眠の質自体が低下することもあります。

 8. ビタミンD欠乏症

ビタミンD欠乏症は、骨の健康だけでなく、全身の健康に影響を与えます。症状には、骨痛、筋力低下、疲労感、うつ症状などがあります。日光不足や偏った食生活が原因となることが多く、十分な睡眠を取っても体力が回復しにくくなります。特に高緯度地域や室内で過ごす時間が長い人はリスクが高くなります。

 9. 慢性疼痛症候群

慢性疼痛症候群は、3ヶ月以上続く持続的な痛みを特徴とする病気です。痛みの原因が特定できない場合もあります。慢性的な痛みは、睡眠障害疲労感、うつ症状、不安感などを引き起こし、生活の質を著しく低下させます。十分な睡眠を取っても痛みや疲労感が改善しないことが多く、総合的なアプローチが必要です。

 10. 診断と治療へのアプローチ

これらの病気の診断と治療には、総合的なアプローチが必要です。まず、詳細な問診と身体検査を行い、必要に応じて血液検査、画像診断、睡眠検査などを実施します。原因が特定できた場合は、その病気に対する適切な治療を行います。例えば、睡眠時無呼吸症候群にはCPAP療法、甲状腺機能障害にはホルモン療法、うつ病には抗うつ薬心理療法が用いられます。

また、生活習慣の改善も重要です。適度な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理、睡眠衛生の改善などが効果的です。慢性的な症状の場合、患者の生活の質を向上させるために、痛みの管理、疲労軽減のための戦略、心理的サポートなども併せて行います。

多くの場合、一つの専門分野だけでなく、複数の専門家によるチームアプローチが効果的です。患者の症状や生活状況に合わせて、個別化された治療計画を立てることが重要です。

 

Citations:
[1] https://www.smilenavigator.jp/utsu/about/
[2] https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
[3] https://www.anzu.or.jp/kamibayashikinen/about/interview/interview2/
[4] https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html
[5] https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/10-%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E6%B0%97%E5%88%86%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E3%81%86%E3%81%A4%E7%97%85
[6] https://kenko.sawai.co.jp/mental-care/202310.html
[7] https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/depression/
[8] https://www.biwakogakuen.or.jp/dsadmin/files/libs/191/20190830103650145.html