「近視の進行を防ぐ薬とは」について
「近視の進行を防ぐ薬とは」
近視は、特に子供の間で増加している視力の問題であり、眼軸長の伸びによって引き起こされます。この進行を抑えるための治療法として、最近では低濃度アトロピンを使用した点眼薬が注目されています。これらの薬は、近視の進行を効果的に遅らせることができるとされており、特に小児においてその効果が期待されています。本稿では、近視の進行を防ぐための薬について詳しく解説します。
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目次
1. 近視とは
- 近視のメカニズム
- 近視の影響
2. 近視進行抑制薬の種類
- マイオピン(低濃度アトロピン)
- リジュセア®ミニ点眼液
3. マイオピンの効果と安全性
- 効果のメカニズム
- 臨床試験結果
4. リジュセア®ミニ点眼液の特徴
- 使用方法と効果
- 安全性について
5. 治療の注意点
- 副作用とリスク
- 治療継続の重要性
6. まとめ
- 近視進行抑制薬の今後の展望
1. 近視とは
近視は、物体が網膜の前に焦点を結ぶ状態であり、遠くの物がぼやけて見える視力障害です。近視の主な原因は、眼球の形状や屈折力の異常によるもので、特に眼軸長が異常に伸びることが多いです。近視は遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って進行します。特に、近くの物を長時間見ることが多い生活スタイル(近業)や屋外活動の不足が影響を与えるとされています。
- 近視のメカニズム
近視は、眼球の成長に伴い眼軸が過剰に伸びることで発生します。これにより、網膜よりも前方で光が焦点を結び、遠くの物体がぼやけて見えます。また、調節機能の過剰な働きも近視進行に寄与することがあります。特にデジタルデバイスの普及により、近業作業が増加し、近視の発症率が上昇しています[1][4]。
- 近視の影響
進行した近視は、網膜剥離や緑内障、黄斑変性症など深刻な眼疾患を引き起こす可能性があります。これらの疾患は視力喪失につながることもあり、特に強度近視の場合、そのリスクは高まります[1][7]。
2. 近視進行抑制薬の種類
近視進行を抑制するためにはいくつかの薬剤が開発されています。その中でも注目されているのは低濃度アトロピンを使用したマイオピンとリジュセア®ミニ点眼液です。
- マイオピン(低濃度アトロピン)
マイオピンは0.01%のアトロピンを含む点眼薬であり、特に小児の近視進行抑制に効果的とされています。シンガポール国立大学で実施された臨床試験では、マイオピン使用者は約60%近視進行が軽減されたとの報告があります[2][5]。
- リジュセア®ミニ点眼液
リジュセア®ミニ点眼液も近視進行抑制に用いられる薬剤であり、その効果と安全性について研究が進められています。この薬剤は特定の成分を含み、近視進行を抑える作用があります[3]。
3. マイオピンの効果と安全性
マイオピンはその効果と安全性から広く使用されています。
- 効果のメカニズム
マイオピンはムスカリン受容体拮抗薬として作用し、脈絡膜血流を増加させることで眼軸長の伸長を抑制すると考えられています。このメカニズムによって、近視の進行を効果的に遅らせることが可能です[5][6]。
- 臨床試験結果
シンガポールで行われた臨床試験では、マイオピン使用者がプラセボ群と比較して約50%程度近視進行が抑制されたことが確認されています。また、副作用もほとんど報告されておらず、安全性が高いとされています[2][6][8]。
4. リジュセア®ミニ点眼液の特徴
リジュセア®ミニ点眼液には独自の成分が含まれており、その効果について注目されています。
- 使用方法と効果
リジュセア®ミニ点眼液は定期的に点眼することで効果を発揮します。具体的な使用方法については医師の指示に従う必要があります。この薬剤もまた近視進行を抑える効果があります[3]。
- 安全性について
リジュセア®ミニ点眼液は臨床試験で安全性が確認されており、副作用も少ないとされています。ただし、個々の患者によって反応が異なるため、使用前には医師との相談が重要です[3][6]。
5. 治療の注意点
治療にはいくつか注意すべきポイントがあります。
- 副作用とリスク
低濃度アトロピンやリジュセア®ミニ点眼液には副作用がほとんどないとされていますが、一部の患者には異常反応が出る可能性があります。使用中に異常を感じた場合は直ちに医師に相談することが推奨されます[5][6]。
- 治療継続の重要性
治療効果を最大限引き出すためには継続的な使用が重要です。治療を中断すると再び近視が進行する可能性がありますので、定期的なフォローアップと医師とのコミュニケーションが必要です[2][8]。
6. まとめ
近視進行抑制薬は、小児期から始まる近視進行を抑えるために重要な役割を果たします。
- 近視進行抑制薬の今後の展望
今後も新たな研究や治療法の開発が期待されており、より多くの患者に対して効果的な治療法を提供できる可能性があります。また、生活習慣改善や屋外活動促進も併せて実施することで、より良い結果が得られるでしょう[1][4][5]。
Citations:
[1] https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/science/202305.html
[2] https://www.joshu-ganka.com/myopine.php
[3] http://kishimoto-eye.com/myopia-treatment.php
