福島県石川町のウラン鉱採掘場とはについて
福島県石川町のウラン鉱採掘場とは
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目次
1. 石川町の地質と鉱物資源
2. 第二次世界大戦中のウラン採掘
3. 学徒動員と採掘作業
4. 採掘の目的と「ニ号研究」
5. 採掘の終焉と戦後の影響
6. 現在の石川町と鉱物資源
1. 石川町の地質と鉱物資源
福島県石川町は、地質学的に非常に興味深い地域です。町の中央部とその周辺には花崗岩類が分布し、東部と西部には変成岩帯が存在しています[2]。この地域の主な地質構造は阿武隈山地の古期花崗岩類であり、そこに新期花崗岩類が貫入しています[2]。
特筆すべきは、この地域に多く分布する花崗岩ペグマタイト(巨晶花崗岩)です[2]。石川地方のペグマタイトは、結晶が大きく種類も豊富であることから、「日本三大ペグマタイト鉱物産地」の一つとして知られています[2]。
主な鉱物資源としては、以下のものが挙げられます:
- 石英(珪石)と長石:明治時代から昭和48年頃まで、焼き物の釉薬やガラスの原料として盛んに採掘されました[2]。
- ざくろ石:黒褐色や濃赤色の結晶が産出します[2]。
- 鉄電気石:特に大きな結晶が産出し、日本産の中でも特に素晴らしいとされています[2]。
- 緑柱石:ペグマタイト中に産出します[2]。
これらの鉱物は、石川町立歴史民俗資料館で展示されており、地域の地質学的な豊かさを物語っています[2]。
2. 第二次世界大戦中のウラン採掘
第二次世界大戦中、日本軍はウラン確保のため、石川町の鉱物資源に注目しました[3]。特に、ペグマタイトに含まれるわずかな天然ウランが軍の関心を引きました[3]。
1945年3月、陸軍は石川町でのウラン採掘を開始しました[3]。この決定は、日本の原爆開発計画の一環であり、国内でのウラン確保に望みをつないだ結果でした[3]。
3. 学徒動員と採掘作業
ウラン採掘のため、石川中学校(現在の学法石川高校の前身)の生徒が動員されました[3]。1945年4月、3年生になる男子生徒150人が採掘作業に駆り出されました[3]。これらの少年たちは、わずか14、15歳でした[3]。
採掘作業の実態は過酷なものでした:
- 生徒たちは毎日10km離れた採石場まで歩いて通いました[3]。
- 作業内容は、岩を覆う土をツルハシで削り、二人一組で運ぶというものでした[3]。
- 休みは雨の日のみで、ほぼ毎日作業が行われました[3]。
4. 採掘の目的と「ニ号研究」
採掘されたウランは、日本の原爆開発計画である「ニ号研究」のために使用される予定でした[3]。この研究は理化学研究所の仁科芳雄博士が主導していました[3]。
1945年6月13日、石川山工業所は750キログラムのサマルスカイト(ウランを含む鉱物)の採掘を報告しました[3]。しかし、皮肉なことに、この時点で「ニ号研究」はすでに中止が決定されていました[3]。
5. 採掘の終焉と戦後の影響
ウラン採掘は、その目的を失ったにもかかわらず、1945年8月15日の終戦まで続けられました[3]。生徒たちは、研究中止の事実を知らされないまま作業を続けていました[3]。
終戦の日、多くの生徒たちは通常通り採石場に向かいましたが、途中で引き返しました[3]。天皇の玉音放送を聞き、戦争の終結を知った生徒たちは、もう働かなくていい、死ななくてよかったと安堵の念を抱きました[3]。
6. 現在の石川町と鉱物資源
現在、石川町は豊かな鉱物資源を活かし、地域の文化や教育に貢献しています。石川町立歴史民俗資料館では、地域から産出された多様な鉱物標本が展示されており、訪れる人々に自然の芸術と呼ばれる美しい鉱物を鑑賞する機会を提供しています[2]。
また、かつてのウラン採掘の歴史は、平和教育の重要な教材となっています。戦時中の経験を後世に伝え、平和の尊さを学ぶ機会となっています。
石川町は今も希少な鉱物産地として知られており、学術研究や地質学的な観点からも重要な地域となっています[3]。ペグマタイトの白い岩肌が山間部にあちこちで見られ、地域の地質学的特徴を今に伝えています[3]。
Citations:
[1] https://www.gsj.jp/data/bull-gsj/07-08_01.pdf
[2] https://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/material/04.html
[3] https://www.chunichi.co.jp/article/188287/2
[4] https://www.nishinippon.co.jp/item/n/534436/
[5] https://www.gsj.jp/publications/pub/bull-gsj/geppou07-08.html
[6] https://www.jstage.jst.go.jp/article/gkk/40/5/40_40.175a/_pdf/-char/ja
[7] https://www.gsj.jp/data/bull-gsj/07-03_01.pdf
[8] https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC07DBZ0X00C21A7000000/
補足
この研究はとても原爆製造ができるレベルではなかったようだ。