[4] https://www.senju.co.jp/consumer/mytear/mytearstyle/daily-care/28
[5] https://tomihisa-eye.jp/myopin.html
[6] https://gankenkasui.takada-ganka.com/about-miopin/
[7] http://www.kamimoto-ganka.com/original16.html
[8] https://www.kitanagoyaganka.net/nav/myopine.html
あとがき
近視は歳を重ねていくうちに治ることはあるのか
近視は、一般的には成長とともに進行する視力障害ですが、年齢を重ねるにつれてその進行が止まるかどうかは個人差があります。以下に、近視の進行に関する情報をまとめます。
近視の進行と年齢
近視は通常、小中学生の頃から始まり、成長期に眼球が発達する過程で進行します。特に、発症年齢が早いほど将来的に強度近視になるリスクが高いとされています[5]。成人になると、多くの場合、近視の進行は止まることが一般的ですが、強度近視の場合は成人後も進行することがあるため注意が必要です[1][3]。
強度近視の影響
強度近視とは、眼軸長が26.5mm以上で、-6.0ジオプターを超える状態を指します。この状態になると、網膜や脈絡膜に病的な変化が生じる可能性が高く、視機能障害のリスクも増加します。研究によると、成人後も眼軸長の延長が見られることがあり、特に強度近視の患者は生涯にわたって定期的な検査が推奨されます[1]。
結論
一般的には軽度から中等度の近視は成人期に入ると進行が止まることが多いですが、強度近視の場合は成人後も進行する可能性があります。したがって、近視の進行を防ぐためには早期の対策や定期的な眼科検診が重要です。また、生活習慣や環境要因も影響を与えるため、適切な目のケアを心掛けることが望まれます。
Citations:
[1] https://www.hikichi-eye.jp/blog/2316
[2] https://www.santen.com/content/dam/santen/japan/pdf/healthcare/eye/library/myopia/Childrens_myopia_handbook.pdf
[3] https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/249-2685
[4] https://www.gankaikai.or.jp/health/39/index.html
[5] https://jp.rohto.com/learn-more/eyecare/all/myopia/about/
[6] https://xn--f9jub5dkk4769hh1d.com/kodomokinsi.html
[7] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorthoptic/42/0/42_042S003/_pdf/-char/ja
[8] https://jp.rohto.com/-/Media/com/learn-more/eyecare2020/myopia/about/img_graph_02_sp.png?sa=X&ved=2ahUKEwiA9pCR_sqKAxWxAHkGHW56DlEQ_B16BAgJEAI
マイオピンは2024年12月に承認されました。
2024年12月に、近視治療薬「マイオピン」が日本で初めて承認されました。この点眼薬は、近視の進行を抑制することを目的としており、特に小児においてその効果が期待されています。
厚生労働省の専門家部会は2024年12月2日にこの薬の承認を決定しました。マイオピンは、低濃度アトロピン(0.025%)を含む点眼薬で、これまで海外からの輸入品として使用されていましたが、正式に国内製品として承認されたことは大きな進展です[1][2][3]。
マイオピンの主成分であるアトロピンは、眼球の成長を抑制する作用があり、特に近視の進行が著しい小児に対して有効です。臨床試験では、マイオピンを使用したグループがプラセボ群と比較して近視の進行が有意に抑えられたことが示されています[2][3]。今後、この薬は身近な医療機関でも処方されるようになる見込みですが、公的医療保険の適用外となるため、全額自己負担となることが予想されています[3][4]。
この承認により、近視治療に新たな選択肢が加わり、多くの患者にとって希望となるでしょう。
Citations:
[1] https://gmcl.jp/myopia/
[2] https://www.santen.com/ja/news/2024/2024_1/20241227
[3] https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241227/k10014681101000.html
[4] https://kitsu-eye.clinic
[5] https://eyeclinic-minamidai.com/myopine.html
[6] https://fukami-ganka.com/menu/kinshi.html
[7] https://tsunashima-ekimaeganka.com/news.html
[8] http://kishimoto-eye.com/news/?p=1533